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2014.07.26 B29への体当たりを見た(リベラル21)
http://www.asyura2.com/14/warb13/msg/563.html
投稿者 gataro 日時 2014 年 7 月 29 日 10:01:24: KbIx4LOvH6Ccw
 

2014.07.26 B29への体当たりを見た
メール通信「昔あったづもな」第17号
小澤俊夫
(小澤昔ばなし研究所所長)
http://lib21.blog96.fc2.com/blog-entry-2862.html


 あちこちの戦線で「玉砕」があったことが報道され始めた頃、ぼくたち中学二年生は「勤労動員」と称して軍需工場に労働力として駆り出された。このことは通信第11号「火薬作り」でも書いたが、ぼくは立川で、東京府立第二中学校に在学していたので、南多摩にある陸軍第二造兵廠に配属された。ぼくらの仕事は、出来上がった火薬を木箱に詰めて封印し、馬車で火薬庫に運びこむ仕事だった。送られてきた火薬を木綿に包み、木箱にきれいに並べて詰め、蓋を釘で打ち付ける。仕上がりの重さは30キロと言われていた。木箱を作業室の一隅に積み上げる。
 
 箱がたまると馬車が来る。ぼくらは積み上げた木箱を肩に担いで馬車に積み上げる。それから、馬車と一緒に遠くの谷間にひっそりかくれている火薬庫まで運び、火薬庫の中にまたきちんと積み上げる。それが一連の仕事だった。火薬だから絶対に落としてはいけない。「万が一落としそうになったら、手がつぶれてもいいから、最後まで手を放すな」ときつく命令されていた。
 木箱を担ぎ上げるには、箱の両側にひとりずつ立って持ち上げる。担ぎ手は肩を入れ、箱を45度に傾けて肩に乗せる。肩に食い込んで、肩当てをしていても痛かった。肩はだんだんに固くなり、翌年の敗戦のころには鉄板のように固くなっていた。
 
 30キロの次に来たのは45キロの箱だった。中身は戦車地雷の火薬とのことだった。政府は、「本土決戦」という言葉を使って、アメリカ軍を本土まで「おびきよせて」本土で殲滅するのだという。そのための戦車地雷だった。サイパン、グアムで負けた日本軍が、本土なら勝てるというのである。もし天皇が本当にそこまで敗戦を決断していなかったら、日本本土での犠牲者は数知れなかっただろう。
 
 次に来たのは60キロの箱だった。これも一人で担がなければならないので、箱を担げる人数は少なくなった。次の年になって来たのは90キロと110キロの箱だった。これは、九州の知覧特攻基地からアメリカの軍艦に向けて突っ込む特攻機が抱いていく爆弾の火薬だった。この重さの箱を担げるものはクラスに三人しかいなかった。ぼくは体が一番大きかったのでその中の一人だった。中学三年である。今、子どもにこんなことをさせたら大問題になるだろう。その頃はすべて「お国のため」だったのである。


 空襲警報が鳴ると、ぼくらは谷間の火薬庫に避難させられた。グラマンなどの艦載機が超低空飛行でやってきた。ぼくらは、一発撃ち込まれたらお終いだと観念した。だがグラマンは撃ってこなかった。彼らはもう勝利を確信していたから、火薬庫は後で使えると思ったのだろう。実際、占領後はアメリカ軍が基地として使った。


B29の大編隊が東京空襲に向かって上空を通過したことが度々あった。ある日、ぼくらは空襲警報が出たので、火薬庫の防空壕に潜んだのだが、大編隊は東京方面に流れているので、呑気に上空の様子を見ていた。B29は三機で三角形の一組を作り、それが三組で大きな9機の三角形を作っている。光の点がそれに接近していき、またはなれていく。日本の戦闘機である。
そのうちに、光の点がB29に吸い込まれたかと思うと、次の瞬間、ちぎられた銀紙がパッと広がり、エンジンだけが黒煙を引いて地上に落下していった。戦闘機が体当たりしたのだった。この瞬間に、日本の飛行士もアメリカの飛行士も即死したはずである。ぼくらは言葉なく、空を見上げていた。


そのうちに、パラシュートがぽつっ、ぽつっと二つ開いた。当然アメリカの飛行士だと思った。ところが翌日の新聞を開くと、体当たりした日本の飛行士が奇跡的に生還したということだった。よほど運動神経の発達した人だったのだろう。体当たり寸前に戦闘機から脱出したのだそうだ。新聞は「軍神」と書き立てて大騒ぎをした。負けそうになっている日本人を奮い立たせるのに役立てたかったのだろう。だがこの飛行士も、たしか三回目には失敗して戦死した。


