01. 2014年7月24日 01:40:49
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>親ロシア派の間でパニックが広がりどうかな http://jbpress.ismedia.jp/articles/print/41306 マレーシア航空機撃墜、必死で出口を探すプーチン ロシア人が見る事件の原因はロシアとウクライナのオルガルヒによる陣取り合戦 2014年07月24日(Thu) 菅原 信夫 マレーシア航空機撃墜の下手人が確定せぬまま、すでに1週間が経とうとしている。7月22日、ようやくハリコフに鉄道輸送された遺体は、その数を巡り再び混乱が生じているという。
ウクライナでマレーシア航空機撃墜か、295人全員死亡の情報 ウクライナ東部のシャフチョルスク近くに墜落したマレーシア航空機の残骸(2014年7月17日)〔AFPBB News〕 ここにきて、「親露武装勢力」が実は多種多様な小グループから成り立っていて、本当に親露なのかも疑わしいという報道も出てきた。 ロシアのウラジーミル・プーチン大統領といえども、隣国に散らばるロシア人武装勢力をいかに説得するか、その方法には限界がある、という記事も増えてきた。 当初から気になっていたウクライナ紛争の疑問点がここにきて一挙に吹き出してきたと言えるのではないだろうか。この航空機撃墜事件が「ゲームチェンジャー」だと言われるゆえんである。 筆者が当初から疑問に思っているのが、「親露武装勢力」という人々である。 その代表がウクライナ東部を拠点に、ロシアの支援を得て独立国家をつくる動きをしている「ドネツク人民共和国」という武装集団である。時に「ドネツク人民共和国」軍、という名前で紹介されることもあるが、しょせん彼らの自称であり、ウクライナ国内で認められた共和国ではない。 ロシアでの新聞報道などをまとめてみると、いろんな要素が見えてくる。 親露武装勢力とはどんな人たちか この集団でリーダー格となっているのは、ドネツク人民共和国第一首相のアレクサンドル・ボロダイ氏(42歳)とドネツク人民共和国武力相のイゴール・ストレルコフ氏(43歳)である。ともにモスクワに生まれ、ボロダイ氏はモスクワ大学、ストレルコフ氏はモスクワ国立歴史古文書大学卒。 1990年代、ボロダイ氏はジャーナリストとして、ストレルコフ氏はロシア軍人として、北カフカスからダゲスタンにかけてのチェチェン平定作戦に従事、そこで知り合い、意気投合、その後2人はプーチン大統領の出身母体として有名なKGBの歴史を引き継ぐFSB(ロシア連邦保安庁)に勤務している。 さらに、ストレルコフ氏はロシア軍参謀本部情報総局(GRU)の工作員だったことが公にされている。 筆者がロストフで聞いた「ウクライナにおける、ロシア人による、ロシア人のための戦争」という表現が現実味を帯びるのは、このように反ウクライナ政府勢力を形づくる人々がロシアでの軍関係者あるいは諜報機関関係者のロシア人であるからだ。 ウクライナ軍にかなりの人数の親露勢力の兵士が拘束されているが、その中には相当数のチェチェン兵が含まれていると報道されている。ウクライナでなぜチェチェンの兵士が活動するのかと考えるとき、ストレルコフ氏とボロダイ氏のチェチェン人脈に行きつく。 さらにストレルコフの軍歴を見ているとミサイルとの関連も見える。 彼は1990年代の初め、ロシア軍の第190ミサイル技術基地の発射部隊に属していた。 マレーシア航空機を撃墜するのに使われたと言われる地対空ミサイル「BUK」は旧ソ連製で、現在に至るまでロシア、ウクライナ両国で実戦配備されている。この事実とストレルコフ氏がロケット大隊で勤務していた過去がどこかでつながっている可能性は高い。 