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26年前の撃墜に学ぶ教訓:マレーシア機の悲劇と88年の米海軍によるイラン航空機撃墜の共通点が示唆するもの
http://www.asyura2.com/14/warb13/msg/684.html
投稿者 あっしら 日時 2014 年 8 月 11 日 04:30:44: Mo7ApAlflbQ6s
 


 つい最近起きたとうてい許されざる暴虐行為であるMH17便撃墜は、非難しても蛙の面に小便のイスラエルが行っている虐殺的ガザ攻撃や米軍の“参戦”によるイラク内戦の激化という展開のなかで“埋没”し、遙か昔の出来事のようになってしまった。

 今回紹介するのは、88年にホルムズ海峡で起きた米海軍のミサイル巡洋艦イラン民間航空撃墜事件とウクライナで起きたMH17便撃墜事件の“類似性”を論じた「ニューズウィーク日本版」の記事である。

 寄稿者のフレツド・カプラン氏は、イラン民間航空機撃墜事件に関する自身の説明内容に従えば、米軍の“意図的な撃墜”としか言いようがないものであるにもかかわらず、失敗による不幸な“誤射”事件と思わせるよう読者を誘導している。

 さらに、MH17便撃墜経緯を知りながらわざと曖昧にしているという意味では同罪だが、MH17便の撃墜主体ないし直接の撃墜協力者とは言い難いロシア・プーチン政権に対して、「ロシア当局は責任逃れの嘘を重ね、ウクライナ政府を非難している」とあらぬ非難を行っているのも度し難い態度である。

 あげく、証拠さえ示すことができないウクライナ政府や米国政権の問題は棚に上げて、「おぞましい失敗を犯したらすぐにミスを認めることだ。レーガン政権やブッシュ政権がイラン機撃墜の失敗を早期に認め、遺族への補償を進めていれば、紛争が相次ぐ昨今の中東でアメリカはもう少し好意的に受け入れられていたかもしれない。
 ウクライナ情勢をめぐってプーチンがすぐに誤りを認めれば、ロシアのイメージアップにつながるはずだ。あからさまな嘘を重ねていては、悪役のイメージが強化される一方だ。
 レーガン政権とビンセント号の乗組員が責任を負うべきだったのと同じように、プーチン政権と撃墜の実行グループは責任を取るべきだ。ただし、それは彼らをテロリストや戦争犯罪者扱いするという意味ではない。
 戦場での忌まわしい失敗とテロ行為は別物だ。そしてウクライナ問題に欧米が関与するなら、ウクライナが平和と繁栄を取り戻すための支援を中心にすべきだろう」と奇妙な“落とし所”まで教授している。

 ロシア・プーチン政権が真っ当なかたちでMH17便撃墜の経緯を明確にすれば、ウクライナ政権のみならず、ウクライナ政権とほぼ同じタイミングで、撃墜主体(親露派武装勢力)と撃墜方法(親露派武装勢力がロシア・プーチン政権から供与されたBUK)を具体的にあげつらってロシアを非難した米国オバマ政権の“犯罪”が暴かれることになる。


 MH17便撃墜事件に関わる部分はたんなるプロパガンダの役立たずだが、米軍が88年に起こしたイラン民間航空機の撃墜事件を再確認する一助になればという思いで投稿させていただいた。

※ 関連参照投稿

「[MH17便墜落]撃墜なら非ロシア勢力:イラン−イラク戦争と同じようにこれを機にウクライナ内戦が終結に向かう可能性」
http://www.asyura2.com/14/kokusai9/msg/161.html

「親ロ派指導部、大半はロシア出身:親ロ派指導者が辞任:“誤射説”と“両成敗”で幕引きは「米露欧合作」の証拠」
http://www.asyura2.com/14/warb13/msg/474.html

「[MH17問題参考]シベリア航空機撃墜事件:ウクライナ軍の地対空ミサイル誤射が原因とされる01年の民間航空機撃墜事件」
http://www.asyura2.com/14/warb13/msg/451.html

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『ニューズウィーク日本版』2014−8・5
P.34・35

「26年前の撃墜に学ぶ教訓

マレーシア機の悲劇と88年の米海軍によるイラン航空機撃墜の共通点が示唆するもの

フレツド・カプラン(米外交問題評議会研究員)

 ウクライナ上空でマレーシア航空17便が撃墜された事件で、怒りと悲しみが国際社会を覆い尽くしている。しかし、ウクライナの親ロシア派を支援していたロシアのウラジーミル・プーチン大統領を「戦犯」扱いするだけでは、問題は解決しない。逆に、不幸な偶然が重なった事故として片付けるのも早計だ。

 この悲劇をウクライナ情勢を好転させる契機に変えるには、26年前の事件との類似性に注目することが役立つかもしれない。

 イラン・イラク戦争下の88年7月3日、ペルシャ湾のホルムズ海峡上空でイラン航空655便が撃墜され、乗客・乗員全員が死亡した。民間機に向けてミサイルを発射したのは、この海域の警備を担っていた米海軍のミサイル巡洋艦「ビンセンス」だった。
 今では忘れ去られているが、これは史上10番目に多くの死者を出した航空惨事であり(マレーシア航空17便は9番目)、米国防総省にとっては言い訳のしようがない最大級の汚点だ。

 2つの事件は多くの点で似ている。マレーシア航空のボーイング777はロシア国境に近いウクライナ東部の内戦地帯上空を飛び、イラン航空のエアバスA300は、イラン・イラク戦争の影響で民間タンカーヘの攻撃が相次いでいたホルムズ海峡の上空を飛行していた。

