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先日、10人ほどの忘年食事会にでました。40代〜70代で男女比7対3、偶然全員が東京六大学のOBですが、特段の党派性も業種的な偏りもないふつうの人たちです。衆院選直後だったせいか話題はもっぱら選挙。
驚いたのは出席した全員が「投票する党がない」と不満だったということ。そして、誰一人「アベノミクスとはどういうものなのか?」を詳しく知らないということでした。
中には生まれて初めて共産党に投票したという方がいらっしゃいました。その方の選挙区では自民党、民主党、共産党しか立候補がなく、苦渋の選択だったそうです。共産党が躍進したわけがわかります。もし共産党が党名を変え、ついでに委員長をもう少しオシャレな人にしていたら、もっと大躍進したに違いない、というのがその席の共通意見でした。
経済政策ではどなたもアベノミクスをちゃんと理解してはいないとのこと。しかし、他の党にまかせてみたところで景気が良くなりそうもないから「自民党で仕方がない」というのが多数意見でした。
そのほかの集団的自衛権、特定秘密保護法、原発再稼働などは、どちらかと言えば反対傾向の方がやや多かったように筆者には受け取れました。
もちろん、忘年会に居合わせただけの、たった10人に統計的な意味などありません。しかしながら、その様子と、その後の各社の世論調査結果と大きくずれてはいないようです。
池上彰さんが参加した12月25日のテレビ東京『WBS年末SP』で日経とテレ東の世論調査結果が伝えられていました。内閣支持率は衆議院選前に比べ7ポイント上昇し、51パーセントになっていました。
しかし自民党が291議席を獲得したことについて理由を聞いたところ「安倍政権が評価されているから」という回答はわずか11パーセント。「安倍政権に対抗できる野党がないから」がなんと85パーセント。さらに、アベノミクスで今後、景気が良くなるか聞いたところ、「よくなると思わない」が53パーセントと懐疑的な見方が過半数を占めた、というのです。
まさに「ふつうの10人の忘年会」の傾向と一致しています。
具体的に考えてみましょう。今回の選挙で、「経済は良くわからない。集団的自衛権、特定秘密保護法、原発再稼働には反対だ」という少なからぬ人々が投票できる政党はあったのでしょうか。
政界には集団的自衛権、特定秘密保護法、原発再稼働に反対という姿勢の方がかなりいるはずです。でも「平和の党」のはずの公明党は結果として集団的自衛権、特定秘密保護法、原発再稼働の実現エンジンとなっています。
民主党も前原誠司などのタカ派がたくさんいて路線がわかりません。維新の党も次世代の党も、いづれもタカ派ですし、残りの党はどれも小ぶりです。要はタカではない多くの人々にとっての受け皿となる政党がなかったわけです。投票率が大きく下がったのも至極当然です。
選挙結果を受けて「野党再編」が言われています。しかし民主と維新がくっついたところで、受け皿にはなりません。それでは何も変わらないのです。
かつて自民党には後藤田正晴さんのような方がいらっしゃいました。
「日本は戦をしてはならない。日本人は戦で死んでも殺してもいけない。そのために蟻の一穴をも許さない」
と官房長官として中曽根首相をも諫めたという方です。
自民党の中にはそんな流れを汲みながら安倍首相の前に声を上げなくなってしまった人たちがいます。さらに民主党・前原誠司のようなタカ派以外の民主党の方々や、そのほか集団的自衛権、特定秘密保護法、原発再稼働に反対という政治家が集まって集団を作った時に初めて受け皿になりえます。
この集団と集団的自衛権、特定秘密保護法、原発再稼働は必要だと考える集団とが選挙で競えばきっと投票率も上がり、結果は民意を示したものになるはずです。
たんなる数合わせの野党再編など意味がありません。しかし、意味のある野党再編ができそうな空気は残念ながらまったくありません。
10人の忘年会の話に戻ります。もうひとつ驚いた事がありました。それは池上彰さんへの評価です。解説がわかりやすくとても信頼できると大絶賛だったのです。ひとりの例外もなく、です。
これならもし、池上さんが政界に打って出て一派を為したら、いっぺんに日本は変わるのかも知れません。それはそれで少し怖いような気もしますが、すでに決まっている消費税率UP先延ばしの是非を問うというお題目で選挙をやり、その結果をテコに、さほど評価もされていない政権に日本を「戦争をする国」にされてしまうのなら、いっそ池上さんに託した方がマシと考える人は多いのかもしれません。
http://blogos.com/article/102518/
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