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[モスクワ 21日 ロイター] - ロシア国防省は21日、ウクライナ東部でのマレーシア航空機撃墜に親ロシア派勢力が関与したとする見方を否定し、ウクライナ軍の戦闘機がマレーシア機の近くを飛行していたと反論した。
国防省はまた、ロシアが親ロシア派勢力に地対空ミサイル「SA11」を供与したとの見方を否定し、いかなる武器も供与していないと表明した。
ロシア空軍のマクシェフ中将は記者会見で「Su25(戦闘機)とみられるウクライナ空軍機がマレーシア航空機の方向に向かっていくのを、ロシアの航空管制システムが検知した。Su25とマレーシア機の距離は3キロから5キロだった」と語った。
さらにカルトポロフ中将は、米国側が自らの主張の証拠となり得るような画像を提示すべきとした上で、「(国際社会では)誰もそのような画像を目にしていない」と述べた。
こうしたロシア側の反論に対し、ウクライナ治安当局筋は、ロイターとのインタビューで、ロシアのブク地対空ミサイル(SA11)の受け渡しについて親ロシア派武装勢力が交渉を行っていたことを示す情報を、ウクライナ治安当局としてこれまでに公開していると再反論した。
http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPKBN0FQ1AM20140721
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ロシア国防省はマレーシア航空機撃墜にウクライナ空軍機が関与していることをほのめかしているが、このロシア国防省の発表には多くのウソが含まれている。
まず第1に、Su-25は対地攻撃を主な任務とする鈍足な攻撃機であり、戦闘機ではない。このことをロシア国防省が間違えることはあり得ない。これはロシア国防省による完全に意図的なウソである。
第2に、ウクライナ空軍機がマレーシア航空機の方向に向かっていくのを、ロシアの航空管制システムが検知したと発表しているが、マレーシア機(B777)の巡航速度は1030Km/h。これに対してSu-25の最大速度は950Km/hである。Su-25がどんなに頑張っても80Km/hの速度でマレーシア機から遠ざかっていくことになる。これをロシア国防省が「ウクライナ空軍機がマレーシア航空機の方向に向かっていく」と表現するのは、あたかもウクライナ空軍機が撃墜に関与している印象を与えるための虚偽の印象操作でしかない。
第3に、マレーシア機の高度は10,000m以上。これに対してSu-25の実用上昇限度は7,000mでしかない。しかもこの最高高度では酸素が薄くエンジン出力が低下し、最大速度の950Km/hはとても出せない。そもそも鈍足で低空しか飛べない攻撃機が超高空を亜音速で飛行するB777に「向って行く」とロシア国防省が主張すること自体、漫画チックでしかない。
第4に、仮定としてSu-25がマレーシア機に向けてミサイルを発射した場合を考えてみる。Su-25が装備する空対空ミサイルはR-60またはR-60Mである。このミサイルの射程は8Kmある。そして±12°の視野角を持っている。視野角とは目標との発射角度の差がこの範囲内なら目標の追尾が可能な角度をいう。視野角が±20°のR-60Mを装備していたとしよう。Su-25はマレーシア機を下から仰ぎ見る形になる。+20°の角度でマレーシア機を捉えた場合、Su-25とマレーシア機の距離は三角関数で求めることができる。視野角θ=20°から 正弦(sin) 20°=0.342。高度差b=3,000m、から距離c=3,000 * (1/0.342)=8770m。この距離は、ミサイルの視野角ぎりぎりの範囲内でSu-25がマレーシア機に最も接近できる距離である。それでもこの距離はR-60Mの射程8Kmを超えている。これより近づいて機体を上向きにすれば射程内に収めることは可能かもしれないが、最大速度かつ最高高度を飛行中に仰角を上げて飛行し、かつ自機から遠ざかって行く速い相手に短距離のミサイルを命中させることはかなりアクロバティックである。
成層圏を亜音速で飛行しているマレーシア機を、鈍足で低速しか出せないSu-25攻撃機で撃墜する、などということが如何に漫画チックなことであるかはロシア国防省自身が一番よく知っている。
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