マレーシア機乗客280人の遺体、列車でハリコフに到着 ウクライナ・ハリコフに到着した、マレーシア航空機に乗っていた犠牲者の遺体を乗せた列車(7月22日)〔AFPBB News〕 ストレルコフ氏やボロダイ氏がロシアから侵入し、現地で抵抗勢力をまとめ、それなりの軍隊を作り得たのは、もちろんロシア政府の後押しがあったからだ、という認識は西側に広く存在している。 それゆえにプーチン大統領はこの抵抗勢力をコントロールできる立場にあるし、またその影響力を世界のために即時使わねばならない、というのがロシアへの経済制裁実施の理由ともなっている。 しかし、一歩下がって考えたとき、本当にプーチン大統領にこの武装勢力をコントロールすることができるのだろうか。 プーチン大統領はすべてを掌握しているのか FSBで頭角を現す人間というのは、味方にすれば頼りになるが、敵に回すと大変ややこしい人が多い。それを地で行ったのが、最後にはロンドンで暗殺されてしまったリトビネンコであり(注: FSBによる暗殺事件と言われるものの、実証されていない)、この彼もチェチェンを含む北カフカスと関係していた。 彼は、プーチン大統領の犠牲者と言われているが、当初チェチェンにおけるロシア側の作戦に従事していたものの、次第にロシア政府の非人道的な作戦を目のあたりにして反プーチン色を明らかにしていく。 これには、プーチン大統領をはじめ、FSBも大変手を焼いたことだろう。その結果がロンドンでの暗殺となるが、この過程でプーチン大統領は仲間を敵に回す怖さを知ったのではないだろうか。 ストレルコフ氏の場合、FSBとの関係だけではなく、ロシア軍情報総局であるGRUに在籍したこともあるという。趣味の戦史研究も含め、この男には戦争しかなく、それゆえに頭角を現したとも言える。 プーチン大統領が西側から要求される通りにストレルコフ氏を指導することができていない様子からは、プーチン大統領の存在基盤と同じ場を持つ仲間と西側との間で苦しむプーチン大統領の姿を垣間見ることができる。 ところで、ここ2〜3日、機体の散乱する現地において、遺体の扱いや遺品の管理を巡り、「ドネツク人民共和国」(略称DPR)兵士の行為にオランダを中心に強い批判が出ている。 筆者もロシアテレビの映像を見ながら、驚くような場面に遭遇するが、その場面にいる兵士は装備もばらばらなDPRの下級兵士である。先ほど書いたチェチェンなどからの志願兵である。 ロストフの知人によると、各地からロストフに集まる志願兵はそこでDPRと契約をして、まとめて戦場となっているウクライナ東部に送り込まれるそうだ。その給与は1日1000ルーブル、3000円に過ぎない。 しかし、チェチェンをはじめとする北カフカスでは、これでも良い仕事と言えるのだそうだ。危険度の非常に高い北カフカスでの従軍よりは、給与は低くても安全性を取るという部分もあるだろう。 彼らを一言で描写すれば、お金のためだけに集まった田舎者の傭兵ということになるだろうか。もちろん、軍紀などというものは初めからない。そんな連中に西欧風のマナーを求めること自体、無理な話だ。 ただ、「親ロシア」という大看板には、こういう規律も何もない、カネだけが目的で参加している傭兵から、ロシア第1チャンネルのインタビューで10分間も自身の大ロシア論を論ずることができるボロダイ氏まで、頭脳の出来を見ても非常に差がある人たちが含まれていて、分類の仕方としてはかなり杜撰であると言わざるを得ない。 そのうえ、DPRの行動が西側諸国にロシア攻撃の絶好の理由を提供する今、彼らを「親ロシア」と呼ぶことは非常に誤解を生む。プーチン大統領が明確な言葉でDPRを擁護しないのは、このあたりの心配があるからだろうと思える。 ロシア人はウクライナ紛争をどう見ているか ブラックボックス、マレーシア当局の手に 親露派も停戦 撃墜されたマレーシア航空機から回収されたブラックボックス〔AFPBB News〕 大多数のロシア人はソ連崩壊後の10年間、生きるためあらゆる方法でカネというものと付き合った。 