04. 2014年8月25日 14:11:40
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http://jp.wsj.com/news/articles/SB10001424052970204431804580112652692087156?mod=wsj_nview_latest 「イスラム国」、シリア北部の空軍基地を制圧SAM DAGHER 原文(英語) 2014 年 8 月 25 日 11:44 JST 「イスラム国」がシリアの空軍基地を制圧したことを喜ぶ近隣の住民 Reuters 【ベイルート】イスラム教スンニ派過激組織「イスラム国」は、シリア北東部ラッカ県にある主要な空軍基地を占拠し、シリア政府軍を排除し同県全体を支配した。内戦でイスラム国がシリアの県全体を制圧したのは今回が初めて。 ラッカに拠点を置く何人かの反体制活動家によると、イスラム国は24日、タブカ空軍基地の防衛ラインを突破し、制圧に成功した。これに先立ち、同空軍基地を出入りする門では、5日間にわたって激しい戦闘が繰り広げられていた。同基地は、同じく「タブカ」という名前のユーフラテス川沿いのダムと町の近郊に位置する。 これはイスラム国による最新の戦略的な制圧となった。イスラム国はシリアと隣国イラクのかなりの地域を制圧している。最近ではイラク北部のクルド人自治区に侵攻して、宗教的少数派を脅かし、米国による空爆の引き金となっている。 英国に本拠を置くシリア反体制派の「シリア人権監視団」(シリア内部にいる独自の活動家のネットワークを通じて紛争を追跡している)によると、イスラム国の武装勢力はタブカ空軍基地の大半を掌握した。基地に駐留していた政府軍の部隊は、政府軍の支配する主要な補給路上にある南西の町Athrayaに撤退したという。 イラクとシリアの各組織勢力図 シリア国営のSANA通信は、タブカ空軍基地からの撤退を戦術的な動きだと表現した。拠点喪失に伴うシリア政権への打撃の影響を小さくみせようとしていることがうかがえる。 SANA通信は「わが政府軍はタブカ空軍基地から撤退後、部隊の再編を無事完了し、この地域のテロリスト集団(イスラム国)に対して精密な照準攻撃を続けている」と述べた。 タブカ空軍基地を陥落させたことで、イスラム国はラッカ県の全権を掌握することになる。ラッカ県は、北はトルコとの国境、西は重要拠点であるアレッポ県と接している。ラッカ県の東方では、イスラム国は既にハサカ県の一部と、デリゾール県の80%以上を制圧している。ハサカ、デリゾールの両県はイラクと接している。 イスラム国は過去1カ月間で、ラッカのシリア軍第17師団本部のほか、同じくラッカの同師団第93旅団の基地の制圧に成功している。 米国人記者ジェームズ・フォーリー氏が頭を切断されて殺されたことを受け、米国当局は団結してイスラム国と戦う国際的な作戦に着手した。国防総省はこの作戦遂行の場合は、イラクを越えてシリアにも展開する必要が出てくるだろうと警告している。 関連記事 • イスラム国、米国人「処刑」動画を公開 シリアで誘拐のジャーナリスト • 米政権、シリアの「イスラム国」攻撃を検討 • 【社説】対イスラム国、オバマ大統領はどうするのか 米国人記者殺害で http://jp.wsj.com/news/articles/SB10001424052970204431804580112700487334996?mod=wsj_nview_latest シリアの「イスラム国」空爆論強まる―米政府、限定攻撃か By COLLEEN MCCAIN NELSON AND ADAM ENTOUS 原文(英語) 2014 年 8 月 25 日 12:17 JST イスラム国戦闘員の攻撃を警戒するクルド系部隊ペシュメルガの兵士 Reuters 【ワシントン】オバマ米大統領は、イスラム教スンニ派過激組織「イスラム国」への攻撃を早急に強化すべきだとする国内および中東諸国からの圧力にさらされている。