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HUNTER(ハンター)
2015年1月 8日 09:10
伊藤鹿児島県知事 会見で原発質疑を打ち切り
『正月早々そういうのにお答えする気持ちはほとんどない』
鹿児島県知事会見 5日、定例会見に臨んだ鹿児島県の伊藤祐一郎知事が、県民の生命・財産に直結する「原発」についての記者団の質問に対し、『正月早々そういうのにお答えする気持ちはほとんどない』と発言、最後は原発に関する質疑を一方的に打ち切るという暴挙に及んだ。
川内原発(薩摩川内市)再稼働に合意した知事が、説明責任を放棄した形。普通なら、新聞やテレビで厳しい批判に晒されるはずだが、県内メディアは沈黙。独裁知事と無気力な記者クラブによって、「知る権利」が葬り去られようとしている。
年頭会見で暴走
新年を迎えて初めてとなったこの日の定例会見、伊藤知事は幹事社質問を受けて、今年の抱負や出水市で発生した鳥インフルエンザへの対策について話した後、記者クラブ所属記者からの質問に答えた。当日の質問は全部で16項目。次のような内容だった。
1、今年の抱負について(幹事社質問)
2、高病原性鳥インフルエンザについて(幹事社質問)
3、水俣病対策について
4、原子力総合防災訓練について
5、川内原子力発電所の再稼働について(1)
6、複合施設(スーパーアリーナ)の整備について
7、かごしまPRキャラクター「ぐりぶー」について
8、川内原子力発電所の再稼働について(2)
9、2014衆議院選挙について
10、知事の政治姿勢について
11、川内原子力発電所の再稼働について(3)
12、エコパークかごしま(公共関与による産業廃棄物管理型最終処分場)について
13、湧水町での民間事業者による産業廃棄物管理型最終処分場の整備について
14、格差社会の是正について
15、戦後70周年について
16、独占禁止法違反事案に係る損害賠償請求について
県のホームページにアップされた動画を見ればわかるが、会見は冒頭から弛緩ムード。幹事社質問まではトントンと進んだが、3問目となった水俣病対策についての質疑のあとは、質問自体が続かない。そして、知事と記者たちとのやり取り。
記者 じゃ、よろしいですか。ぼく、ちょっともう一点だけ聞かせてもらって。
知事 余分なことは質問しなくていいです。(一同笑い)
緊張感ゼロ。知事の顔色をうかがいながら、恐るおそる質問する記者たちの息遣いまで聞こえてきそうな雰囲気だ。そうしたなか、知事の態度が険しくなったのは、原発再稼働についての質問が続いたあたりからだった。
原発関連は「暗い話」とでも言わんばかり。記者団への牽制だ。次に、記者の質問が再び原発関連だとわかった途端、打ち切りを予告した。
苛立ちながらも持論を展開する知事。この質疑中、原発再稼働による県や県民にとってのメリット、デメリットを聞かれ――。
原発は、県民の命や財産にかかわる最重要の課題だ。フクシマの惨状を見れば、誰でも理解できる。鹿児島県民の多くが、川内原発再稼働に疑問を抱いているなか、『正月早々そういうのにお答えする気持ちはほとんどない』とは、呆れた物言いである。紛糾して当然の暴言だが、記者団は黙ったまま。抗議どころか発言の真意を確かめようともしない。
とどめは、原発再稼働に向けて、県として今後やるべき課題を聞かれた知事の次の発言だった。
驚いたことに、原発に関する質疑を、知事が一方的に打ち切ってしまったのである。説明責任の放棄。知事失格であることは言うまでもない。
無力・無能な記者クラブ
情けないのは記者クラブの態度だ。普通なら「説明責任を果たさないのか」「答える義務があるはずだ」と畳み込む場面だが、質問した記者をはじめ県庁記者クラブの面々は黙ったまま。あっさりと次の質問に移ってしまった。鹿児島県庁記者クラブは県民の「知る権利」とは無縁の存在なのである。
地方自治体にある記者クラブとしては極めて珍しいことなのだが、鹿児島県庁記者クラブには「青潮会」という名前がついている。よほどの自覚があってのことかと思いきや、これがまったく逆。九州各県のなかでは最悪の記者クラブであり、知事の悪行を暴いたり、県政の歪みを糾弾することはほとんどない。県の広報というのが実態だ。知事にも記者クラブにも、県民の「知る権利」を守ろうという意識は、はなからないのである。
川内原発の再稼働が予定されているのは今年の春。鹿児島県民の声が、県政に反映されることはなさそうだ。
http://hunter-investigate.jp/news/2015/01/-9-1.html
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