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イスラム過激派組織「イラク・シリア・イスラム国(ISIS)」が29日、シリアからイラクにまたがる「カリフ制イスラム国」の樹立を宣言した。反欧米・反シーア派を掲げる「国家」の出現で、国際社会は新たなテロの温床を抱え込むことになる。
■イスラム法徹底
「アルコールは禁止され、市内のすべての銅像が破壊された」。イラク北部モスルから逃げてきたラミ・ムハンマドさん(24)が、6月10日にISISに制圧された街の様子を語った。「マリキ政権の治安部隊や警察は市民を捕まえ、拷問したが、そのようなことはなくなった」とも述べた。
ISISのスポークスマン、アドナン師は動画サイトに配信した声明で「神が定めた法と正義が完全に実行される」と述べた。「イスラム法廷の裁判官が任命され、法廷で争議が解決され、全ての人々の権利が保障される。(異教徒からは)信仰を保障するための人頭税が集められる」としている。
キリスト教徒の人頭税については、ISISが支配するシリア東部ラッカ州ですでに実施されている。
ISISの地元宣教局はモスル制圧後、「市憲章」を発表。「公金に手をつけるものはイスラム法廷で裁かれる。個人の財産を盗む者は手を切断される」と、腐敗の一掃とともに刑法もイスラム法に基づくことが明記された。「麻薬、アルコール、たばこは禁止される」とも記されている。
女性については「貞淑でなければならず、髪を覆い、長衣を着て、外出が必要な時以外は家にとどまるべきだ」とする。1990年代にアフガニスタンのイスラム厳格派タリバーンが実施したような、女性の社会進出を抑える方針が示された。
■指導者「カリフ」
ISISによる宣言は、反欧米・反シーア派を明確に打ち出している。
シーア派については、「兵士は殺すか、捕らえるかのどちらかだ。(聖者崇拝の)墓は破壊される」と述べる。シーア派が、イスラム教の預言者ムハンマドの血統を継ぐ宗教指導者の墓を信仰対象としていることを異端視したものだ。今後、ISISに従うスンニ派武装勢力は、シーア派が主導するマリキ政権、シーア派系のアラウィ派が主導するシリアのアサド政権への攻撃を強めるとみられる。
ISIS指導者のバグダディ師は今回、「イスラム国」の「カリフ」を名乗った。「ジハード(聖戦)」を率いる者として、イスラム教徒に「自分の宗教と信仰にもどれ。西洋はあなたたちに降伏するだろう」と呼びかけている。
イスラム国家の樹立は、ISISの一方的な宣言だが、宣言文は「民主主義、自由主義、民族主義を信じてはいけない。それは西洋の考え方であり、くずだ」とする。民主主義を敵視する姿勢がうかがえる。
ISISには、欧州や中東・北アフリカ諸国から多くの義勇兵が参戦。今後、シリア北部からイラク中部を勢力圏に収める「イスラム国」がテロの温床となることは避けられない。(アルビル〈イラク北部〉=川上泰徳)
■イラクで犠牲、もう払えない 米に厭戦感
治安が悪化したイラクに米国が軍事顧問団を派遣した。ISISと戦うイラク軍を側面支援する。ただ、米国では「かかわりたくない」という思いが支配的。「対テロ戦争」への厭戦(えんせん)感が強まっている。
ニューヨークでは5月、2001年の同時多発テロを記録する「9・11追悼博物館」がオープンし、大勢の観光客でにぎわっている。展示では、テロを起こしたアルカイダが誕生した経緯について触れているが、アフガニスタン、イラクでの戦争についてはあまり説明していない。博物館を訪れたニューヨークのカメロン・レイドさん(27)はイラクについて「我々が国を破壊してしまった」と認め、最大300人の軍事顧問団をイラクに送るというオバマ大統領の決断を支持する。ただ「自国のことはイラクが決めなければならない」とも語り、深入りには反対だ。
ロサンゼルスの海岸では、帰還兵の団体が、毎週日曜に十字架を数千本並べ、反戦を訴える。帰還兵マイケル・プライズナーさん(31)は「人道目的で軍事顧問団を送るなんて10年前と同じうそだ。また国民をだまそうとするのか」と憤った。(ニューヨーク=中井大助、ロサンゼルス=平山亜理)
◆キーワード
<カリフ> アラビア語で「後継者」の意味。イスラムの開祖ムハンマドの死後、イスラム共同体を政治と宗教の両面で率いる指導者を選び、カリフと呼んだ。1922年にオスマン帝国が滅亡しカリフ制も終わった。イスラム主義者には穏健、過激にかかわらず「カリフ制再興」を唱える声が根強くある。
http://digital.asahi.com/articles/DA3S11218251.html
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