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琉球新報
2014年12月29日
<社説>中谷防衛相発言 民主主義に反す二重基準だ
安全保障に精通しているからこその本音と受け止めるしかない。
第3次安倍内閣で防衛相に就任した中谷元氏がことし3月、県外での反対や抵抗によって沖縄の基地の分散は難しいとの認識を示していたことが分かった。
中谷氏は「分散しようと思えば九州でも分散できるが、抵抗が大きくてできない」「理解してくれる自治体があれば移転できるが『米軍反対』という所が多くて進まないことが、沖縄に(基地が)集中している現実だ」などと答えている。学生団体の取材に応じ、発言していた。
政府が沖縄に米軍普天間飛行場の代替新基地を押し付ける根拠とする「一体運用の必要性」や「県外移設による抑止力の低下」を否定する見解と言えよう。
要するに、沖縄への基地集中と民意を無視する形で進める新基地建設は、政府が説く軍事的合理性ではなく、政治的理由によるものであると言っているわけだ。基地の犠牲は沖縄に押し付けるしかないと公言しているに等しい。
反対や抵抗が大きくて移設できないという論理なら、11月の県知事選や自民党の候補者が選挙区で全員落選した衆院選で示されたように「県内移設ノー」の圧倒的な民意が息づく沖縄こそが最も基地を置けない地となるのは自明だ。
民主党政権の最後の防衛相だった森本敏氏は「軍事的には沖縄でなくてもよいが、政治的に考えると沖縄が最適」と発言していた。符節を合わせるような認識である。
そもそも航空、戦闘、補給の各部隊の一体運用の論理もほころびが生じている。政府は普天間飛行場のオスプレイを佐賀空港に暫定移駐させる計画を提起している。普天間の機能を県外移転できることを自ら示しているではないか。
中谷発言に対し、翁長雄志知事は「沖縄が受け入れないと言っても、押し付けてくる。そのような民主主義の在り方に対し、説明がない」と指摘したが、至極正当な批判である。
沖縄の強固な反対意思を押し切って基地新設を進め、県外では反発を回避して移す努力を払わない。ウチナーンチュと本土の国民の命の重さは違うのか。中谷発言は、民主主義に反する二重基準、沖縄への差別的取り扱いを露呈している。
中谷防衛相の果たすべき職責は、本土と等しく沖縄の民意を尊重し、新基地建設を断念することにある。
http://ryukyushimpo.jp/news/storyid-236588-storytopic-11.html
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