18. 母系社会 2015年1月08日 19:45:01
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<ロシアの勝利確定?ロシアの逆襲>●2008年のリーマンショック以来、金の保有高を増やそうとする国が増えている。冷戦時代の西ドイツは最前線国家。それで、万一の場合、旧ソ連に奪われる可能性があるという理由で米国やイギリス、フランスに金を預けていたが2013年、ドイツは一部を取り戻すことにして返却を求めた。同様の理由で米国に金を預けていたオランダは取り戻したが、なぜかドイツは米国からは取り戻せなかった。(人質かも)スイスも結局否決されたが、金資産の倍増や金の売却禁止などを国民投票で決めようとした。(米国はドイツに返却しなかったので、財政危機状態が長い米国には、公表されているほど多量の金は、既に無いのでは?という疑惑が生じたが真相はナゾ) IMFは昨年の7月、世界最大級の金現物保有国であるロシアやカザフスタン、アゼルバイジャンが再度、金在庫を積み増したと報告した。昨年末の時点では金準備ほぼゼロだったアゼルバイジャンは7カ月連続で金を蓄積し、トルコも金準備を急速に増やしている。金価格が低下していることもあるが、ドルやユーロが信頼できなくなった新興国は、外貨の分散化でリスクを軽減するためにも金の保有高を拡大している。 中国は、米国の長期国債の購入は止めると発表したが、貿易のドル決済まで止めるのではなく、新たに稼いだドルは即座に金などに交換するという意味。だから、中国も金の保有を増やしている。また、インドも金の保有高を増やそうとしているという。要するに、昨年、欧米が主導する世界銀行とIMFの代替を目指す「BRICs開発銀行」や、日本が主導する「アジア開発銀行」に対抗するかのような「アジアインフラ投資銀行」を立ち上げたBRICs諸国は、組織的に金などの貴金属の備蓄を増やしているのは間違いない。 しかし、下記の記事のドミトリー・カリニチェンコ(ロシア)によると、金の現物保有に最も熱心なのはロシア。現在、ロシアは原油やガスを事実上、金の現物で売っている。というのは、原油やガスの代金としてドルを受け取るが、即座に全て金の現物に変えているから。それでロシアは、去年の第三四半期に、全世界の中央銀行が購入した合計93トンの現物の貴金属のうち、何と55トンもの金を購入するなど、猛烈な勢いで金の現物保有高を増やしているという。 ●1970年初頭の金価格は、1トロイオンス(約31グラム)で600ドル弱だった。その後、金価格は上下しつつも、おおむね値上がりを続けた。金は原油と共に投機対象になったこともあり、2011年秋には1800ドル弱まで値上がりした。その後、約1年間は上下しつつも高止まりしていたが、2012年の秋頃から下がり始めて、今は1200ドル台である。 元米国の国務次官補のポール・クレイグ・ロバーツによると、米連銀はドル防衛のために、密かにJPモルガンなどの大手銀行に依頼して、一度に巨額の金の売り先物の注文を行い、意図的に相場を下落させているという。それでロシアは、価値が下がり続ける原油やガスを、人為的に価値が上げられているドルと交換で売り、そのドルで直ぐに人為的に価値が下げられている金を購入する操作で、原油やガスの値下げによる収入減の補填を行っている。金の価値が人為的に下げられているなら、やがて金の価値は劇的に値上がりする蓋然性が高いからである。 貨幣には商品流通の媒介機能だけでなく、価値の尺度や価値の貯蔵手段という機能もある。今までドルは、この3つの機能を持っていた。そこで、BRICs諸国はドルを貯め込むのを止め、市場にドルを放出して価値を下げ、さしあたり価値貯蔵機能を無くそうとしている。しかし、価値が下がって価値貯蔵機能を失うと、やがて媒介機能も価値尺度の機能も失い、最終的には基軸通貨の地位も喪失させる戦略である。 BRICs諸国間の貿易決済を金で行えばドルは不要となり、BRICsが貯め込んだ金は内部で巡回するだけで外には流出しない。そして、やがてロシアがEUに対して金の現物で支払わなければガスをEUに売らないと宣告すれば、EUが所有する金の現物はロシアへ移行し、BRICsだけでなくEUも市場から金の現物を買い集めようとすれば金価格は高騰する。そして、金の現物で支払えなくなったらガスの供給を停止すると通告し、EUを屈服させる戦略らしい。 金の現物でなければ売らないのは過酷なようだが、ロシアは一切売らないと言っているのではなく、金の現物となら売ると言っている。売り手と買い手は対等の立場。買い手が代金として支払う「もの」は、売り手も信頼できるものでなければならず、戦争中の日本軍の軍票のような「紙切れ」に過ぎないドルやユーロとの交換はできないと言っているだけ。