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理化学研究所のSTAP細胞論文問題を受け、第三者による改革委員会がまとめた提言書の要旨は次の通り。
◇小保方晴子・研究ユニットリーダーの採用経緯
2012年4月27日、小保方氏は理研神戸事業所でSTAP現象に関し説明した。同年10月、発生・再生科学総合研究センター(CDB)は特に幹細胞研究者の採用を掲げ、新任PI(研究室主宰者)の公募を開始した。11月14日の非公式な打ち合わせで小保方氏が候補となり、西川伸一・副センター長(当時)は小保方氏に応募するよう打診した。人事委員会は過去の論文や応募書類の内容を精査しないまま面接を行い、採用を事実上内定した。人事委は研究の秘密性が高いと判断し、英語による公開セミナーを省略し、これに代わる非公開セミナーも行わなかった。
小保方氏の採用は、必要とされるプロセスをことごとく省略する異例ずくめのものだった。研究者としての資質と実績を評価して、というよりも、iPS細胞研究を凌駕(りょうが)する画期的な成果を獲得したいとの強い動機に導かれた可能性が極めて高い。
日本の代表的機関で起こったとはにわかに信じがたいずさんさである。採用に加担した、竹市雅俊センター長、西川氏らCDBトップの責任は極めて重いと言わざるを得ない。
◇論文作成の経緯
竹市氏や笹井芳樹副センター長は、小保方氏には論文を完成させる経験が不足していると認識していた。竹市氏は論文の作成指導を笹井氏に依頼した。笹井氏は、12年12月以降、STAP研究の重要性やインパクトを認識し論文の作成に積極的に取り組んだ。一方、秘密保持を優先し、外部からの批判や評価が遮断された閉鎖的環境を作り出した。論文作成の過程で、笹井氏は、小保方氏の過去のデータを批判的に再検討・再検証することなく信用し、結果として多くの誤りを見逃した。また、共著者との連絡を十分に行わず、共著者によるデータ検証の機会を減じる結果を招いた。
14年2月ごろには、共著者として小保方氏の研究不正および論文の真正性を疑うべき事情が生じていたにもかかわらず、笹井氏は「STAP現象は有力仮説である」との発言を繰り返し、一般国民、とくに再生医療への応用を期待した難病患者に大きな期待を持たせた。成果主義に走るあまり、真実の解明を最優先として行動するという科学者として当然の基本をおろそかにした笹井氏の行動は、厳しく責任が問われるものである。
◇CDBの組織的欠陥
小保方氏のデータ管理は極めてずさんで、実験の検証・追跡を不可能にした。実験ノートは日付や実験条件などについて明確に記されていないのみならず、半年以上の期間に3〜5ページ程度の記録しかないなど、質量ともに極めて貧弱だった。竹市氏はデータの記録・管理について確認・指導を行う責務を実施していないばかりか、その責務を負っていることさえ認識していない。CDBではデータの記録・管理は研究者任せであり、組織としての取り組みはほとんどなかったと言わざるを得ない。
STAP問題の背景には複合的な原因があるが、いずれもCDBが許容し、その組織体制に由来するものでもあった。研究不正を誘発する、あるいは抑止できない組織としての構造的欠陥があった。
ほとんど同一のメンバーによる長期のガバナンスは、なれ合いを生む土壌となる。CDBの組織としての構造的な欠陥の背景には、CDBトップ層のなれ合い関係によるガバナンスの問題があると指摘せねばならない。
◇理研の認識不足
理研は、10年度から研究不正を防止するための研修の受講を管理職に義務づけていたが、11〜13年度の受講率は41%にすぎない。不順守が漫然と放置されていた。理研本体としても、実験データの記録・管理を実行する具体的なシステムの構築・普及が行われていない状態だった。STAP問題が生じて以降、理研のトップ層において、研究不正の背景や原因の詳細な解明に及び腰ではないかと疑わざるを得ない対応が見られる。原因の究明に時間をかけることなく幕引きを急いでいる感があり、STAP現象の存否について、科学コミュニティー内での真摯(しんし)な対話を踏まえた真実の究明を行う姿勢がほとんど見られない。
1月28日に行われたSTAP研究に関する理研の記者会見資料で、iPS細胞との比較に用いられた数値は十分な検討がされておらず、結果として理研は、iPS細胞研究について社会一般に誤った認識を植え付け、STAP研究に不適切な期待を抱かせた。
また、小保方氏の研究室やかっぽう着姿で研究する小保方氏を公開するなど、派手な広報が展開され、必要以上に社会の注目を集めた。報道発表の大部分は笹井氏が取り仕切り、正確で客観性の高い広報という視点からの報道発表ができなかった。報道発表は理研広報室が最終的な責任を負っているにもかかわらず、CDBをコントロールできず、大きな混乱を招いた。
◇再発防止策
小保方氏の研究者倫理の欠如、科学に対する誠実さ・謙虚さの欠如は、研究者としての資質に重大な疑義を投げかけるものであり、小保方氏の研究不正行為の重大さと共に厳しくその責任が問われるべきなのは当然。極めて厳しい処分がなされるべきである。笹井氏はデータの正当性と正確性を自ら確認せず、共著者、責任著者としての責務および、小保方氏に助言する責務をいずれも軽視し、拙速に論文を作成した。組織上の職責、指導的立場に照らし、小保方氏と並び責任が問われるべきである。竹市氏の組織上の責任もまた、厳しく問われるべきである。
CDBの構造的欠陥の背景には、CDBトップ層全体の弛緩(しかん)したガバナンスの問題があり、人事異動など通常の方法では欠陥の除去は困難である。任期制職員の雇用を確保した上で早急にCDBを解体すべきである。
STAP現象の有無を明らかにせずうやむやにすることは、科学研究に対する国民の信頼を傷つける。正しい再現実験を行うことは国民に対する義務である。
研究不正が認定されていない論文にも、複数の重大な疑義が判明した。速やかに調査を行い、研究不正の有無を明らかにすることを求める。2本の論文について、生データの確認などの検証が行われていない。前代未聞の恥ずべき不祥事の発生を許したプロセスの詳細な解明なしに不正根絶は困難である。
公正な研究の推進、研究不正の防止の責を担う組織として、研究公正推進本部を理事長直轄の本部組織として新設し、強力な権限を付与することを求める。同本部の下で実験データの記録・管理に関する方針を定める。
ガバナンス体制を改め、産学官から適材適所の人材を理事に登用する。少なくとも2人の研究担当理事を置く。外部有識者のみで構成される「理化学研究所調査・改革監視委員会」を設置する。
論文はすべて撤回の見通しとなったが、STAP問題が日本の科学研究の信頼性を傷つけている事実は消えない。研究不正は科学者コミュニティーの自律的行動により解決されるという社会の信頼の上に、科学者の自由は保障される。理研がリーダーとして範を示すことが期待される。
◇改革委メンバー
委員長=岸輝雄・東京大名誉教授▽委員=間島進吾・中央大教授、市川家国・信州大特任教授、塩見美喜子・東京大教授、竹岡八重子・弁護士、中村征樹・大阪大准教授http://mainichi.jp/feature/news/20140612mog00m040023000c.html
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