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イスラム国家の樹立を宣言し、「イラク・シリア・イスラム国(ISIS)」から「イスラム国(IS)」と改名したスンニ派の過激組織について、イラク北・中部のスンニ派勢力から「民意ともイスラムの教えとも異なる」と反発の声が上がっている。クルド人地区のアルビルに逃れている複数の指導者らが取材に語った。
北・中部では、スンニ派地域にあるイラク第2の都市モスルやその南のティクリートを武装勢力が陥落させ、首都バグダッドに迫っている。これまで、モスルを陥落させたのはISだと言われてきた。
だが、現地のスンニ派部族がつくる「革命的部族委員会」幹部のアブドルラザク・シャンマリ氏は「今回の戦いは、スンニ派を抑圧するシーア派主導のマリキ政権に対して、スンニ派部族と民衆が立ち上がった民衆革命だ。ISは軍事的にも、反乱勢力の一部に過ぎない」と語り、武装勢力は必ずしもISが主導していない、との見方を示した。
ISが支配地域を急拡大させているように見えることについても、「それぞれの都市や町で、地元のスンニ派部族が政権軍に反乱を起こしている。インターネットを使ったISの巧みな宣伝と、『テロとの戦い』を強調したいマリキ政権の宣伝によって、ISの存在が誇張されて、事実がゆがめられている」と話した。
スンニ派勢力には、革命的部族委員会などの部族勢力と、ISとは違う地元の武装組織や民族主義的勢力などがあるという。これらの組織の幹部は逮捕や暗殺の危険を避け、次々と、少数派クルド人地区の中心都市アルビルに逃れている。
スンニ派武装組織「ジェイシュ・イスラム(イスラム軍)」幹部のイブラヒム・シャンマリ氏は「スンニ派部族とは連携しているが、ISとの連絡や協力は一切ない」と語る。同じイスラム系の武装勢力だが、「われわれはスンニ派地域の防衛が目的で、シーア派の権利も尊重する。シーア派を敵視し、攻撃するISとは異なる」と語った。
ISは6月末にシリアからイラクにまたがるという反シーア派・反欧米の「イスラム国家」を宣言。指導者のアブバクル・バグダディ師の映像を5日、インターネット動画サイトで配信した。同師は自らを開祖ムハンマドの後継者を意味する「カリフ」だと主張し、服従を呼びかけた。だが、地元勢力は否定的だ。
スンニ派宗教者が集まる「イスラム宗教者委員会」は声明で、「イスラム法の正当性はない」と批判し、宣言の撤回を求めた。「今のような状況で国の設立を宣言することは、民意を分裂させ、利益はない」とする。
■宗派間内戦の恐れも
それでは、IS以外のスンニ派勢力が目指しているものは、何なのか。
共通するのは、マリキ首相の辞任だ。最終的には、現在のクルド地域政府のような自治が認められた「スンニ派地域政府」を目標としているという。
スンニ派政党のイスラム党幹部のアンマル・ゼンアブディン氏は「スンニ派地域をシーア派のマリキ政権が支配することも、ISが支配することも認められない。われわれが求めるのは地元のスンニ派市民が警察や治安部隊となって、スンニ派地域の治安を守る仕組みである」と話した。
これらのスンニ派勢力はマリキ首相が辞任すれば、話し合いによる解決で、シーア派と権限を分け合う政治体制を求める意向だという。
しかし、ISが主導する武装勢力がバグダッドに侵攻する事態になれば、ISとシーア派の民兵がそれぞれの宗派の民間人を攻撃し、宗派間の内戦に突入する可能性もある。内戦を避けて、政治的解決を図る時間は限られている。(アルビル=川上泰徳)
http://digital.asahi.com/articles/DA3S11227902.html
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