http://www.asyura2.com/14/warb13/msg/527.html
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MH17便撃墜事件でまっとうな対応を見せているのは、欧米諸国の政権ではなく、ロシアの政権である。
陰謀論を否定しないものとして、ロシアのプーチン大統領は欧米主要国の国際政策を動かしている連中と同じ穴の狢だと思っているが、陰謀論を否定する人やリベラルな価値観を尊重する人が、今回のMH17便撃墜事件で見せている日本を含む西側諸国の政権やメディアの酷く醜悪な態度を強く非難していないのは不思議だと思っている。
念のため、私は、民主主義信奉者でも人権主義でもリベラリストでもない。
MH17便撃墜事件で見せている西側諸国の態度を一言で言えば、「国際冤罪生成行為」となる。
米国のバイデン副大統領、ウクライナの保安局責任者や首相の“実行者決めつけ”発言から始まった騒動だが、今なお、証拠と言えるようなデータや映像は公表されていない。
9.11を契機に世界で「対テロ戦争」が進展した。
誰がやったのかという問題には触れないが、9.11そのものが、今回と同じように、証拠と言えるようなものが提示されないまま、米国ブッシュ政権のヒステリックな言動に煽られるかたちでアフガニスタン侵略戦争へと突き進む“道具”として使われたことは確かである。
現在、ガザ・ストリップならぬ“ガザ・ゲットー”と化したパレスチナで進展している目を覆いたくなるほど酷いイスラエルによる虐殺行動も、「イスラエル3少年誘拐殺害」を証拠も提示しないまま、イスラエル政府がハマス構成員の仕業と言い募ったことを起源としている。
※ 参照投稿
「誘拐されたイスラエル3少年の遺体発見、政府はハマス犯行と断定:治安当局は通報後6時間も放置:遺体発見場所は失踪場所の近く」
http://www.asyura2.com/14/kokusai9/msg/104.html
今回のMH17便撃墜事件が米露を巻き込んだ戦争に進むことはない。
せいぜい、ウクライナの親露武装勢力の一部やキエフ政権の強硬愛国主義者勢力が軍事的ないし政治的に放逐されるにとどまるだろう。
しかし、一国(米国)の正副大統領が、よその国の出来事について、“地対空ミサイル(BUK)を使って、あいつらがやった!”と表明したのだから、その根拠となるデータや映像を国際的に公表するのは当然である。
私は一介の投稿者に過ぎないが、米国のオバマ大統領やバイデン副大統領そしてポロシェンコ大統領は国家を代表している人たちである。
そのような人が「墜落は事故ではない。親露武装勢力が(誤って)撃墜した!」と広言したのだから、その証拠を国際的にきちんと提示することは逃げられない義務である。
一方、強権的で独裁的と言われ続けてきたロシア・プーチン政権は、今回の事件で穏当な対応を見せている。
撃墜へのロシアの関与は否定しているが、誰によって撃墜が引き起こされたかという問題は、政治環境的視点でウクライナ政府を非難しているだけで具体的な言及を避けている。
Su25問題も、ロシア国防軍の防空レーダー情報をもとに、“Su25はなぜMH17便の近くを飛行していたのか?”とウクライナ政府に問いかけているだけである。
ロシア政権は、MH17便をSu25でも撃墜できるという技術的な説明を非公式に行っても、誰かがSu25で撃墜したとは決めつけていない。
ロシア政府は、実行者や攻撃方法を特定したり実行者を非難したりしているわけではないのに、真偽はともかくとして、ロシア国防省のレーダー情報を公表している。
それに較べ、ヒステリックな非難言動を行った(もうしないはず)米国オバマ政権は、“撃墜地点と墜落地点を軌跡で結んだ画像”を公開しただけである。
MH17便が何によって墜落させられたのかを知る手掛かり(物証)は、機体調査を行う国際調査団によって捜査されるだろう。
しかし、反政府武装勢力の支配地域に墜落し、しかるべき調査機関が入るまでに数日を要している(OSCE監視団は当日のうちに墜落現場に赴いているが、西側諸国はそれをほぼ無視した)ことから、機体調査をめぐってすでに、改ざん説や移動説があれこれ言われており、結果をめぐり水掛け論に陥る可能性もある。
今回のMH17便撃墜事件は、何によって墜落させられたのかという物証に関して機体の調査も重要だが、その他に捜査すべき事柄が数多くある。
通常の航空機事故とは違う撃墜事件である今回のケースは、ブラックボックスを含む機体の調査よりも、こちらのほうがウェイトが高いと思っている。
MH17便墜落の経緯を知るうえで重要だと思うポイントは、
● MH17便の墜落激突状況を撮影したのは誰(ら)か?