ある人はカネのために命を失い、ある人は他人を文字通り抹殺することで自分の資産を何百倍と増やした。現在のロシアは、そういう過程の中で成長した国家であり、人々はこの世のすべてには裏があり、強権で利益を掴み取る人がいることを知っている。 ロシアは汚職天国と言われるが、人を傷つけず、与えられた権限を最大限に利用し、秩序の中で物事を解決する、という点においては、贈収賄というのはロシア社会では多くの人々に受け入れられる物事の解決方法なのである。 こういう社会で育ち、毎日を過ごしている人たちは今回のウクライナ紛争をどう見ているか。5月初め、筆者はロストフで多くのビジネスマンと語り合う機会があったが、そこで、今回のウクライナ紛争についてどう思うか、その本質はなにか、尋ねてみた。 そしてその結論として、「ウクライナとロシアのオリガルヒによる陣取り合戦がことの本質だ」と見ている人が多い、ということが分かった(注: オリガルヒとはロシア資本主義が形成される過程で誕生し、政治的影響力を持つ寡頭資本家の一群)。 そして、多くの人が一致して挙げるのは、昨年11月に始まったキエフのマイダン運動はウクライナの不動産価格を暴落させ、とりわけキエフ中心部などはそれまでの数十分の1にまで下がってしまったことだ。 そこに大挙して現れたのがロシアのオリガルヒであり、その結果として多くの不動産はウクライナ人からロシア人の手に渡ってしまったとのことである。 それを見ていたウクライナのオリガルヒは、手つかずの不動産を求めて東進し、国家分離を意図していたロシア人勢力と衝突、これが現在のウクライナ東部での紛争なのだ、という。 ロストフの人たちに言わせると、東部ウクライナはそもそもロシア人が多く住み、ロシアへの違和感が少ない、しかし、キエフに比べ旧ソ連型の政治体制のため、個人資産の集積がなく、不動産価格も低いままである。 そこに目をつけたロシア人の一団が東ウクライナを独立させて、不動産を含め現地の富を丸ごとかっさらうことを計画、そうはさせぬとウクライナオリガルヒが政府軍という名で軍事行動を開始した、というのがこの紛争の本当のところだ、というのである。 彼らの意見において、オリガルヒが不動産を合法的にあるいは非合法にそれを手に入れることに対しては、ほとんど議論にはならず、このあたりにクリミア半島のロシア編入に対する、意外なほど静かなウクライナの反応の理由があるのかもしれない。 そして、ウクライナ紛争の今後については、ウクライナ政権側、DPR側ともにプロの戦争集団ではないので、すでにかなり疲れが見え、戦争経費など消耗も激しいので、そろそろ紛争も終わるだろうし、逃げてきている避難民も国に戻るだろう、という予想までしてくれた。 そんな中でのマレーシア航空機撃墜事件であるから、このタイミングをうまく生かして双方で停戦協定が改めて結ばれることは十分に期待できるし、プーチン大統領が一番願っているのも、自らが関わらない形での、このウクライナ内部での停戦であろう。 まずはDPRを悪役にしないで撃墜事件を幕引きにできるか、多分プーチン大統領は今、そんなことを考えながら、ウクライナ東部の編入を実は夢見ているのかもしれない。 http://jbpress.ismedia.jp/articles/print/41295 経営危機のマレーシア航空を2度襲った悲劇 マレーシア航空乗員は危険を感じていた? 撃墜事件の周辺とささやかれる陰謀説 2014年07月24日(Thu) 末永 恵 世界の航空史上に刻まれたあの失踪事件から4カ月。またも、マレーシア航空機を悪夢が襲った――。
