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リビア、内戦状態に
武装組織乱立、勢力争い 外交団は脱出相次ぐ
【カイロ=押野真也】リビアで武装勢力が勢いを増し、政府の統治機能が急速に低下、事実上の内戦状態に陥っている。日米欧など各国の外交団は相次いで首都トリポリを脱出。同国は世界有数の産油国だが、治安の悪化から原油生産も落ち込み、直近の生産量は2013年比で半減した。同国の混乱は原油相場や周辺国の治安にも悪影響を与えかねない。
リビアでは11年の内戦を経てカダフィ政権が崩壊した後、暫定議会が発足したものの、一部の勢力が議会の正統性を否定しているため事実上機能しておらず、新憲法制定のメドも立っていない。独裁体制が42年間もの長期間続いた影響で、有力な指導者候補が見当たらず「政治空白」が常態化している。
そうした中で勢いを増しているのがイスラム過激派や民兵組織などの武装集団だ。英BBC放送はリビア国内に1700以上の民兵組織が存在すると報道。政府は内戦時に流入した大量の武器の回収をできずにおり、治安悪化に拍車をかけている。国軍は一時解体され、多くの兵士が民兵組織に流入。新兵で新たに組織された国軍に治安維持能力はない。
7月中旬以降、民兵組織同士が勢力争いを強め、トリポリの国際空港で大規模な戦闘が勃発。西部を拠点とし旧国軍兵士などで組織する民兵組織「カーカ旅団」「サワーイク旅団」と、イスラム原理主義組織との戦闘で、空港に駐機中の航空機の9割が破壊され、空港は封鎖された。
7月29日には東部のベンガジで、原理主義組織「アンサール・シャリア」が国軍の特殊部隊本部を制圧。東部はこれまでハフタル退役将校が率いる民兵組織「リビア国民軍」が掌握していたが、アンサール・シャリアがベンガジを奪還し「イスラム首長国」を名乗って「独立」を宣言した。
治安悪化を受け、日本や米国、英仏独などは7月下旬から相次ぎ大使館を閉鎖。米外交団は米空軍や海兵隊の支援を受けつつ陸路で隣国チュニジアに脱出した。外資企業の従業員も国外に続々と退避している。
リビア情勢について、周辺国は懸念を強めている。アンサール・シャリアはエジプトとチュニジアでも活動しており、両国政府は国境警備を強化し、掃討作戦を進めている。エジプト軍がリビアに軍事介入するとの観測もあるが、同国のシュクリ外相はこれを否定。周辺国も米欧諸国もリビアへの関与に消極的で、リビア情勢は一層泥沼化する懸念が強まっている。
[日経新聞8月13日朝刊P.6]
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