CNNが最初に放送したとされ、その後西側各国で繰り返し流されたMH17便777の(ものとされる)爆発炎上のシーンである。
イヤな言い方だが、撮影者は間違いなく少なくとも1億円は手にできる画期的スクープ映像である。
偶然に撮影されたものという説明も足蹴にはしないが、各国で流されている映像から最低でも3台のビデオカメラで撮影されているから、偶然に撮ったものであっても、それぞれの撮影主体を特定しなければならない。
なぜなら、放送されている映像は編集済みのものであり、オリジナルの撮影データには、爆発炎上の前のMH17便777の機体(姿)が映っていると思われるからである。
墜落直前の機体状況がわかれば攻撃手段の排除(特定)が大きく前進する。MH17便が損傷を受けたエンジンからのみ炎を上げて墜落していたのなら、攻撃手段はBUKではない。
日本を含む西側メディアも、報道機関としてあの爆発炎上シーンを繰り返し放送してきたのだから、それがどのようにして撮られたものか、ノーカットの映像はどうなっているのかを追求していただきたい。
(少しは気を遣ってSD映像で西側主要メディアに配布しているようだが、HDで撮られた映像も存在する。アナログテレビ放送が続いているロシアやウクライナでHDビデオカメラを保有している人が偶然にあのシーンを撮影したとしたら奇跡である)
※ 参照投稿
「MH17撃墜を“予め”知っていた陣営は米国寄りという確たる証拠:地対空ミサイルではなく空対空ミサイルで攻撃の可能性」
http://www.asyura2.com/14/warb13/msg/437.html
● 「ロシアに戻るBUK」映像や「ロシア軍将校と親露武装勢力の撃墜をめぐる」通信会話録の信憑性?
愚かにもウクライナ政府機関が“証拠”として提示した「ロシアに戻るBUK」映像や「ロシア軍将校と親露武装勢力の撃墜をめぐる」通信会話録は、ロシア側が根拠を示しつつ否定している。(ユーチューブに上げられた通信傍受記録には削除されたがタイムスタンプが1日前のものがあったという)
「ロシアに戻るBUK」映像が撮影された場所は、短い映像であっても、映っている地形情報から撮影場所を特定することは容易である。
ウクライナとロシアがそれぞれここだという場所の特定をしているのだから、どちらの場所が映像に近いかで真偽を決することができる。
※ 参照投稿
「キエフ政権が公表した重要証拠“ロシアに戻る「BUK」”の短い動画も看板の表記から政権支配地で撮影したものと判明」
http://www.asyura2.com/14/warb13/msg/510.html
● BUKなどに関する軍事情報の共有
この問題については、“お仲間”として気を遣っているように見えるロシア・プーチン政権の非(怠慢)をもっとも強く言いたい。
MH17便が米国やウクライナの政府が言うようにBUK搭載のミサイルで攻撃されたわけではないことは、MH17の結末で説明ができるはずである。
今回の撃墜事件で攻撃手段として疑われているBUKやロシア側がMH17の近くをなぜ飛行していたのかという問いを投げかけているSu25は、プーチン大統領のロシアが開発・改良を重ねてきた兵器である。
むろん、米国を筆頭にした西側諸国も、ロシアが使っている兵器の性能や特性をそれなりに熟知しているが、それ以上に、ロシアが知っているのは当然である。
BUKで攻撃されていたら、MH17便777は、流出した航空燃料がエンジンで引火することで空中で爆発的炎上に見舞われ、バラバラになって地上に落ちてきたはずである。
邪推だが、それがわかっているからこそ、米国国家機関は、爆発的炎上のシーンから始まる映像を国際的に配信し、当然撮影されているはずの激突直前の機体映像をカットしたのだろう。
(それが実際にMH17便なのかは判定できないが、「誰がマレーシア航空機を撃墜したのか?(きっこのブログ) <マレーシア航空機、火を噴き垂直落下する動画>」( http://www.asyura2.com/14/warb13/msg/441.html )のなかの映像に出てくる墜落途中の航空機映像が仮にMH17便777であっても、同じ理由で公表されないことになる)