戦争は、人と人とが殺しあうものである。必死になって殺しあう。戦争になってしまうと、もうそれを止めることはできない。あのきれいな青空で、光の点がB29に吸い込まれた瞬間、アメリカの若者たちが死んだ。あの時生還した日本の飛行士も、同じように空で死んでいった。
戦争を始めたい人間はいつも「自衛」だという。自分に正義があるという。だが、正義の戦争なんてない。戦争を始めたい人間の言葉に騙されてはならない。(2014・7・16)
 

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コメント
 
01. 2014年7月29日 13:38:35 : w3M1BHSquE
東京大空襲の時、B29は 戦闘機を迎え撃つ機銃まで外して その分 焼夷弾を余計に積んだそうな
日本の迎撃戦闘機隊も舐められたもんだが、それよりも機銃まで外して行かされる米軍搭乗員も
それこそ たまったもんじゃ無いだろう、パラシュートで脱出出来てもそこは敵地
袋叩きのリンチに遭った搭乗員も実際 大勢いたそうな

ヨーロッパ戦線でのドイツへの戦略爆撃なんかは、5000人もの死者を出したそうで
日本の神風特攻隊の2600人よりも犠牲者は多かったという

どこの国でも、命令を出す側の人間は 安全な所で涼しい顔をして命令を出すが
下っ端兵士ばかりが馬鹿を見るのは、日本もアメリカも同じなんでしょうな。


02. 2014年7月29日 14:16:23 : KX52WRxJF6
日本を空襲したB-29は高度一万メートルを飛行していた。与圧キャビンを持つ当時としては最新式の飛行機である。開発費は原子爆弾を上回る。

対する日本側は高射砲の射程が8000m、ゼロ戦など大量生産された戦闘機は高度一万メートルまで上る事はできず雷電など少数の特殊戦闘機が青息吐息で迎撃に向かったが待ち伏せが成功したケースを除き撃墜はほぼ不可能であった。

B-29が墜落したのは、ほとんどが故障であった。ゆえに米軍にとり緊急着陸飛行場になる硫黄島を確保する事は至上の任務であり、硫黄島を失った日本はB-29にやりたい放題やられた。戦略爆撃司令官であるルメイ将軍はサイパンの弾薬が使い果たされなければ日本には草一本残っていないだろうと言っていた。

ちなみに欧州戦線で使われたB-17にはそのような装備はなく、しかも米軍は昼間の爆撃を担当したので膨大な犠牲が出た。


03. 2014年7月29日 18:46:38 : 0N68UL02wk
亀レス失礼
高度1万メートルを飛行するB29を雷電・紫電改等の日本の戦闘機(それもレシプロ)
が迎撃した例が少数でもあるのですね
ならジェット攻撃機のSU25なら余裕でマレーシア航空機を撃墜できる

04. 2014年7月30日 00:12:38 : Wr5cvCffrE
体当たりをしたのは244戦隊の三式戦(飛燕)かな。
弾を撃ち尽くすと、体当たりしてたらしいが、今の日本じゃありえないね。
命をかけてまで、守るに値する国じゃない。

>>03
ごもっともです
SU25は高高度の空戦はムリだろうが、旅客機なら余裕で近づいて撃てるだろう


05. 2014年7月31日 18:12:24 : w3M1BHSquE
一万mのB29を撃ち落とせる可能性は
よほど早期に来襲を察知し、予め高空まで上がってて待ち伏せて 一撃で仕留めない限り無理
一回攻撃したらそれまで、大きく高度を下げてしまい 二度とチャンスは無い
余程、腕の立つ熟練搭乗員でなければ至難の業 結局、体当たりしか術が無いわけです

それでも大戦中のゼロ戦ですら実用上昇限度は一万ちょっと有るのに
SU-25は7000mしかない訳だから、余程の凄腕搭乗員でも 限りなく不可能に近いと思いますが。

ちなみに、ジェットエンジンなら必ず高空まで上がれるとは限りません
レシプロ機だって、例えば大戦中のドイツの Ta-152ならば1万4000mまで登れます
要するに過給機の性能と主翼の設計によります

本当に、マレーシア航空機を撃墜するつもりならば もっとマシな機体を用意するのが
当たり前だと思いますが。



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