7月17日、ウクライナ東部で、アムステルダム発クアラルンプール行き、ボーイング777型のマレーシア航空17便が、ウクライナ東部のドネツク州に墜落。83人の子供を含む乗客乗員計298人*全員が死亡した(24日発売の「週刊新潮」も筆者の分析記事で報道)。 * マレーシア航空発表によると、乗客283人と乗員15人。国籍内訳:オランダ人193人、マレーシア人43人=乗員15人含む、オーストラリア人27人、 インドネシア人12人、英国人10人、ドイツ人4人、ベルギー人4人、フィリピン人3人、カナダ人1人、ニュージーランド人1人(オランダは米国、英国は南アフリカとの二重国籍者を、それぞれ1人ずつ含む) 同じ航空会社、同型機。またもや謎の多い墜落事故 【写真特集】ウクライナのマレーシア機墜落現場 ウクライナ東部のシャフチョルスク近くに墜落したマレーシア航空機の残骸 cAFP/DOMINIQUE FAGET〔AFPBB News〕 同機には、欧州などからは夏の休暇シーズンで、また、犠牲者が2番目に多いマレーシアからは目下のラマダン(断食月)が明ける7月下旬のハリラヤ(祝祭=日本の新年に相当)休暇を故郷で過ごそうとした家族連れが目立ち、世界航空事故史上最もショッキングで、痛ましいニュースとして報道された。 事故から1週間経過。国際的な調査結果を待たなければ確定はできないが、同機はウクライナ問題で紛争が続く中、親ロシア武装勢力によって“撃墜”されたという見方が有力だ。背景には、ウクライナ政府を支持する米国と、親ロシア武装勢力を支持するロシアの“超大国の代理戦争”を巡る新冷戦時代の覇権争いがある。 しかし、「なぜ、またもマレーシア機なのか」「どうして撃墜されたのか」・・・。航空史上でも例を見ない同じ航空会社、しかも同じ最新鋭のボーイング777型機に起きた事件で、合わせて537人が犠牲となり、確定的な物的証拠がない現段階では、またも疑問や謎が多い事故となった。 21日深夜、マレーシアのナジブ首相は親ロシア武装勢力のリーダーと電話会談し、遺体の速やかな移送、ブラックボックスをマレーシア調査団へ引き渡すこと、国際調査団による事故現場の調査・検証を認める双方および欧州政府関係諸国との合意事項を確認、声明を発表。22日、ブラックボックスがマレーシア当局に手渡され、遺体もウクライナ東部のハリコフ市に到着した。 今後の事故原因の詳細な報告が待たれるが、一方で、すでに事故から1週間が過ぎ、事故現場では親ロシア武装勢力による証拠隠滅の動きが多々見られ、「ミサイルの残骸は」「どこからミサイルが発射されたか」、などの決定的な原因究明は困難が予想される。 経営難に追い打ちをかける事故の連続 筆者が今回の事故を知ったのは、17日午後11時ごろ、マレーシアの国営ベルナマ通信の一報。また、その直後、首相府からWhatsApp(ワッツアップ、米国のコミュニケーションアプリ)を通じ、筆者の携帯電話に連絡が入った。 「何、17便?」というのが第一印象で、またも、マレーシア航空が惨事に巻き込まれたという事実を受け入れるのに戸惑った、というのが正直なところだ。 3月の370便の事故発生直後等の対応を批判されたマレーシア政府は、ナジブ首相が18日の早朝4時(マレーシア現地時間)に緊急記者会見を開き、3月のマレーシア失踪事件が解決しない中で起きた撃墜事故を「悲惨な年に起きた悲劇的な日」と語り、「現地に早急に専門家チームを送り、原因究明に全力を注ぐ」と声明を発表した。 実は、マレーシア当局はオーストラリア政府と中国政府との連携の上、中断していた370便の海底の捜索活動を当初、この8月に再開する矢先だっただけに(23日、オーストラリアのトラス副首相が9月初旬に延期と発表)、出鼻をくじかれた格好で、その落胆ぶりも大きい。 また、深刻なのはマレーシア航空が3月の370便の失踪事件で経営危機状況にさらに拍車がかかり、業績回復を目指していた途上で起きた悲劇だった点だ。 アジアの航空業界に詳しい著名な専門家のラム・チョンワ氏は、筆者の単独インタビューに応じ、「こんなことは航空史上前代未聞。危機的なのは、この2つの事故が、マレーシア航空が経営難のときに数カ月以内に立て続けに起こったということだ」とその深刻さを指摘している。 