秒速800m(マッハ3)で上昇し標的近くで爆発することで破壊力の高い破片を標的に当てるのではなく、破壊力をより増大せるため、いったんより高く上昇し、速度を増した状態で爆発し機体上空から破片を激突させるBUK搭載ミサイルであれば、機体はいちおう一体性を保ち、主翼下部に取り付けられたエンジンだけが損傷を受けて火を噴くという事態にはならない。
BUKで攻撃を受けたのなら、燃料タンクが詰まっている主翼が損傷を受けることで流出した航空燃料がエンジンの熱で引火し、それが燃料タンクに伝わることで60トンといわれる航空燃料が爆発的炎上を引き起こすはずである。
おしゃべり好きが多いように見受けられる軍事評論家が、ロシア製兵器の性能や特性についてほとんど語っていないのは異様である。
BUKによる攻撃で777の機体がどうなるかは、誰がやったという問題とは無関係の基本情報である。
Su25についてもだが、疑われている兵器の基本情報について明確な開示が求められる。
※ 参照投稿
「BUKならMH17は空中でバラバラ:激突映像や墜落現場もBUK以外の攻撃手段での撃墜を示唆」
http://www.asyura2.com/14/warb13/msg/514.html
「ダイナモ氏の「機体は上空で空中分解」や「Su-25攻撃機でB777を撃墜することは不可能」という奇妙な説明を検証」
http://www.asyura2.com/14/warb13/msg/515.html
今回のMH17便撃墜問題で、決着とはいわないまでも、米国も関与した可能性もある奇妙な撃墜事件があったことが広く知られるようにならなければ、暴虐非道な軍事行動の抑制も航空機利用へのそこそこの安心感もえられないだろう。
直接に手出しはできないにしても、「我々は考えることも出来るし内実も知っているんだぞという雰囲気」をつくることが大きな“抑止力”になると考えている。
※ 「MH17便撃墜」関連参照投稿
「[MH17便墜落]撃墜なら非ロシア勢力:イラン−イラク戦争と同じようにこれを機にウクライナ内戦が終結に向かう可能性」
http://www.asyura2.com/14/kokusai9/msg/161.html
「親ロ派指導部、大半はロシア出身:親ロ派指導者が辞任:“誤射説”と“両成敗”で幕引きは「米露欧合作」の証拠」
http://www.asyura2.com/14/warb13/msg/474.html
「OZ214・MH370・MH17のパイロットたちは“乗っ取り”をどう感受したのか?:MH17操縦士は“異常感なし”」
http://www.asyura2.com/14/warb13/msg/503.html
「OZ214便SFO着陸失敗事故→MH370便南シナ海失踪事件→MH17便ウクライナ撃墜事件という“系譜”」
http://www.asyura2.com/14/warb13/msg/488.html
※ 「ウクライナ危機」関連参照投稿
「デフォルトを嫌う金融家のため、危機を頼りにする軍需産業のため、「東西」の合作で分断と対立を煽られたウクライナ」
http://www.asyura2.com/14/senkyo162/msg/467.html
「ウクライナ情勢の今後:軍事的対応はハナからなしだが、実質的経済制裁も避けたい欧米先進国:焦点はウクライナ東南部地域の“地」
http://www.asyura2.com/14/kokusai8/msg/169.html
「ウクライナ危機で問われるNATOの意味:存在意義が自覚される契機になることでNATOを救ったロシアのクリミア併合」
http://www.asyura2.com/14/kokusai8/msg/445.html
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