その一方で、民主党や欧州諸国の一部からは攻撃強化への消極論も出ている。 イスラム国が24日、シリア北東部ラッカ県の主要空軍基地からシリア政府軍を駆逐し制圧して、3年に及ぶシリア内戦で初めてラッカ県全域を掌握したことから、米政府に一段の対応を求める声が高まっている。 オバマ大統領が戦闘拡大を決断した場合に備え、米政府が現在検討中の主要オプションはイスラム国が米国人を脅かす企てや、イラクのイスラム国戦闘員への武器補給を断つといった限定的なもの。米政府当局者は、シリアでイスラム国をせん滅、崩壊させる広範な作戦を実施する可能性を否定している。 一方共和党は、イスラム国がシリアで攻勢を強め、米国人ジャーナリストを処刑したことを受け、オバマ政権に対しシリア空爆を含めもっと積極的な姿勢をとるよう求めている。 リンゼー・グラハム共和党上院議員(サウスカロライナ州)は、24日CNNテレビの番組で、米軍首脳が必要と判断するならば、シリアへの地上軍派遣を含め「イスラム国」打倒のため、あらゆるオプションを検討する必要があると述べた。しかしオバマ氏は、イラク、シリアへの地上軍派遣を否定しており、泥沼状態になる恐れのある戦闘にあまりに深く関与することには消極的な姿勢を変えていない。 一部の民主党議員もこれに同調しており、アダム・シフ下院議員(カリフォルニア州)はNBCテレビに対し、イスラム国は「おそらく2001年9月11日の同時多発テロ以降で最大のリスク」との共和党議員らの見方に同意しながらも、オバマ氏がシリアのイスラム国への空爆を承認するかどうか疑問だとしている。同議員は、「オバマ氏は軍首脳の提言に耳を傾けると思うが、米国はシリアではイラクと同様の地上軍の能力を保持しているわけではない」と指摘し、さらに「地上軍との連携なしの空爆だけでは効果は限定的であり、大統領が近くシリア空爆に踏み切る可能性は小さいと思う」と述べた。 【イラクとシリアの勢力図】紫=イスラム国支配、緑=クルド人支配、黄=最近衝突が発生した場所、黒=不明、○=国境検問所 米国防当局者は、イスラム国をある地域から撃退するため攻撃を加えた場合、シリアの反体制穏健派を利するのではなく、アサド・シリア政権が漁夫の利を得る可能性が出てくると懸念を示す。
ホワイトハウスは、イスラム国に対抗するため国際的な連合の形成に注力している。しかしピーター・ウェストマコット駐米英国大使は24日、英国はイスラム国に対する米国との共同作戦を支持するとしながらも、「現時点では直接軍事行動は想定していない」と述べ、米国とともにイスラム国に直接軍事攻撃を加えることに消極的な姿勢を示した。 同大使はまた、イスラム国がイラク政府軍から大量の米国製武器を奪取したことを指摘し、シリアの反体制穏健派に強力な武器を供与することに警戒的な発言を行った。 オバマ大統領はシリア内戦への介入を求める国際的な圧力にずっと抵抗してきたが、最近になって国防総省首脳や国家安全保障当局者は、オバマ氏がイスラム国弱体化のため、イラクからシリアに空爆を拡大する可能性を指摘するようになっている。ヘーゲル国防長官は、あらゆるオプションを検討していると述べ、米政府当局者は米軍がシリア国内の軍事訓練キャンプなど攻撃目標候補に関する情報を収集し始めたことを明らかにした。 マイク・ロジャーズ米下院情報委員長(共和、ミシガン州)は24日NBCテレビで、米国はシリアやイラクの外国人戦闘員の直接的脅威にさらされていると警告した。同委員長は、米欧諸国に簡単に入国できる西側の旅券を携行している2000人を優に上回るイスラム国の戦闘員が存在しているとの情報を指摘し、「彼らは米国本土に1枚の航空券で到達できるところにいる。だから、恐れているのだ」と懸念を表明した。 オバマ大統領は先週、イスラム国の戦闘員を「癌(がん)」と評し、過激派撲滅のための国際的な取り組みを呼び掛け、近くシリアへの空爆を承認する可能性を示唆した。ベン・ローズ大統領副補佐官(国家安全保障担当)はイスラム国の戦闘員が米国人を脅かすならば、「彼らがどこにいようとも追跡する」と述べた。 |