 ウクライナでは、親ロシア派の武装勢力がマレーシア機をウクライナ軍の軍用機と間違えたとみられる。ホルムズ海峡では、ビンセンス号のウィル・ロジャーズ艦長が民間機をイラン軍のF14戦闘機と誤認した。
 被害の大きさも共通している。マレーシア航空機では子供約80人を含む298人が、イラン航空機では子供66人を含む290人が犠牲となった。

 7月17日の撃墜事件後、ロシア当局は責任逃れの嘘を重ね、ウクライナ政府を非難している。26年前のアメリカも多くの嘘を重ね、イラン航空機のパイロットに責任を押し付けた。米政府が遺族への補償を決め、遺憾の意(謝罪ではない)を表明したのは事故から8年後のことだ。

 当時、ボストン・グローブ紙の防衛担当記者として事件を報じた筆者は、米当局者の嘘が露呈していくのを目の当たりにした。撃墜から1カ月半後の8月19日、国防総省は53ページの報告書を発表した。そこにはアメリカの当初の説明の大半が誤りだったことが示唆されていたが、それでも艦長らの行動は適切だったと結論付けていた。

 例えば、事故当日に行われた国防総省の会見でウィリアム・クロウ統合参謀本部議長は、高度9000フィートを飛行していたイラン航空磯が速度450ノットの「高速」で、ビンセンス号に「向かって臭っすぐに」降下してきたと語った。だが報告書では、同機は380ノットで「1万2000フィートまで上昇」しており、「高度を下げた」ことは「一度もなかった」と訂正されている。


報告書が暴く米政府の嘘

 報告書の発表会見で筆者はこの食い違いについて質問したが、フランク・カールッチ国防長官の返答は信じ難いものだった。

「その違いが(撃墜の)判断に影響したかは疑問だ」

 クロウの会見と報告書には、ほかにも重大な食い違いがある。クロウはイラン機が「規定の民間飛行ルートを外れていた」と発表したが、報告書は「規定のルート内」だったとしている。
 さらにクロウは、同機から発信されたトランスボンダ(識別信号)が軍用の「モード2」だったと語ったが、報告書によれば実際には民間機用の「モード3」が使われていた。
 ビンセンス号がイラン機に対して複数回警告を発していたとの主張についても、食い違いがある。報告書は警告を発したのは事実だが、パイロットは離着陸時の膨大な業務と管制塔との通信に追われ、警告償号をモニタリングしていなかった可能性が高いと結論付けた。
 にもかかわらず事件から2年後、ロジャーズはビンセンス号艦長としての「卓越した尽力と並外れた功兢」を理由に勲功章を授与された。

 さらに衝撃的なのは事件から4年後の92年、ABCの報道番組『ナイトライン』に出演したクロウが、イラン機を撃墜した際に公海にいたとされていたビンセンス号が、実際にはイラン領海内にいたと認めたことだ。
 イラン軍の小型艇を追って軍艦をイラン領海内に侵入させたロジャーズの判断について、海軍内で疑問の声があつたことも明らかになった。ビンセンス号が最新鋭のミサイル防衛システムを搭載していたことに加えて、小型艇の追跡に気を取られたことが、致命的な判断ミスを誘発したのかもしれない。

 事件後間もなく、イランは国連安保理に米軍の「犯罪行為」に対する問責決議を求めた。だが当時、レーガン政権の副大統領を務め、次期大統領選に出馬していたジョージ・ブッシュは「謝罪することは絶対にない。事実など気にしない」と語っていた。
 アメリカがようやく遺憾の意を表明し、イラン政府に1億3180万ドルの賠償金(遺族への補償はそのうちの6180万ドル)を支払うことに同意したのは96年。ブッシュ政権後に誕生したクリントン政権時代のことだ。賠償と引き換えに、イランは国際司法裁判所への提訴を取り下げた。


ミスとテロは区別すべき

 多くのイラン国民が長い間、撃墜は意図的な攻撃だったと信じていた。最先端の軍備を備えた米海軍が人為ミスでこんな悲惨な事故を起こすとは考えにくい上に、「大悪魔」の国アメリカらしい悪行と映ったからだ。
 26年前にアメリカが責任を認めなかったから、プーチンにも責任がないという話ではない。今日のウクライナにおけるロシアと、四半世紀前のペルシャ湾におけるアメリカの立場が同等だというつもりもない。
 ただ、ビンセンス号の失敗には忘れられた歴史の1ページにとどまらない教訓が潜んでいるのも事実だ。

 まず、こうした惨劇は戦闘地域と日常生活が交錯する場面で起きやすいため、両者を完全に分ける努力が必要だ。
 それ以上に重要なのは、おぞましい失敗を犯したらすぐにミスを認めることだ。レーガン政権やブッシュ政権がイラン機撃墜の失敗を早期に認め、遺族への補償を進めていれば、紛争が相次ぐ昨今の中東でアメリカはもう少し好意的に受け入れられていたかもしれない。
 ウクライナ情勢をめぐってプーチンがすぐに誤りを認めれば、ロシアのイメージアップにつながるはずだ。あからさまな嘘を重ねていては、悪役のイメージが強化される一方だ。

 レーガン政権とビンセント号の乗組員が責任を負うべきだったのと同じように、プーチン政権と撃墜の実行グループは責任を取るべきだ。ただし、それは彼らをテロリストや戦争犯罪者扱いするという意味ではない。
 戦場での忌まわしい失敗とテロ行為は別物だ。そしてウクライナ問題に欧米が関与するなら、ウクライナが平和と繁栄を取り戻すための支援を中心にすべきだろう。
 ロシアの後ろ盾を得た分離独立派の台頭によって戦争と日常が交錯し、それがマレーシア航空17便の惨劇を引き起こす土壌となった。今こそすべての陣営が現実主義に徹し、流れを変えなければならない。」


 

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