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2015-01-04 09:57:10
新しい年に明るい見通しを示す論調はほとんど見かけませんでした。ざっくりとした今年の全体像は、「崩れゆくニッポン、混乱する世界」といった様相のようです。
大手紙の本日1月4日の社説は、朝日新聞の見出しが「危機に立つ世界秩序 国際法支配の確立をめざせ」、読売新聞は「流動化する世界 秩序維持へ国際協調が急務 米国の指導力低下をどう補うか」でした。いずれにも共通するのは、「世界は流動化しており、世界秩序が危機に直面している」という認識です。
では、その認識に立って、それぞれが何らかの処方箋をだしているかというと、驚くことに何にも出していません。「世界は、大変危険な病気に冒されていますよ。気をつけて、治す努力が大切です」という指摘にとどまっています。
こんな具合です。「グローバル化が進んだ時代だけに、いずれの問題も一国の手に余る」(朝日)、「国際社会は、この難局への対処に知恵を絞り、行動する必要がある」(読売)と指摘はするのですが、ではどう対処するべきかについては、「それぞれ勝手に考えなさい」とでもいうように読者に丸投げで、責任ある論調を逃げているのです。
せいぜい、「最大の国際機関である国連の地位向上が、今ほど必要とされるときはない」(朝日)と指摘し、国連や地域機構の機能強化を提唱する程度。日本については、「日本の役割も重要だ」と書いて済ましています。なんじゃい。
こうした論説を展開する場合には、世界をどう認識し、何が危機の根本なのかに言及しなければならないはずですが、それが両紙とも全く見当たりません。危機の根幹には、膨れ上がる世界の人口とそれだけの人口をどうして食べさせていくのか、があります。食料は人間という生物が生存していくための最低条件です。食料を公平に分け合えば、少なくとも紛争はある程度抑えることができるはずが、一部の国が贅沢に浪費する不平等社会にしているために、世界の紛争はいつまでも根を絶つことができない。これは、今に始まったことではなく、人類の長い間の課題です。
しかし、今年は本気でこの問題解決に取り組まなければ、これまで以上に紛争が激しくなり、遂には「第3次世界大戦」にまで発展しかねない。それほど切羽づまってきているのではないでしょうか。
しかし、人類という生き物は、この危機を深刻には受け止められず、ずるずると行き着くところまでいくのでしょう。朝日、読売両紙の内容の薄い社説は、それをはからずも露わにしているようです。
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