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2014年8月8日(RIAノボスチ) モスクワ
ロシアが発動した対EUの農産物、食品の全面禁輸措置は経済的打撃は勿論、EUにとって政治的悪夢を見ることになる。
欧州の何人かの首脳の反応を見る限り、ロシアがEUの弱点を狙ってきたことは、おおよそ彼らの予想の範疇であったようである。さっそくポーランドとフィンランドは公式にEUに対して(経済損失に対しての)補償を求める考えを表明した。
ヨーロッパの首脳達は度々EUの共同連帯の原則を訴えてきたが、実は、EUにはロシアの経済制裁に対する損害を補償する法的枠組みが無いのである。又、現在のEUの最悪の経済状況では、補償を担保する追加資金を見つけることは非常に難しい状況であることは簡単に推測することができる。
これらの問題で言えることは、EUが、ロシアの禁輸措置の対象となったEU各国の政治的リーダー達から経済的補償を要求されることは、避けられないであろうということだ。何故なら、リーダー達にとっては経済的損失に対処できる唯一の政治的手段であるからだ。
在ロシアのEU大使によると、EUはロシアの食料禁輸措置により1兆6千億円の経済的損失を被るということだ。しかしこの試算は、損失という点では正確を期したものではない。なぜならロシアの禁輸措置によって被る直接的な損害のみの試算であるからだ。つまり、ロシアに作物を輸出できない農場経営者たちは、銀行からの借入金を返済できなり、(種苗や肥料などの)仕入れ業者への支払い、従業員への給与の支払いができなくなるのである。(ロシアの禁輸措置によって)損害を被る国、貿易業者、農業組合は補償をEUに求めるだろう。まさしく、彼らの悲劇の矛先がEU執行委員会に向けられるわけである。
さて、EU執行委員会は、そのようなシナリオに対応する、まさかの時の為のプランをちゃんと用意できているのであろうか?答えは明らかで、「ノー」だ。なぜなら、官僚たちは、(机上の計算は得意かもしれないが、)国際的な制裁措置というのは、多くの人が巻き込まれ、影響を被る単なるゲームであるという想像力があろうはずが無い。欧州からのロシアへの食品輸入を禁止することによって、ウラジミール・プーチンはロシア政府とEU執行委員会との間の問題をEU内部の問題へと移したのだ。
見捨てられた農場経営者、銀行、仕入先、そして従業員たちはEUとロシアの間に立って、直ちに対立を止めるように要求するだろう。まさか、欧州は米国のウクライナに対する地政学的野心を果たすのを助けるために彼らの国益を犠牲にする覚悟があるというのか?あるわけがない。
ヨーロッパの経済紙の筋金入りのロシア嫌いの編集者たちでさえ、欧州の経済制裁は間違いなくウクライナのためにならないし何の利益ももたらさないと理解し始めていて、(イギリスのシンクタンク)エコノミスト・インテリジェンス・ユニットもツイッターにて同様に結論付けている。
https://twitter.com/TheEIU/statuses/497053709667676161
希望的観測だが、ブリュッセルの政策決定者たちが同様の結論を導いて、制裁を取り下げ、アメリカ政府に欧州への干渉を止めさせて、最終的にロシアを含めた有意義なヨーロッパ大陸の安全保障の枠組みを作ることがそんな遠くない時期に訪れることを願う。
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