これまで民間航空機の撃墜は、冷戦下での大韓航空機やイラン・イラク戦争でのイラン航空などがあり、多くが「領空侵犯」「戦闘機との誤認」による地対空ミサイルの誤射である。 大韓航空撃墜事件は、東西冷戦下の1983年に起き、大韓航空のボーイング747が旧ソ連領空内に侵入、旧ソ連軍戦闘機に撃墜され、日本人28人を含む269人全員が死亡。また、1988年には、イラン・イラク戦争の停戦間近に、ペルシャ湾上空で米海軍のイージス巡洋艦がイラン航空エアバスA300を戦闘機と誤認、地対空ミサイルで撃墜、290人全員が死亡したケースも。 さらに2001年には、ウクライナ軍の地対空ミサイルの誤射により、ロシアのシベリア航空機が黒海に墜落(シベリア航空は現S7航空)。ウクライナ大統領(当時)が「誤射はどこでも起こりえるものだ」などと発言し、世界中にショッキングなニュースとして報道されたのは記憶に新しい。 マレーシア航空機は「あえて」紛争地帯を飛んだ? マレーシア機墜落、遺体運ぶ列車が出発 遺族の悲しみは怒りに 犠牲になった人たちを悼んでオランダ・アムステルダム近郊のスキポール空港に供えられた大量の花 cAFP/JOHN THYS〔AFPBB News〕 では、今回なぜマレーシア航空機は撃墜されたのか。まして、紛争が続くウクライナ上空をなぜ飛んでいたのか。 ナジブ首相は「安全なルートだった」と主張。18日午後の記者会見でも、リオウ運輸相が「ICAO(国際民間航空組織)や IATA(国際航空運輸協会)が承認する安全なルート」とした上、「アジア太平洋地域の航空会社の多くが同路線を使っている」と説明した。 しかし、実際は、オーストラリアのカンタス航空、韓国のアシアナ航空はウクライナの紛争開始後、「自社規定」を設定し、事故当時は同ルートを飛行していない事実があり、欧州の航空会社の英国のブリティッシュ・エアウェイズ、フランスのエールフランスなどや米国の航空会社も飛行していなかった。 事実として言えるのは、専門家の間では航空会社のコスト重視経営が背景にあるのではとする指摘が上がっている。「同路線は欧州からアジアへの最短距離で、燃料や経費削減で、あえて紛争状態のウクライナ上空の同ルートを飛行していたのではないか」(前述のラム航空専門家)という懸念が持たれている。 さらに、マレーシア航空関係者によると、ウクライナ上空で撃墜されたとされるマレーシア航空17便に搭乗するはずだった客室乗務員が、「同飛行ルートは危険」だとし、勤務を辞退していた。さらに同航空会社のパイロットなどがその安全性を疑問視し、ICAOに非公式に懸念を伝えていたが、会社側はルート見直しを考慮しなかったとされる。 ICAOなどの承認するルートであっても、事故を引き起こした航空会社は、自ら乗客の安全を最優先に考え、「自主規制」を設置することで、内外に企業ブランドの信頼性回復を図るものである。 例えばエールフランスは2009年の大西洋墜落事故以降、ブラックボックス発信信号の期限を国際規定の30日から90日にすでに変更(参考:4月16日付「発見絶望視のマレーシア機捜索で浮上する現行ブラックボックス“廃止論”」)。 http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/40432 2013年にサンフランシスコ空港でマレーシア航空370便と同様のボーイング777-200型が着陸時の事故で死亡者を出したアシアナ航空も、ウクライナ上空は数カ月以上前から飛行していない。 こうした観点からすると、マレーシア航空の今回の方針には、今後、批判や追及が避けられないと予想される。 また一方で、「どうしてマレーシア航空機が“撃墜対象”となったのか」という疑問もつきまとう。情報筋によると、マレーシア航空17便がミサイル攻撃を受けた前後に、シンガポール航空やエア・インディアなどの旅客機も同時に飛行していたとも伝えられている。