04. 2014年6月17日 23:42:04
: nJF6kGWndY
WSJは、煽っているが、オバマ政権が、できることは、かなり限られているイランとの関係改善も、かなり慎重にやらねば、後が大変だろうな http://jp.wsj.com/news/articles/SB10001424052702303838604579629970194361430 中東・アフリカ イラク危機で、オバマ政権が今持てるチャンス By GERALD F. SEIB 原文(英語) 2014 年 6 月 17 日 20:52 JST バグダッド北西部に集まったシーア派の戦闘員(16日) AP 米国にとって中東はひどい状況のようにみえる。ただそうである必要はない。
中東について言える経験則は、毎回の危機がチャンスの種をはらんでいるということだ。イスラム教スンニ派の過激派が勢力圏を拡大し、イラクで米国がお膳立てした政権に脅威となっていても、そこに迫り来る災難はオバマ政権に実際は真のレバレッジ(影響力)を与える。もちろんレバレッジを使うと選んだ場合のみだ。 レバレッジは、イラクのどうしようもなく無能な政府、近隣国イラン、エジプトで誕生したばかりの政府、ペルシャ湾岸の君主国にかかるもの。これら政府のすべてがスンニ派武装組織「イラク・シリアのイスラム国(ISIS)」によるイラクやシリアでの勢力拡大に脅かされている。これらの政府は、公に認めていようといまいと、今こそ米国の強い存在を必要とし求めている。 ホワイトハウスはこれまで介入を避ける傾向が非常に強かったが、今こそ、この流れを変えるためレバレッジの利用に前向きになる必要がある。混乱のなか、以下の主要国について米国が今持てる機会は次のようなものになる。 イラク イラクのマリキ首相は、スンニ派とシーア派の利益を広く網羅した代表政府を作り上げるよりも、シーア派の支配をゆるし、国内に大勢いるスンニ派をのけ者にした。クルド人との絆が薄れるままに放置し、自らを首相の座につかせた米国からも距離を置いている。 マリキ政権が存続の危機にさらされるなか、この両方の状況を変える時期が来ている。オバマ大統領が先週着手しているように、米国はマリキ氏の保身のための援助と引き換えに、マリキ首相に対して政府への参加をより幅広いものにするよう圧力をかけることが可能だ。 マリキ首相が米国の援助の必要性を認めることは同時に、米戦闘部隊がイラクから撤退した際にマリキ氏が拒否したもの、つまり、イラクに駐留する米兵の交通規則や法的保護を定めた「駐留米軍地位に関する協定(SOFA)」の締結を受け入れる可能性が生まれることを意味する。 SOFAは米戦闘部隊が戻ることを予言するものではない。部隊の駐留は、実際のところ、現在進撃している過激派組織のプロパガンダの狙いの思うつぼだ。しかし、正式な協定が締結されれば、小規模ながら米国からの重要な直接的軍事支援に道を開くことになる。支援には空爆に加えて、情報活動や空軍を導くのに助けとなる小規模な部隊の投入が含まれる。 小規模な軍事的投資で、一層安定したイラク政府とのさらに安定した関係が築かれるとすれば、それには価値がある。 イラン イランの政権は、中東で最大のシーア派の支持基盤があり、隣国のイラクに安定した友好的な政府が必要だ。だからこそイランはマリキ氏が立ち上げたシーア派の政権を好んだ。ただシーア派組織のあからさまな支援を受け、イランはイラクで強く出過ぎてしまい、現在顕在化しているスンニ派の反発を買った。 イランが避けたいのは国境沿いでの本格的なシーア・スンニ戦争だ。すでにそうした戦争の1つを1980年代にイラン・イラク戦争で10年近く経験済みだ。その代償は計り知れず、数十万人の命が奪われ、数千億ドルが浪費された。 一方、イランが渇望しているのは、米国主導の国際的経済制裁が一部緩和されることだ。暗黙なものに留まるだろうが、壮大な長期的駆け引きの手立てが整う。イラン政府は核開発プログラムの抑制に合意し、イラクとシリアの両国で進撃するスンニ派の過激組織を阻止する手立てとして、イラクとシリアで一層幅広く安定した政府を受け入れる。それと引き換えにイラン政府は、マリキ氏生き残りへの援助と経済制裁の緩和を米国から受けとる。 イランは、イラクで米国が一層積極的なスタンスを求めているかのように見え、米政府とうまく協働できると示唆している。