http://www.asyura2.com/14/warb13/msg/716.html
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欧米などの対ロ経済制裁への対抗措置としてロシア・プーチン政権が打ち出した経済制裁(野菜・果物・豚肉・鶏肉・乳製品などの1年間輸入禁止措置)の対象に日本は含まれていないはずだが、主要メディアは「日本も対象か」と、日本が経済制裁の対象国に含まれるかのように報じた。
G7メンバーであり“西側”であることを自負している日本は、欧米と一緒に経済制裁の対象になるほうが恰好がつくと思っているかもしれないが、ロシアRTRニュースは、野菜・果物・豚肉・鶏肉・乳製品などの1年間輸入禁止措置の対象は、EU諸国・米国・豪州であり、日本は含まれていないと明言している。
(そのニュースでは、ご丁寧に、日本政府が発動した経済政策がクリミア企業2社からの輸入禁止とクリミア及びウクライナ東部の政治的指導者40人の在日資産凍結であることを説明し、アニメキャラに似ていることで日本でも話題になった「美しすぎる検察トップ ナタリヤ・ポクロンスカヤさん 写真特集」( http://www.jiji.com/jc/d4?p=pok515&d=d4_ii )が含まれていることを取り上げた)
ロイターは、日本政府が実施する対ロ追加制裁に関する記事「マレーシア機撃墜で対ロ制裁強化、クリミア産品輸入制限=菅官房長官」2014年 07月 28日 17:21 JST
http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPKBN0FX0KP20140728
を報じているが、ロイターが付けたタイトルそのものがデタラメである。
その記事自身を読むとわかるが、日本政府の追加制裁は、タイミングはともかく、MH17便撃墜事件とはまったく関係ない理由で決まったものである。
菅官房長官は、「ウクライナをめぐる現下の情勢を踏まえ、クリミア併合あるいはウクライナ東部の不安定化に直接関与していると判断される個人および団体に対して日本国内に有する資産の凍結などを行う。<中略>ロシアによるクリミア併合を決して承認しないとの立場から、クリミア産品の輸入制限措置を実施する」と記者会見で説明している。
日本政府が7月28日に決定した対ロシア追加制裁は、あくまでもクリミア強行再編入とクリミア東部争乱状況に関わっている責任を理由にしたものであり、MH17便はまったく関係していない。
菅官房長官は、同じ会見で、マレーシア機事故については撃墜の可能性が高いとしつつ、どの勢力が撃墜したかについては明言を避けている。
このところ対米面従腹背の色合いを深めている日本政府は、MH17便がロシアから供与された地対空ミサイルで親露武装勢力により撃墜されたという見解を採っていない。
転載する人民網の記事は、「ロシアはなぜ突然、ポーランドの果物の輸入制限に踏み切ったのか」と自問し自答しているが、ポーランドに対する果物の輸入制限の“建前として理由”は、「衛生上の理由」である。
人民網の記事は、「日本は「最大の敗者」に」という項目を立てているが、日本が経済合戦で「最大の敗者」になる根拠はそれほど示されていない。
一つは、「ロシアが南クリル諸島(日本名・北方四島)問題で強硬姿勢を取れば、安倍首相は日本国民の支持を失い、米国に追随したことを後悔することになる」というものであるが、日本の対ロ制裁は、実効性が乏しく強硬姿勢とは言えない。
もう一つは、「石油の70%から80%を中東から輸入している日本は、エネルギーの安全保障のため、ロシアの極東地区に投資し、エネルギー輸入の多元化を実現しようとしてきた。だが今回の措置で日本のこれまでの努力は水泡に帰した」というものだが、エネルギー資源輸入の多様化は中長期的な問題であり、短期間で終息する「ウクライナ危機」でどうこうなるわけではない。
