http://www.asyura2.com/14/warb13/msg/565.html
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テレビで御用を務める方々はほとんどがそうだし、阿修羅でさえそういう人も見受けられるが、英エコノミスト誌までもが、暑さのせいか、“精神の崩壊”をきたしたようだ。
英エコノミスト誌やたいていの御用評論家は、わかっていながら戯言を書いたり語ったりしているからまだ救いがあるが、現時点までに報じられてきた内容を基に、真顔で、MH17便777はBUKで撃墜されただの、親露派武装勢力が実行しロシアがそれを支えただのを信じている人は滝に打たれて頭を冷やしたほうがいいと真顔で進言する。
別に、MH17便777がBUKで撃墜された可能性や親露派武装勢力が実行しロシアがそれを支えた可能性を捨て去れと言っているわけではない。
西側諸国もロシアも撃墜事件をまともに調査する気がないようにも見えるから、あらゆる可能性をピックアップし、その一つ一つを吟味し、排除できるものは排除し、より詳細な検討を続けなければならないものはキープして絞り込みを行っていかなければならない。
MH17便墜落後ほどなく「MH17便が、事故ではなく、攻撃を受けて墜落したことは間違いない」と米国の副大統領が世界に向かって広言したことが、親露派武装勢力によるミサイル撃墜説の起源と言えるだろう。
しかし、MH17便がBUKで撃墜された可能性は“状況証拠”的に薄くなり、今のところ、親露派武装勢力が誤射であれMH17便を撃墜したという“証拠”も皆無といっていいだろう。
先週末(土・日)の日本のテレビメディアが関連番組で取り上げていた「親露派武装勢力が誤射であれMH17便を撃墜したという“状況証拠”」は、唯一、ロシア政府の疑義にウクライナ政府が答えられていないインチキ臭い「BUK、祖国ロシアに帰る」の映像といっていいだろう。
(ロシア政府が撮影場所の説明がおかしいと疑義を呈していることくらい承知のはずなのに、それには一切触れないままあの映像を垂れ流すのだからウソつきのガキ未満だ)
人権と反戦平和の尊重を掲げてきた人が、これまで公表されていることを根拠に、意図や目的はともかく、親露派武装勢力がBUKでMH17便777を撃墜したと主張しているのなら、人権と反戦平和の看板は投げ捨てたほうがいいと言いたい。
今は、誰が地面激突映像を撮影したのか?BUKに搭載されているミサイルはどのような性能を有しているのか?墜落直前のMH17便のそばを飛行していた旅客機の乗員・乗客の目撃はなかったのか?Su25の性能は?などが、機体残骸調査と併行して調査されたり明らかにされたりしなければならないはずである。
※ 関連参照投稿
「MH17撃墜事件で民主主義と人権を標榜してきた西側諸国が見せた恥ずべき醜態:水掛論になる機体より重要な手掛かりが存在」
http://www.asyura2.com/14/warb13/msg/527.html
「重要国際問題の扱いについて米国の情報機関から欧米(日本も?)の主要メディアに“お達し”があるという内実を暴露したNHK」
http://www.asyura2.com/14/senkyo169/msg/115.html
「BUKならMH17は空中でバラバラ:激突映像や墜落現場もBUK以外の攻撃手段での撃墜を示唆」
http://www.asyura2.com/14/warb13/msg/514.html
「ダイナモ氏の「機体は上空で空中分解」や「Su-25攻撃機でB777を撃墜することは不可能」という奇妙な説明を検証」
http://www.asyura2.com/14/warb13/msg/515.html
「キエフ政権が公表した重要証拠“ロシアに戻る「BUK」”の短い動画も看板の表記から政権支配地で撮影したものと判明」
http://www.asyura2.com/14/warb13/msg/510.html
「親ロ派指導部、大半はロシア出身:親ロ派指導者が辞任:“誤射説”と“両成敗”で幕引きは「米露欧合作」の証拠」
http://www.asyura2.com/14/warb13/msg/474.html