また、米国が消費するウラン燃料の6分の1はロシア製なので、ロシアは米国に対しても、金の現物での支払いを要求できる。 ●ロシアが悪いと思う人もいると思うが、ロシアが抗議しても米国はロシアを敵視し、イラン向けだと言ってロシアの周囲に核戦力を封じる施設を強引に建設してきたから、米国に責任ある。 グルジョア戦争の時、奇襲で多数の犠牲者を出したロシアは、グルジョアを占領してファシストを一掃できたのだが首都手前で停止ー撤退したように、これまでロシアはEUはロシアと協調してくれると期待して行動をセーブしてきた。しかし、ウクライナ問題でEUも米国の奴隷だと判断し、ついに諦めたらしい。それで、本気でEUを米国から離反させる作戦を始めたというのである。 すると、普通の国なら戦争になるが、米国でもロシアや中国との戦争は核戦争になるので不可能。とは言え、米国がロシアや中国の核戦力が弱く、勝てると見なしたら万一の場合もあるので、ロシアや中国は核戦力を増強しようとしているらしい。 ●BRICsだけでなくEUも金の現物を買い集めようとすれば、量に限りがある金は値上がりし、ドルは値下がりしてしまう。それで、米国とEUはロシアの戦略に気付いているが、ドルしか印刷できない米国やEUは対処不能で、頭を抱えているとドミトリー・カリニチェンコは主張している。 2008年のリーマンショックによる金融危機は金価格を高騰させたように、金には依然として富の象徴的魅力がある。BRICs諸国の中国や南アフリカ、ロシアは金の大産出国であり、中国とロシア+南アフリカの3ヶ国だけで、米国の3倍の金を産出することも影響しているかもしれない。BRICs諸国は、「より金を多く持っている者がルールを決める」という黄金律に期待して通貨のドル基軸体制を崩壊させ、IMFのSDRのような新しい通貨体制を構築し、米国からEUを離反させて「新冷戦」に勝つ戦略かもしれない。 ●ロシアが欧米に対して本気で怒っているのは間違いない。しかし、中国のGNPは量的レベルで米国に追いついたに過ぎず、まだ質的には大きな差がある。現時点の中国が本気で米国の覇権に挑戦し始めたとは、とても思えない。というのは、おおむね国民国家化して、ナチとの厳しい戦いにも耐えたロシアは、プーチン的な近代人がリーダーなら、外圧を加えられても団結力を高められる。 しかし、まだ国民意識が共有されず、モザイク国家のレベルを出ない中国には、単純リベラル派の国民が多い。彼らは、自称民主主義の欧米諸国も中国と同じように、マスゴミによる世論操作が行われていることや、単に形式的に選挙が行われているだけで、実質的には「独裁国家」であることを知らずに、欧米や日本に憧れている。ウクライナのように欧米の内部工作が行われれば、「分裂ー内戦」もあり得るのではないだろうか? ★それで、さしあたり中国は米国との戦いの矢面には立たない。ロシアが欧米の軍門に下らないように支援はするが、質的にも米国に追いつき、中国の勝利が決定的になるまでは、米国との対決は避けるだろう。中国はロシア側に立つが、同時に米国からも、ロシアとの仲介を依頼されるような「漁夫の利」も狙う微妙なスタンスを維持するのではないか? ロシアの戦略が上手く行かない場合の最終手段は、中国が保有する米国国債の売却だろう。血が流れずとも不沈を掛けた「戦い」なので、一時的に大損をするが仕方ない。しかし、それは今世紀半ば頃になるだろう。さしあたり中国は、アジアでの米国との「G2体制」の確立と維持、そして、世界レベルではBRICs諸国の団結の維持と、米国から覇権を奪取するための様々な準備を着実に進めるだろう。 <2009年の金の産出ランキング> 1位 中華人民共和国 32万0,000トン 2位 アメリカ合衆国 22万3,000トン 3位 オーストラリア 22万2,000トン 4位 南アフリカ共和国 19万7,698トン 5位 ロシア 19万0,693トン <マスコミに載らない海外記事> 「達人プーチンのワナ」 ドミトリー・カリニチェンコ http://eigokiji.cocolog-nifty.com/blog/2015/01/post-c100.html ロシアなど新興国の中銀、7月は金購入を拡大=IMF報告 http://jp.wsj.com/articles/SB10001424127887324361104579038351475861232 多くの欧州国家、海外から金を回収 http://news.livedoor.com/article/detail/9513989/ 金への郷愁が欧州中銀への圧力に―スイスでは30日に国民投票 http://jp.wsj.com/articles/SB11360550936975084497104580303750492792226
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