人民網の記事の中で、「馬暁霖氏は、米国に頼るには日本にはほかに選択肢がないのだと語る。米国は日本に対し「二股をかける」ことを許さないためだ」と説明しているが、日本政府も、面従腹背の策を採り困難ながら国益の最大化を図っていると言える。
ただ、「あと5年もすれば中米日の3カ国のうち日本は影響力のない小さな駒にすぎなくなる」という主張には留意すべきだと思う。
※ ロシア政府は、農産品の禁輸措置で被る打撃を緩和するため、鶏肉はブラジル、牛肉はアルゼンチン、野菜と果物はエジプトからの輸入拡大を進めている。
※ 参照投稿
「ロシアの“実効性”が高い「EU&米国向け経済制裁」の実施により欧米―露間の制裁合戦は終息へ」
http://www.asyura2.com/14/warb13/msg/662.html
「対ロ制裁、欧州企業に影:そのうえに対EU制裁:資源国家に制裁をかけても効果薄:仕掛けた富裕国の方が辛い」
http://www.asyura2.com/14/warb13/msg/671.html
「対露「口先制裁」の実例:ロシアは高級公務員の外国銀行口座保有を禁止:なのに金融資産凍結が制裁のコアという喜劇」
http://www.asyura2.com/14/kokusai8/msg/302.html
「欧米の対ロシア制裁に抜け穴−最大手行は対象外:見せかけのインチキ制裁で米欧とも様々の工夫」
http://www.asyura2.com/14/warb13/msg/581.html
「どうする 日ロ関係:欧米諸国政府の見掛けの言動に囚われず日本は主体的に対露政策を進めよ!というNHKの解説」
http://www.asyura2.com/14/kokusai8/msg/750.html
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米欧日、ロシア制裁で連携 日本が最大の敗者に?
人民網日本語版 2014年08月13日09:38
ロシアは7月31日、ポーランドからの果物と野菜の輸入のほとんどを禁止する措置を取ることを宣言し、措置の範囲がEU全体に拡大される可能性も示唆した。ポーランドは世界最大の果物の輸出国で、そのうち3分の2以上はロシアに向けて輸出されている。「中国経済週刊」が伝えた。
ロシアはなぜ突然、ポーランドの果物の輸入制限に踏み切ったのか。国際問題専門家でブログ運営サイト「博客聯合社区」の総裁を務める馬暁霖氏によると、今年3月のクリミア事件を受け、欧米諸国はロシアに対して度重なる制裁を課してきた。制裁のレベルは、マレーシア航空墜落事件でさらに高められた。ポーランドをターゲットとした輸入制限は、米国やEUのこれら一連の制裁に対してロシアが取った対抗措置と考えられる。
▽本格化したロシアへの制裁
米オバマ大統領は現地時間7月29日、ロシアにさらなる制裁を実施することを宣言した。ロシアの金融・軍事産業への制裁範囲を拡大し、エネルギー産業関連の特定の商品と技術のロシア向け輸出を中断し、ロシアへの輸出奨励措置と経済発展プロジェクト融資の一時停止に正式に踏み切る。
EUの制裁措置もこれとほぼ同時に発表された。ロシア連邦貯蓄銀行・VTB銀行・ロシアガスプロムバンク・ロシア開発対外経済銀行・ロシア農業銀行の5銀行のEU資本市場での資金調達を禁止する。EUの個人または企業は、ロシア国有銀行の発行した債券や株式、その他の満期90日以上の金融商品を購入することができなくなる。このほか加盟国がエネルギー関連技術・製品を輸出する場合にも認可が必要となる。深海石油探査・開発や北極石油探査・開発、シェールガスプロジェクトに用いられる製品などは輸出許可証の取得ができない。
さらにロシアのプーチン大統領に近いロシアの政界・財界関係者も、米国とEUの制裁リストに入った。
欧米によるロシア制裁が強まる中、日本もこれに応じた動きを見せている。
菅義偉内閣官房長官は7月28日、日本が米国を初めとしたG7の国との協議を経て、墜落したマレーシア航空MH17便が撃墜された可能性が高いことなどを「総合的に判断」し、ロシアに対する追加制裁を決定したと発表した。
