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12月24日午後、衆院本会議で第97代首相に指名され、起立して一礼する安倍晋三首相(ロイター)
http://www.zakzak.co.jp/society/politics/news/20150101/plt1501011128001-n1.htm
2015.01.01
「なすべきことは明確であります。安倍内閣の総力を挙げて、この総選挙で国民の皆さまにお約束した政策を一つ一つ確実に実現していくこと、それに尽きると考えています」
安倍晋三首相(60)は24日夜、第3次内閣発足後初の記者会見で、改めて経済政策「アベノミクス」や安全保障法制の見直しなどの政策実現に強い意欲を示した。
先の衆院選では自民、公明両党で再び3分の2を上回る議席を獲得し、数の上では盤石の態勢になった。同時に、もはや言い訳のできない正念場を迎えているともいえる。
■国政に空白つくれず
第3次安倍政権の船出で、まず注目されたのは人事だった。
主要な自民党役員は全員続投した。閣僚も、当初は全員再任を検討していた。
しかし、江渡聡徳(えと・あきのり)防衛相兼安保法制担当相(59)が、自らの政治資金が先の臨時国会で問題になったことなどを理由に「安保法制論議に遅滞があってはならない」と再任を固辞した。
首相は、来年の通常国会で集団的自衛権の行使容認に向けた安全保障法制関連法案の成立を目指すと宣言している。江渡氏の「政治とカネ」の問題が審議に影響する懸念はあったが、首相サイドは「十分乗り切れる」(官邸筋)と判断していた。それでも、江渡氏の意志は固く、首相は受け入れざるを得なかった。政府高官は「江渡氏の親族が猛反対した」と打ち明ける。
結局、中谷元(げん)元防衛庁長官(57)を防衛相に起用し、残りは全員再任した。
首相は、通常国会の後も見据えている。来年9月に任期満了を迎える自民党総裁選だ。党内で首相に対抗する動きは今のところみられないが、首相周辺は「通常国会終盤の来年夏の情勢次第で、名乗りを上げる人が必ず出てくる」と警戒する。
半年以上先の景気状況は見通せない上、安保法制の国会審議で内閣支持率を落とす可能性もある。時の首相が少しでも隙を見せれば足を引っ張り、あわよくばその座を奪おうとするのは政界の常だ。首相が「芽が小さいうちに不穏な動きは封じる」と考えるのは不思議ではない。
■“煙たい”派閥領袖を封印
その動きの一つが、衆院議長人事だった。
伊吹文明前議長(76)は衆院選後も続投に意欲を示していたとされるが、首相は町村信孝元官房長官(70)への交代を指示した。
伊吹氏は自身のフェイスブックで今回の衆院解散を批判するなど、首相にとって“煙たい”存在であった。議長としても「モノを言う」伊吹氏の発言力を抑えるための「事実上の更迭」と見る向きもある。
後任の町村氏も、首相が在籍していた最大派閥「清和政策研究会」の先輩だが、常々「首相とはそりが合わない」といわれ、伊吹氏と同様“目の上のたんこぶ”だった。町村氏の議長就任により、派の会長は町村氏から首相の信頼が厚い細田博之幹事長代行(70)に交代した。首相は将来的な「安倍派」への移行をもくろんでいるとされ、今回その動きが強まった形となる。
長期政権を視野に、着々と先手を打つ首相だが、もう一つのカギが衆院当選2回以下の大量の若手議員の支持を得ることだ。2年前の衆院選以降に初当選した議員は総裁選の激しい攻防を経験しておらず、若手の動向が総裁選の行方を左右することも考えられる。
ベテラン秘書は「首相は今回の選挙戦で、目をかけている若手の応援に特に力を入れていた。党全体の議席の増減よりも、“安倍シンパ”が何人当選したかの方に関心を持っている」と指摘する。
「来年が皆さまにとって素晴らしい一年となりますことを祈念しております」 首相は24日の会見の冒頭発言をこう締めくくった。「障害」は排除した。それでも、政界は「一寸先は闇」ともいわれる。来年は首相にとっても素晴らしい一年となるのだろうか。(政治部 桑原雄尚)
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