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1933年、仙台市生まれ。『トラック野郎』シリーズでも大人気を博した
菅原文太のラストインタビューをいま再び…「一国の首相がツイッターでつぶやくヒマがあったら、万の言葉で国民に語りかけるべき」
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20141219-00040795-playboyz-soci
週プレNEWS 12月19日(金)6時0分配信
映画『仁義なき戦い』シリーズなどで知られる名優、菅原文太がこの世を去った。
最期のメッセージとして菅原が遺した言葉を2回にわたって伝えた記事が週プレNEWSでも大反響(http://wpb.shueisha.co.jp/2014/12/08/40282/
http://wpb.shueisha.co.jp/2014/12/16/40645/)。
そこで熱烈なアンコールに応え、その元となった本誌昨年39号(9月17日発売)のラストインタビューを、哀悼の意をこめて全文再掲載する、最終回。
■「いいんだよ。人間は孤独で」
今はもう、この言葉しか見つからない。
ーー納得がいった!
菅原があのまま役者道を進んでいたら、間違いなくデコボコの道に足を取られ、這(は)うように膝を折っていたに違いない。
思うに、栄光の傘に隠れ、膝を折ったまま、その場所にとどまることを菅原はよしとしなかったのだ。というよりも、膝を折ったまま何も手立てを講じないのは菅原文太ではないと自身が思ったのだろう。そんな状況の時、周囲を見渡すと農業という道があった。その道には自分をさらに高めてくれる達人たちがいたということだ。
齢(よわい)80を超えて尚(なお)、その道の達人たちに教えを請うことに喜びを抱き、心の豊かさを追求している菅原文太の粋(いき)には、ひたすら頭が下がる。
その昔、広能昌三からは男の仁義を貫き通す意気を教わった。そして今、生身の菅原文太から男の潔(いさぎよ)さ、自分を高めることができるのであれば、いくつになろうとも躊躇(ちゅうちょ)せず歩いてきた道を捨て、違う道を歩む心意気を教わったような気がする。
そんな菅原の目に、若い世代はどう映っているのだろう。土とともに生きている視線の先に、何が映し出されているのだろうか。
「あれ、なんていうの? マッキントッシュのさ、あれだよ。ああ、iPhoneね。これを発明したスティーブ・ジョブズ、俺な、ヤツのことはそれなりに偉いなあと思うんだけど、その半面、余計なことしやがってと思う(笑)。
街を歩いているヤツ、特に若い連中はこぞって指を動かしているだろ。まじめな話、こんな状況でいいのかな、とは思うな。いやまあ、ああいう便利なものが発明され普及すれば、そりゃな、みんな興味を持って使うさ。だけど、若い連中が指先ひとつで世界をわかったような顔をされても困るしなぁ(笑)。ああいうもんに囚(とら)われすぎると、そのうち頭が空っぽになるんじゃないか。
俺みたいなバカでも、昔は本を読んだりして知識を得ようとしたもんだよ。ひとつの知識を得て、その上で新しい疑問が出てきたら、また本を探して知識を得て理解する。そうやって多少はまともな人間になったと思っている。でも、今の時代は頭のよい人間がスマホのせいでだんだんバカになっているんじゃないのかなぁ。
あと、ツイッターがわからない。つぶやいて何がどうなる? 驚くのは一国の首相がツイッターをやってることだよ。つぶやくヒマがあったら、もっと万の言葉で国民に語りかけるべきだろう。つぶやいて何が国民に伝わるのかなぁ。政治のトップがそんな当たり前のことがわからんようじゃダメだな。
まっ、スマホをやったりツイッターを楽しんでいる連中の言い分としては、見知らぬ誰かとつながるのが面白いとか、そんなことばっかり口にするけど、本当につながることがいいことなのか悪いことなのかわからないよ(笑)。
ましてや、ネットでつながることにより孤独から解放されるとか、自分はひとりじゃないと感じられるのが素晴らしいとか若い連中は思い込んでいるかもしれないけども、それは違うんだって。ネットやスマホでつながっていないと不安で仕方ないと反論されるかもしれんけど、それは違うんだ。
いいんだよ、人間は孤独で。
孤独になることは悪くないし、孤独は素晴らしいことなんだ。たまに不安になることもいいもんだぞ。だいたいな、孤島に一年間ひとりでいろって言っているわけじゃないし(笑)。この煩雑とした社会の中で1日か2日、まあ、1ヵ月くらい孤独でいたって死にはしないよ。
結局な、孤独を愛せたもん勝ちだと思う。
孤独でいれば、そのうち道が見えてくるもんだし。常にスマホで指を動かしていると、それが煙幕となって逆に道を見失うことにもなりかねない。あるいは、まやかしの道しか見えてこなくなってくる。それこそスマホなんか捨てて、孤独になってごらん。しばらくすると、自分の周りにこんなにも道があったんだと気づくはずだから」(了)
(取材/文・佐々木徹 撮影/熊谷貫)
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