菅官房長官によると、日本は主要制裁措置として、クリミアのロシア編入とウクライナ東部の動乱に直接関与した個人または団体の日本での財産を凍結する。対象にはロシア政府の職員やウクライナの民間武装勢力の指導者などが含まれる。また欧州復興開発銀行の最新の決定に基づき、ロシア国内の新プロジェクトへの投資を凍結する。さらにクリミアからの商品の輸入も制限する。
▽低迷するロシア経済に打撃
ここ数年、ロシア経済は低迷し、2013年の経済成長率はわずか1.3%にとどまった。米国やEU、日本の制裁は、ロシア経済の歩みを危うくすると心配する声もある。
実際に、EUの制裁はロシアの低迷に拍車をかける恐れがある。馬暁霖氏によると、EUの制裁はロシア側の95人と23団体をブラックリストに入れており、これが現実のものとなれば、ロシア経済にかなりのダメージが加わる。双方は互いに最も重要の貿易パートナーであり、2013年の二者間貿易総額は3270億ユーロで、露米貿易総額200億ドル余りの数10倍、露日貿易の10倍に達する。
馬氏によると、米露の貿易総額はそれほど大きくないが、米国は、世界の金融市場における独占的地位を通じてロシアに圧力を加え、ロシアの資本流動を阻害し、ロシアの関連企業の融資に影響を与える力を持っている。ロシアの中小企業に対する融資額は上半期だけで2割縮小しており、通年の外資流失額は1000億ドルに達すると見られる。
▽日本は「最大の敗者」に
ドイツのガブリエル副首相兼経済・エネルギー相は、新たな制裁措置の発表後、制裁措置が欧州経済にダメージを与える可能性があることを認めた上で、ロシアへのダメージはさらに大きいとし、欧州経済へのダメージは払うに値する代価だと語った。
だがこの「一千の敵を殺し、味方を八百失う」とも言える思い切った制裁によってEUが支払う代価は、ガブリエル副首相の予想を超えるものになる可能性がある。
あるロシア高官によると、もしも真っ向から対立した場合、ロシアは西側の封鎖を受けても1年は持ちこたえることができるが、西側はロシアの天然ガスがなくなれば1カ月も持たないという。
馬氏によると、欧州は天然ガス輸入の3分の1をロシアに依存しており、もしこれがなくなれば、今年の冬を安全に越せるかということさえEUでは問題になる。さらに貿易が完全に停止されれば、EUは2070億ユーロの大市場を失うこととなる。
今回の制裁で目を引くのは日本の動きだ。安倍首相は、順調な展開をみせていた日露関係を顧みることなく、ロシアの非難へと転じた。
馬氏によると、「日本は最大の敗者となる」。ロシアが南クリル諸島(日本名・北方四島)問題で強硬姿勢を取れば、安倍首相は日本国民の支持を失い、米国に追随したことを後悔することになるという。
中国現代国際関係研究院世界経済研究所の陳鳳英所長は、「日本のこの一手はうまいものとは言えず、日本に戦略的な損失をもたらすことになる。石油の70%から80%を中東から輸入している日本は、エネルギーの安全保障のため、ロシアの極東地区に投資し、エネルギー輸入の多元化を実現しようとしてきた。だが今回の措置で日本のこれまでの努力は水泡に帰した。その利益が損失を上回っているとは言えない。結果は、『元も子もなくなる』のである。米国もこれをどうにかしてくれるわけではない」。
陳所長は、あと5年もすれば中米日の3カ国のうち日本は影響力のない小さな駒にすぎなくなると主張する。「米国との協力には慎重さが必要だ。米国は小さなパートナーの利益などは考慮しない。欧州債務危機ではそれが再度確かめられた」
馬暁霖氏は、米国に頼るには日本にはほかに選択肢がないのだと語る。米国は日本に対し「二股をかける」ことを許さないためだ。(編集MA)
「人民網日本語版」2014年8月13日
http://j.people.com.cn/n/2014/0813/c94476-8768964.html
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