イランのロウハニ大統領は週末にかけて「米国が行動した後に、協力について考えることができる」と述べた。 エジプトとペルシャ湾岸諸国 イラクとは異なり、エジプトはほぼ完全にスンニ派の国でほぼ完全にスンニ派の政府を持つ。ただ(スンニ派の)ムスリム同胞団のモルシ氏を解任して大統領となった元軍人のシシ氏の新政権は、すべてのシーア派政権と同様にスンニ派過激組織の格好の標的となっている。米国からシシ大統領へのメッセージはこうだ。「イラクの問題は宗教的反感を煽るような排他的な基盤を持つ政権の設立に伴う犠牲を示している」。 同様にイラクの危機はサウジアラビアや湾岸諸国との関係をリセットする機会だ。サウジアラビアや湾岸諸国はマリキ氏に用はない。ただ、いまなら、放置されればいずれは湾岸諸国の王政をターゲットとすることも考えられるイスラム過激派よりも、再構成されたマリキ政権の方がはるかに好ましい存在だという点で米国と合意するかもしれない。 (そうした合意と)引き換えに、オバマ政権はシリアの穏健スンニ派勢力を支援するため湾岸諸国との取り組みを再開する可能性がある。 それによりシリアで勢力を拡大するISISの弱体化を狙う。 もちろん中東では、よく練られた計画でも頓挫する傾向がある。マリキ氏は真の政治的手腕に単に欠けているかもしれない。イランは米国と共存する方法を見つけることよりも米国を負かすことに関心があるかもしれない。エジプトや湾岸諸国は米国が単に中東に興味をなくしたと結論づけているかもしれない。ただこの地域は、行動してうまくいかないよりも、何もしないことによる悪影響がはるかに大きい。 米、イラク支援で周辺国と調整苦慮 イラン「協力可能」と秋波 【ワシントン=川合智之】オバマ米政権がイラク支援を巡り周辺国との調整に苦慮している。イラクと同じイスラム教シーア派政権のイランが米との協力も可能だと秋波を送ったが、米とイランが手を組めば、スンニ派の周辺国サウジアラビアなどの反発は必至。米はシリア情勢もにらみ、微妙な均衡を保つ中東情勢に影響が出るのを避けたい考えだ。
「イランと軍事協力は話し合わない」。米ホワイトハウス、国務省、国防総省の3報道官は16日、ケリー米国務長官の同日朝の発言をそろって打ち消した。ケリー氏はイランと軍事協力する可能性を問われて「建設的なことであれば何も排除しない」と否定せず、中東親米国の疑念を招いた。 米とイランの対立は根深い。1979年のイラン革命で親米派国王が米に事実上亡命すると、テヘランの米大使館が襲撃され人質を取られる事件が発生。80年に米とイランは国交を断絶した。同年にはイラン・イラク戦争も勃発。2002年に当時のブッシュ米大統領がイランなどを「悪の枢軸」と呼んで非難した。 イランがイラクを巡り、米との共闘を示唆したのは、スンニ派のフセイン政権時代とは異なり、現在のイラクのマリキ政権はイランと同じシーア派が主体なことが理由だ。スンニ派の過激派武装組織「イラク・シリアのイスラム国」は共通の敵といえる。 13年8月に就任した保守穏健派のロウハニ大統領は、オバマ米大統領と電話で協議するなど、米との融和路線を打ち出した。02年に浮上したイランの核開発疑惑でも、米英など6カ国との核協議で高濃縮ウランの製造停止を表明し、包括合意に向けて一歩踏み出した。 逆に、スンニ派の親米国サウジやカタール、アラブ首長国連邦(UAE)などは、米とイランの接近を警戒する。オバマ政権が、イランと近いシリアのアサド政権に対する軍事介入を見送ったのに続き、イラク支援でイランと協力すれば、中東で対米不信が広がる可能性もある。 米もイラクへの全面支援には慎重だ。オバマ氏はイラクの混乱が「米国の利害への脅威となる」ことを認めながらも、米軍地上部隊の派遣は否定。過激派武装組織の台頭は、マリキ政権が国内を掌握しきれなかったのが原因として、「最終的に問題を解決するのはイラク自身だ」と突き放す。とはいえオバマ氏は、自身が決断した米軍撤退が中東混乱を招いたと批判されるのは避けたい。 米はペルシャ湾に空母ジョージ・ブッシュや揚陸輸送艦などを配備し、即応態勢に入った。無人機による短期的な空爆が選択肢として取り沙汰されているが、その先の中東安定は見通しが立たない。民族・宗派対立やシリア情勢、核問題など変数は多く、単純な解は見つかりそうにない。 |