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2015年1月11日
昨年11月16日の沖縄県知事選で翁長雄志氏が新沖縄県知事に選出された。
翁長氏は「辺野古に基地を造らせない」ことを公約に掲げたが、仲井真前知事による埋立申請承認の撤回または取消については選挙公約としては確約しなかった。
私は、「辺野古に基地を造らせない」ことを担保するために、翁長氏は埋立申請承認の撤回または取消を公約として明示するべきであることを主張したが、結局、翁長氏はこれを明示しなかった。
この点に曖昧さが残される選挙戦になったが、辺野古基地建設を阻止しようとする沖縄県民は、翁長氏を選出し、
「辺野古に基地を造らせない」
という公約を順守することを求めた。
翁長氏はこの公約を順守する責務を負っている。
しかし、その道は決して平たんなものではない。
安倍政権は仲井真前知事による埋立申請承認をもって、辺野古問題は「過去の問題」であるとして、辺野古基地建設を強行する姿勢を崩していない。
沖縄県の新知事が辺野古基地建設阻止を公約に掲げて選出されたことを踏まえて、予算措置などを通じて沖縄県の対抗措置を封じ込めようとする姿勢を強めることが予想される。
翁長氏を支持した陣営の一部には、辺野古基地建設阻止よりも沖縄振興予算確保の方が重要であると判断する勢力が存在しているとも考えられる。
この勢力は、予算措置で締め付けを受けるなら、辺野古基地建設を黙認してしまうことも選択肢のひとつであるとの判断を隠し持っている可能性もある。
選挙の公約で、埋立申請承認の撤回または取消を公約化することは、選挙後のこうした揺り戻しを排除するために必要不可欠と思われたのである。
翁長氏が上京して首相を含む安倍政権要人との接触を求めたが、安倍政権は極めて冷淡な対応を示した。
沖縄県では政府の対応を批判する声が上がっている。、
批判はまったく正当であるが、しかしながら、こうした政府の対応は完全に想定の範囲内のものである。
さらに、沖縄県が安倍政権の方針に対峙して、辺野古基地建設阻止の方針を明示する以上、安倍政権が国家予算の裁量措置によって、沖縄県を締め付ける行動に進むことも、完全に想定の範囲内のものである。
この対応が不正で歪んだものであることは事実だが、安倍政権そのものが不正で歪んだ部分を内包している存在である以上、こうした対応は不正で歪んでいるものであっても、現実には顕在化するものであることは、予め想定しておくべきものである。
つまり、辺野古に基地を造る方針を明示している安倍政権が存在するなかで、
「辺野古に基地を造らせない」
という選挙公約を実現するには、強い覚悟と、毅然とした行動力が不可欠になる。
そして、「毅然とした行動力」というのは、具体的に言えば、
「埋立申請承認の撤回または取消」
でしか、依然としてないのである。
他に有効な方法があるなら、その方法を採用すればよいが、少なくとも、現段階では、この方策を実行に移すこと以外に、実効性のある方策は示されていない。
だからこそ、私は選挙の際に、その実効性のある具体的方策を公約として明示することが重要であることを主張したのである。
Peace Philosophy Centreの昨年11月15日付記事
に、
「オリバー・ストーンとピーター・カズニックから沖縄の人々へのメッセージ」
が掲載された。
このなかで両氏は、
「日曜の選挙で翁長氏が勝ったら、彼は県知事としての権限を使い仲井眞氏の埋め立て承認を取り消す必要があります。それより少しでも後退するようなことであればそれは沖縄への再びの裏切りとなるでしょう。」
と指摘した。
また、吉川秀樹氏は、沖縄タイムズ紙に
「承認撤回と米国への要請」
と題する論考を2回にわたって寄稿した。
このなかで、吉川氏は
「民意実現の鍵は、翁長県政が
1.埋め立て承認を取り消しまたは撤回し、
2.民意を柱として米国政府に積極的に訴えていく
ことだろう」
と指摘した。
いずれの論考も、「辺野古に基地を造らせない」ことを実現するための具体的方策の鍵として、
「埋立申請承認の撤回または取消」
の実行をあげているのである。
知事選は「辺野古に基地を造らせない」ための出発点であって終着点ではない。
安倍政権が予算措置などを悪用して圧力をかけてくることはもとより想定の範囲のものである。
これに対峙して「辺野古に基地を造らせない」という公約を順守するには、翁長県政が毅然とした行動を貫く以外に方法はない。
「辺野古に基地を造らせない」ために翁長氏を支持した勢力は、翁長氏の毅然とした対応を強く求める必要がある。
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