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先進技術実証機ATD−Xの実物大模型(防衛省技術研究本部提供)
国産ステルス機「心神」とは 悲願の「日の丸戦闘機」開発 高性能で周辺諸国も注目
http://www.zakzak.co.jp/society/politics/news/20140801/plt1408011527003-n1.htm
2014.08.01 夕刊フジ
日本は、将来の国産戦闘機「F−3」の試作機となる「先進技術実証機“ATD−X”(心神=しんしん)」の初飛行を、今年中に行う計画を進めている。防衛省・技術研究本部(技本)が、三菱重工業などとともに開発しているもので、高い運動性能やステルス性などを確保し、周辺諸国も注目しているという。悲願の国産戦闘機が背負った歴史と実力について、ジャーナリストの桜林美佐氏が迫った。
「『心神』ですか…、その名前はちょっと…」
4、5年前だったろうか、技本が長年研究を進めてきた「先進技術実証機」について聞いたとき、やや歯切れの悪い返事が返ってきた。「日の丸戦闘機の開発か!?」と期待する声がいまだに多い実証機、誰が呼んだか通称『心神』。
しかし、当時の雰囲気としてはかなり控えめだったことが印象深い。それもそのはず、わが国の戦闘機開発は、かつて国産を目指しながら共同開発の選択をせざるを得なかったFSXで、一度は挫折を味わったのだ。
国産戦闘機開発の声が高まったのは、そのF2の開発が終わりかけた1996年ごろだったというから、決して口にはしないが関係者たちの秘めたる思いがうかがえる。
ところが、FSXの呪縛は続いていた。国内での検証を進め、その後、ステルス性の性能試験を米国施設で行おうとし打診したものの、拒否されたのだ。結局、2005年にフランス装備庁の電波暗室に実物大RCS(レーダー断面積)模型を持ち込み実施したのである。
「やはり、米国は気にしているのか…」。そう思わせる出来事だった。
こうしたなか、世界の戦闘機事情は、こぞって「第5世代」時代に入っていた。第5世代機は、(1)ステルス性(2)超音速巡航性能(3)高度な火器管制装置−を備えているのが特徴だ。航空自衛隊の主力戦闘機F15は「第4世代機」である。中国のJ20(殲20)やロシアのT50などが数年内に配備されるとみられるため、わが方の近代化は喫緊の課題だ。
そして、それが米国への全面依存なのか、独自技術を活用できるのかは大きな国力の違いとなる。
「実証機」は、耐熱材料など日本の強みを生かしつつ、高運動性を実現、レーダーに探知されずに敵を捕捉できる優れたステルス性も確保した。エンジンはIHI製のXF5−1を採用している。
「こうした技術を持っているだけでもバーゲニングパワー(=国際間の交渉・折衝などにおける対抗力)になります」
関係者は、すでに「第6世代」も意識し始めており、実証機は「次のまた次」を見据えた課題も背負うことになるようだ。
「飛んでからが次のスタートです」
年内を予定する初飛行、その成果に国内のみならず、周辺国も大いに注目しそうだ。
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