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The Economist
ロシアとMH17便と西側:嘘の網
2014.07.28(月) The Economist
(英エコノミスト誌 2014年7月26日号)
ウラジーミル・プーチン氏の大がかりな欺瞞は、ロシア国民と世界に重大な結果をもたらす。
ソビエト共産主義が崩壊した1991年、ロシアの人々はついに、ごく普通の西側民主主義国家の市民になるチャンスを手にしたかに見えた。だが、ウラジーミル・プーチン大統領がロシアの歴史にもたらした悲惨な貢献は、ロシアをそれとは別の道へと導くことだった。
にもかかわらず、世界中の多くの人々は、利己心や自己欺瞞から、プーチン氏の本当の姿を見ようとしていない。
何の罪もない298人が犠牲になり、その遺体がウクライナ東部のヒマワリ畑で冒涜されたマレーシア航空MH17便撃墜事件は、何よりもまず、人生を突然断ち切られた人々とその死を嘆き悲しむ遺族の悲劇だ。だが、この事件は、プーチン氏がもたらしてきた害悪の大きさを示すものでもある。
プーチン氏の支配下でロシアは昔に逆戻りし、もはや真実と嘘の見分けがつかず、事実が政権の都合で利用される場所になってしまった。プーチン氏は愛国者を気どっているが、実際のところは危険人物だ。脅かされているのは、国際的な規範や近隣諸国だけではない。プーチン氏お得意の感情的な反欧米プロパガンダに酔う、ロシア国民自身にとっても脅威となっている。
世界に必要なのは、プーチン氏がもたらしている危険を直視することだ。今すぐ立ち向かわなければ、さらに悪い事態が起きるだろう。
はりつけその他の作り話
プーチン氏はMH17便の悲劇をウクライナのせいにしているが、MH17便を破壊した張本人はプーチン氏だ。最高裁判所レベルの状況証拠が指し示す結論は、親ロシア派の分離主義者が、恐らくはウクライナの軍用機と見誤って、その勢力圏内からMH17便に向けて地対空ミサイルを発射したというものだ。
親ロシア派の指導者たちはソーシャルメディアで撃墜について得意げに語っており、ウクライナの諜報機関に傍受され、米国が本物として確認したメッセージで自分たちの誤りを嘆いた。
ロシアの大統領は、親ロシア派の犯罪行為に二重に関わっている。第1の関わりは、問題のミサイルがロシアにより提供され、その操作員がロシアの訓練を受け、撃墜後に発射装置が密かにロシアに戻されたと見られる点だ。第2に、プーチン氏はもっと広い意味でこの件に関わっている。というのも、これはそもそもプーチン氏の戦争だからだ。
自称「ドネツク人民共和国」の中心にいるのは、分離主義のウクライナ国民ではなく、諜報機関に属している(または属していた)ロシア国民だ。かつての諜報機関の同僚であるプーチン氏は、戦闘のための資金を出し、戦車や兵員輸送車、迫撃砲を――そして地対空ミサイル数基を提供していた。引き金を引いたのは分離派だが、糸を引いていたのはプーチン氏だ。
MH17便撃墜という罪の重大さからすれば、プーチン氏はこの時点で、ウクライナ東部の戦闘を扇動する方針を撤回してしかるべきだった。だが、プーチン氏はあくまでもその方針を貫いている。それには2つの理由がある。
第1に、プーチン氏が力を注いでつくり上げてきた社会では、嘘をつくことが初期対応の1つだからだ。今回の惨事が起きた直後には、矛盾する、あり得ない説が次々とロシア当局やロシアのメディアにいる政府の代弁者から流れ出た。「実はプーチン氏の乗った飛行機が標的だった」「ウクライナ軍のミサイル発射装置が近くにあった」などだ。
そして、嘘はさらに複雑になっていった。ミサイルを撃ったのはウクライナの戦闘機だとするロシア側のでっち上げが、戦闘機はMH17便と同じ高度では飛べないという問題にぶつかると、ロシアのハッカーがウィキペディアの記述に手を加え、短い時間なら戦闘機でもその高度を飛べると書き換えた。
そうした拙いソビエト流の工作は、簡単に笑い飛ばせるものだ。だが、それで彼らの目的が台無しになるわけではない。というのも、彼らの狙いは、相手を納得させることではなく、ある程度の疑問を投げかけて、真実を「見解の問題」にすり替えることにあるからだ。嘘つきたちの世界では、欧米も嘘をつかないとは限らないではないか、というわけだ。
