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福島菊次郎「93歳のラストメッセージ」〜権力に刃向かい続けた写真家
ジョニーH
http://www.labornetjp.org/news/2014/1227hokoku
福島菊次郎全写真展の最終日にあたる12月27日(土)、パルテノン多摩・大ホールで 福島菊次郎講演会「93歳のラストメッセージ」と題する講演会が行われ、800人以上が集まった。
詩人のアーサービナードさんの問いかけに福島さんが答える形式の語りは、感動と笑いであっという間の3時間だった。
ビナードさんの「福島さんの写真家として行動の基本にあるものは何ですか」の質問に福島さんは「徴兵されたが馬に蹴飛ばされて(沖縄ではなく)広島の内地部隊配属になり、(原爆投下前の)7月30日に部隊ごと列車に押し込められ九州の宮崎の海岸に移送されたという、数奇な運命だった。でも『自分は銃の引き金をひいていない』『人を殺していない』ということが、そのあとの自分の報道写真家としての行動があったと思う」と答えた。
慰安婦問題について、福島さんは「細かいことを針小棒大に朝日新聞叩きをする安倍晋三らの計略に、いつまでも引っかかっていてはいけない。慰安婦制度問題にこだわりすぎると、もっと犯罪的な略奪・人殺し・性暴力の事実を隠されてしまう。戦時中前線では『略奪・強姦をやったら証拠を残さないように必ず殺せ』と上官から命令されていたのだから証拠を見つけることは難しいが、こちらの方を追及しなくてはいけない。彼らはこのことを隠そうとして、わざと慰安婦問題だけを取り上げて、私たちの目をくらませている」と述べた。
「原爆被爆者やABCCや学生運動や自衛隊等のどの写真でも、対象者たちを本当に良く撮っていますが、何かコツはありますか」という問いかけに、 福島さんは「僕は一見やさしくて人が疑わないようで、何食わぬ顔で、いつのまにか撮ってしまうんですよ」と答えた。
「よく権力者の姿を撮っていますが、どんな気持ちで撮っているのですか」という質問に福島さんは「『撮りにくいから撮る』という単純な反発心です。
ばれたらどういう仕打ちをされるか分らせるといった気持ちです。撮りたいから撮るという感覚です。僕は子供のころから生きる術を身に着けてきたから逃げ方も知っています。そして、売ろうと思って写真を撮ったことはありません」 「僕の心の中では、基本的に『権力には勝てない』という敗北感があります。悪しき権力者の伝統はしつこく生き続けて人殺しのような残虐を繰り返そうとするが、僕はそれ以上にしつこい。権力という非常に強引で残虐な現場に集中して突っ込んで『シャッターを押す』と切るという(人殺しでない)暴力をふるう。それが私の写真家としての生命力なのかもしれません」と語った。
さらに福島さんは「個人の生命には限界がありますが、悪しき権力者は孫の代に続いてさらに次の代まで続こうとします。だから、こちらもしつこく、他のカメラマンが次世代に受け継ぎ永遠の取材を続けていってほしい」と訴えた。
最後に福島さんは「多摩市に福島資料館ができるという話が持ち上がっているようですが、何年かたってそれが実現した時に私が地獄にいたら、絶対に脱走してもう一度生き返って、皆様にお礼を言いにまいります」と言って、満場から拍手喝采された。
ビナードさんは「福島さんの写真の全パネルを見終わると、悪しき歴史を作ってしまったのは悪しき権力者ではなく、あきらめて逃げ出してしまった人々の方にあることに気づきます。歴史を作っていく大きな決定権を持っているのは一部の権力者ではなく、主権である私たちであることを再確認できます。逃げ出
さずに、あきらめずに、来年も一緒に歴史を作っていきましょう」とまとめた。
【関連映像】
2013/09/14 「これから、戦前の時代がやってきます」――。92歳の反骨の報道カメラマン、日本政府は戦争に向けて準備をしていると、警鐘を鳴らす〜福島菊次郎「遺言」最終章〜講演会〜
http://iwj.co.jp/wj/open/archives/101587
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