これらの情報が正確であるなら、どうしてシンガポール航空やエア・インディアでなかったのか。 インドは軍事大国で、しかも米国がロシアの孤立化を進める一方、ロシアが米国の孤立化を進めるのに効果的なBRICsのメンバー。また、シンガポールはアジアでも親米急先鋒と、政治的・外交軍事的リスクを考慮したのか? と、憶測は絶えない。 さらに、今回のマレーシア航空17便には、クリントン元米大統領も出席の、今月20日から開催されたオーストラリアでの国際エイズ会議に参加予定だった世界屈指の専門家等も搭乗していたという点や、親ロシア武装勢力でなく、ウクライナがプーチン大統領暗殺を計画し、大統領機と誤認したのでは・・・と多くの陰謀説や疑惑が取りざたされている。 EU、米国、そして日本の出方は ウクライナや米国の情報では、今回の撃墜はソ連時代に開発された地対空ミサイル「ブーク」による可能性が高いという。 しかし、ブークはロシア、ウクライナ双方が保有し、親ロ武装勢力がウクライナ軍から奪ったか、あるいは大統領選前後で親ロシア派武装勢力がウクライナ政府軍に寝返りし提供したのか、ロシア軍が提供したのか、武器の出どころも特定されない ロシア国防省は、ウクライナ軍の「ブークM1」が撃墜地点の周辺に配備されていたとも主張。ロシアもウクライナの親ロシア派勢力に対して、重火器などの武器を提供するとともに、ミサイル発射に関する技術指導を行ってきたとも言われている。 一方、ウクライナの情報機関は記者会見を開き、親ロ派勢力指導者の会話の盗聴記録を公表した。撃墜したのが民間機だと分かって困惑する様子が記録されている。 ウクライナの電話が盗聴されるのは旧ソ連時代から行われ、これまではしばしばロシアがウクライナ当局の情報を暴いてきた。一方、今回は米国や英国など一部欧米諸国の支持をバックに、ウクライナ側が情報を巧みに操作した“賜物”と見られる中、 内容が編集された可能性もあり、現時点で決定的な証拠は、はっきり言ってほとんどない。 EUは航空機が撃墜された前日の16日の非公式首脳会議で、対ロシア制裁を企業にも拡大する方針を決定。さらに今回、EU域内から多くの犠牲者が出たことで、22日の外相理事会で、初めてプーチン大統領に近い著名人のロシアの実業家らと企業を制裁リストに加える決定をし、最後通告をロシアに突きつけた。 具体的な拡大制裁リストは24日に発表されるが、 EUの制裁には加盟28カ国の全会一致が必要で、経済的連携からロシアへの制裁に積極的ではなかったイタリアなど南欧各国がどう対応するかが注目されるところだ。 マレーシア機墜落で露に非難、プーチン氏は協力を約束 マレーシア航空機墜落現場の親露派の分離独立派勢力 cAFP/BULENT KILIC 〔AFPBB News〕 21日、ロシアのプーチン大統領は特定の飛行機事故としては異例のテレビ演説を行い、親ロシア派武装勢力に対し、国際的な調査団への協力を促した。 対してウクライナのポロシェンコ大統領は、今回の犠牲者が欧州、アジアなど10カ国に及んだことから、2001年に国際テロ組織アルカイダが起こした米国中枢同時多発テロと変わりがないとして批判し、国際社会のさらなる支援を訴えている。 しかし一方で、今年4月以降の事態正常化へのウクライナ政権側の対話や国境管理の不十分さも指摘され、武器などが自由にロシア側から流入してきたことも否めない。 また、6月以降、軍用機が撃墜されている事実がありながら、ウクライナ政権だけでなく米国も含め、領空を民間機の飛行禁止空域にする注意を払うようICAOや国際社会に強く要請しなかったことも、多くの陰謀説がささやかれる背景となっている。 今秋、ロシアのプーチン大統領来日の有無も問われる中、アジア諸国を巻きこんだ地政学的紛争は、今後日本へも波及する可能性があるということを日本政府は憂慮する必要もあるのではないか。 |