第2の理由は、プーチン氏が自身の嘘の網にからめ捕られていることだ。それが当然の成り行きであることは、どんなに平凡な倫理学者でも予想できただろう。プーチン氏の息のかかったメディアが、「キエフを支配するファシストとウクライナ兵らによる3歳男児のはりつけ」を巡るプロパガンダを企てた際には、ロシア有権者の間でのプーチン氏の支持率は30%近く跳ね上がり、80%を超えた。
嘘で国民を鼓舞してきた皇帝が、「よく考えてみればウクライナ政府もそれほど悪くない」と表明し、いきなり嘘の網から抜け出すことはできない。また、西側はロシアの破壊しか考えていない敵で、プーチン氏自身と同じように、ためらいなく嘘と賄賂、暴力という手段に訴えてくるとする主張を撤回することも不可能だ。こうして、国内でついた嘘が国外での悪行を煽ることになる。
ためらいは捨てろ
ロシアでは、このようなダブルスピーク(二重語法)は、共産党中央機関紙「プラウダ」が真実を語っていると主張していたソビエト連邦時代を彷彿させる。今回の「嘘つきによる統治」も、結局はソ連時代のそれと同じ道をたどるだろう。いずれ嘘が明るみに出て、とりわけプーチン氏とその取り巻きがどれほど多くのカネを国民からかすめとってきたかが明らかになれば、プーチン氏は失脚するだろう。
悲しいかな、以前と違う点は、今回は西側の態度が異なっていることだ。かつての西側諸国は大抵、ソ連に立ち向かい、その嘘を糾弾する用意があった。だが、プーチン氏に対しては、西側諸国は見て見ぬふりをしている。
ウクライナを見るといい。クリミア併合後、欧米はロシアにごく小規模な制裁を科し、プーチン氏がウクライナ東部に侵攻した場合にはさらに厳しい措置を取ると警告した。プーチン氏は、事実上その通りのことをしている。ロシア軍の制服こそ着ていなかったものの、ロシアの資金援助を受けた武装組織がウクライナの一部を支配下に収めたのだから。
だが、欧米はプーチン氏の嘘に調子を合わせる方が好都合だと考え、最終的に科された制裁は、軽すぎるうえに遅すぎた。同様に、プーチン氏が停戦を自らまとめたと主張し、その覆いの下で反政府勢力への支援を続けた時も、欧米の指導者たちは二の足を踏んだ。
MH17便の乗客の殺害後も、欧米の反応は、足を引きずっているかのように鈍かった。欧州連合(EU)は大規模な制裁を科すと警告しているが、それもプーチン氏が調査に協力せず、分離派への武器提供を止めなかった場合、という条件付きだ。
フランスは、必要であればロシアへの軍艦売却を差し止めると表明しているが、受注済みの2隻のうちの1隻については売却手続きを進めている。ドイツとイタリアは、外交ルートは開いておくべきだと主張しているが、そこには、制裁が科されれば自国の商業的利益が損なわれるからという理由もある。
英国は制裁を求めているが、ロンドンのシティ(金融街)の利益になるロシアンビジネスに痛手を与えることには乗り気でない。米国は、発言こそ強硬だが、目新しいことは何ひとつしていない。
不十分な対応は宥和であり、MH17便の犠牲者への侮辱
もうたくさんだ。欧米は、プーチン氏のロシアが根本的に敵意を抱いているという不愉快な真実を直視すべきだ。橋渡しをして関係を修復するというアプローチでは、プーチン氏を説得して普通の指導者のように振る舞わせることはできない。
欧米は今すぐ厳しい制裁を科し、プーチン氏の腐敗した取り巻き連中を追い落とし、真実を話すことを前提とするすべての国際的な対話の場からプーチン氏を追放すべきだ。それ以下の対応は、どんなものも宥和であり、MH17便に乗っていた無辜の人々に対する侮辱でもある。
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英エコノミスト誌の記事は、JBプレスがライセンス契約 に基づき翻訳したものです。
英語の原文記事はwww.economist.comで読むことができます。
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/41340
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