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米英は世界を制覇するためにNATOを使っているが、その首脳会議を前に「ロシア軍の侵略」を宣伝
http://plaza.rakuten.co.jp/condor33/diary/201408300000/
2014.08.30 16:18:43 櫻井ジャーナル
ウクライナ制圧はズビグネフ・ブレジンスキーの戦略に基づいているわけだが、現在、その戦略を実現するための暴力装置として機能しているのがNATOだ。そのNATOが9月4日から5日にかけてウェールズで首脳会議を開く。
米英としては、ロシアと対決するということでNATOの意思を統一したいだろう。そうした中、「ロシア軍のウクライナ侵攻」なる話が叫ばれ始めた。
https://www.gov.uk/government/topical-events/nato-summit-wales-cymru-2014
ブレジンスキーの戦略はソ連消滅後の1990年代に入ってまとめられ、1997年に『グランド・チェスボード』(日本語版は『ブレジンスキーの世界はこう動く』、後に『地政学で世界を読む』へ改題)というタイトルの本を出している。この本(原書)が出版された2年後、NATOはユーゴスラビアに対して全面攻撃を加えた。
コソボのアルバニア系住民をユーゴスラビアから分離し、アルバニアと合体させようという西側のプランを実現するためだった。この攻撃ではスロボダン・ミロシェヴィッチ大統領の自宅が破壊されただけでなく、中国大使館も爆撃されている。この方法をロシアが採用したなら、ウクライナの東部や南部を分離、キエフを空爆してアメリカ大使館を破壊しても構わないということになる。
中国大使館を爆撃したのはB2ステルス爆撃機で、目標を設定したのはCIA。ミサイルが3方向から大使館の主要部分に命中していることから、「誤爆」とは考えにくく、計画的な攻撃だった可能性が高い。
当時、ドイツ外務省はミロシェビッチ政権がアルバニア人を追い出そうとしていると主張、秘密裏に「蹄鉄作戦」を計画しているとしていたが、証拠は示されていない。後にドイツ軍のハインツ・ロクアイ准将が語ったところによると、ブルガリアの情報機関が作成した報告を元にでっち上げた計画だったという。ブルガリアの情報機関はセルビアがKLAを撃破しようとしているという話だった。(David N. Gibbs, “First Do No Harm”, Vanderbilt University Press, 2009)
ユーゴスラビアを攻撃する前、ウィリアム・ウォーカー元エル・サルバドル駐在大使はコソボの警察署で45名が虐殺されたという話を流している。ミロシェビッチ政権の残虐さを印象づけようとしたのだが、これは嘘だった。死者が出たのは警察側と西側を後ろ盾とするKLA(コソボ解放軍、UCKとも表記)との戦闘の結果で、その様子はAPの取材班が撮影していた。
ユーゴスラビアを「悪魔化」する宣伝は1992年から始まっている。ボスニアで16歳の女性が3名のセルビア兵にレイプされたと報道されたのだ。記事を書いたのはニューズデーのロイ・ガットマンだが、本人はボン支局長で、バルカンの状況に詳しいわけではなく、クロアチアの与党、HDZ(クロアチア民主団)の副党首、ヤドランカ・シゲリを情報源にしていた。この人物はクロアチアの亡命者が創設したプロパガンダ組織CIC(クロアチア情報センター)のザグレブ事務所の責任者でもあった。
シゲリは人権問題のヒロインとなり、1996年には人権擁護団体HRWが彼女を主役にしたドキュメント映画を発表、レイプ報道で脚光を浴びたガットマンは1993年にセルビア人による残虐行為を報道してピューリッツァー賞を贈られている。ちなみにICRC(赤十字国際委員会)はセルビア人による組織的なレイプが行われた証拠はないとしている。
その後、アメリカは偽情報を掲げながら他国を侵略していく。大きな節目になったのが2001年9月11日のニューヨークの世界貿易センターやワシントンDCの国防総省本部庁舎(ペンタゴン)への攻撃だった。当時のジョージ・W・ブッシュ政権は即座にアル・カイダの反抗だと断定、オサマ・ビン・ラディンがいたとされるアフガニスタンを相手の交渉姿勢を無視して攻撃した。
さらに、アル・カイダを弾圧していたイラク(存在しない大量破壊兵器)を先制攻撃、リビア(民主化運動弾圧という嘘)とシリア(民主化運動弾圧という嘘)を破壊するためにアル・カイダを使っている。そして、ウクライナはネオ・ナチを使ってクーデターを実行、東部や南部で民族浄化中だ。
日本でも「ロシア軍のウクライナ侵攻」というアメリカ/NATOの宣伝が垂れ流されているが、そのロシア軍はどこから来て、どこへ行き、今、何をしているのだろうか?
すでに書いたことだが、ポール・クレイグ・ロバーツ元米財務次官補も言っているように、ウラジミル・プーチン露大統領が外交攻勢をかけている中でロシア軍の小規模な部隊をウクライナ(ドネツク人民共和国)へ入れるというリスクを犯すとは考えにくい。8月26日、プーチン大統領はベラルーシのミンスクでポロシェンコ大統領やEUの幹部とウクライナ問題について協議しているのだ。
1000名規模の部隊というのも中途半端。1000名ではなく空軍も参加した10万名規模のロシア軍だという話の方が信憑性は高い。そもそも、キエフ軍の住民に対する攻撃を止めるためなら、ロシア空軍がウクライナ軍を粉砕すれば終わりである。
アメリカ/NATOは中東/北アフリカの制圧プロジェクトでアル・カイダを使い、ウクライナではネオ・ナチを使っている。資金や武器を提供、戦闘員を軍事訓練しているのだが、そうした自分たちの行為をロシアが行っているように宣伝している。その宣伝機関がテレビ、ラジオ、新聞、雑誌などのメディア。出版も惨憺たる状況だ。
こうしたメディアがアメリカ支配層の宣伝に努めるのは、それが稼業だからにほかならない。権力者を批判してはカネにならない。そうした宣伝をオウムのように繰り返す人たちも自分の立場を理解してのことだろう。アメリカ政府が嘘をつき続けていることは明白なわけで、今回は正直だと思うほどマスコミの人間が愚かだとは考えられず、騙された振りをしていた方が得だと判断しているのだろう。
しかし、今回は人類の運命がかかっている。これまで傍若無人に振る舞い、多くの人びとから恨まれている米英両国の支配層はどうしてもロシアを屈服させ、「勝てば官軍」になる必要がある。「負ければ賊軍」ということになると過去の悪事が露見、責任をとらされる可能性があり、負けるくらいなら核戦争で人類を滅ぼした方がましだと考えても不思議ではない。
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