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2015-01-08 09:00:58
「アベノミクスは軌道修正すべき」と、東京新聞が1月4日の社説で正月早々一発パンチを食らわせました。
書き出しはこうです。「アベノミクス『再起動』の年となります。デフレからインフレへの転換を目指すも行き詰まり、むしろ弊害が目立ちます。根底から軌道修正すべきです」と。社説がいう「再起動」とは、アベノミクスの方向が間違っているのだから、「軌道修正」せよ、という注文です。
軌道修正すべき方向は、「人を幸せにする経済」への転換と明確です。
安倍政権の予算編成が急ピッチで進み始めましたが、中身は弱者には負担を押し付ける厳しいものになりつつあります。一方、儲かっている大企業には「法人税を減税する」と、お優しい温かい配慮です。
安倍政権の進める方向は、集団的自衛権の行使、特定秘密保護法、原発再稼働、日本を売り渡すTPP(環太平洋経済連携協定)、消費税増税などで、弱者切り捨てが目立ちます。
それはともかく、この社説は、曲り角に立つ企業経営をどう立て直すかという中国の経営者の悩みから入ります。そして、中国では「徳の経営」を説く経営書が読まれるようになったと指摘。
「米国をもしのぎ世界一の経済大国になるであろう中国ですが、経済発展とは裏腹に貧富の格差や都市と農村の落差は同じ国とは思えないほど。行き過ぎた成長至上主義、拝金主義ゆえのひずみが国を蝕(むしば)んでいる」と中国経済を描写し、それゆえ「徳」が評価され、見直されていると分析しています。
*どうやらこのくだりあたりは、真正面から安倍政権を攻めずに、中国経済を例に出して代わりをさせる安倍政権への”思いやり”?
「翻ってアベノミクスです。なぜ行き詰まり、格差拡大などの問題が生じているのでしょうか」と問い、この政策の失敗を3本の矢ひとつひとつについて検証。
最も重要な「成長戦略」に関しては、「この哲学にこそ問題がある」とし、「『企業が世界で一番活動しやすい国』といって経営者寄りの、目先の利益しか考えないような政策ばかりです。一時的に株価が上昇しても長続きはしない」と、ばっさり。
「日本経済にとって必要なのは消費を支え経済社会に安定をもたらす中間層の存在です。勝ち組と負け組をつくり、二極化する分断社会ではありません。アベノミクスに最も欠けている視座は、弱者への配慮であり、再分配政策など格差を縮める努力です。真の強者は弱者に優しい。弱者に冷たいのは、ただの弱い者いじめでしかないのです」と、改めて経済の本来のありように触れました。
その上で、一番大切なものとは、「大切にすべきことをないがしろにすると組織は必ずおかしくなる。一番大切なのは業績でもシェアでもない。それらは経営の結果としての現象です。大切なのは、社員とその家族ら企業に関わるすべての人の幸せづくり」と、企業経営になぞらえて言及。最後に、「アベノミクスは一番大切なものをないがしろにしているのです」と締めくくりました。
要するに、「人の幸せづくり」こそが政治や経済の本質のはず。それをないがしろにし、国民をだます政策に力を入れているのが、アベノミクスといえる。早晩、その化けの皮に国民も気が付くのではないでしょうか。
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