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2015年の第二次大戦終結70周年を前に ロシアが歴史再考を提案、広島・長崎の原爆投下は「永遠の犯罪」と(ロシアの声) 日本政府も「そうだ」と、米国に言えるか
http://financegreenwatch.org/jp/?p=49051
12月 27th, 2014 Finance GreenWatch
ロシア下院議長でロシア歴史協会の代表を務めるセルゲイ・ナルィシキン氏は、第2時世界大戦戦勝70周年を目前に控え、1945年の広島長崎への原爆投下の悲劇を国際法の観点から見直す提案を行った。
ナルィシキン氏は、原爆を日本の一般の都市に投下した事実は軍事的観点からも正当化できないとし、その理由を軍事主義国日本に対する勝利を確実なものにしたのは主に、関東軍を大破したソ連軍だったからだと説明している。ナルィシキン氏は、米国の行動は相手を脅かす目的で行われたものであり、その結果犠牲となったのは数十万人の一般市民だったことを強調した。ナルィシキン氏は事実上、この事実は人類に対する犯罪と非難し、時間の経過で色あせることは無いと主張している。
ナルィシキン氏の声明には日本の注目を惹かないではいられなかった。有名な日本人ロシア専門家で青山学院大学名誉教授、現在新潟県立大学で教授として教鞭をふるう袴田茂樹氏は、次のようにコメントしている。
「私自身5年間ソ連で勉強したのでよくわかりますが、ソ連の大学や学校の教科書では広島長崎の原爆について日本人に非常に同情的な見方がなされているという気持ちを抱きました。同時に当時は冷戦時代でしたので、日本に対する同情だけでなく米国への批判が非常に強かったとも感じています。米ソが厳しい対立をしていましたので、米国批判としてもっとも重要なポイントとして広島長崎の原爆投下の問題が扱われていたと考えています。
その後ロシア時代になって広島長崎の原爆問題が特別に重要な歴史上の問題、特に米国を批判するためのひとつのテーマとしてとりあげられる、そういう雰囲気はかなり後退していたように思います。ロシア側が広島長崎の原爆問題を強く大きく取り上げ、重視するということはロシア時代には感じられませんでした。
ナルィシキン議長が今再びそれを取り上げたことには2つの意味があると思います。ひとつは最近ウクライナ問題などをきっかけとして米露の政治的な緊張関係が再び強まったということですね。それから第2にロシアは今東方シフト、またはアジア・シフトといわれている政策を展開していますが、これも欧米との対立が厳しくなったので、アジア太平洋地域との政治的経済的関係を強化しようという政策と見ているわけですが、その一環として日本との関係改善を重視するという側面、あるいは日本との経済政治関係を強化するという側面もこの東方シフトには含まれていると思います。
ナルィシキン議長の発言はその2つの要因に強く関係していると思います。冷戦時代の米国批判の雰囲気が最近強まっていることと、欧米対立を背景としたアジアシフトを強めるなかで日本との関係改善を図ること。日本がG7のなかで他の国と同調して対露政策、対露制裁にあまり強い姿勢で加わらないように一種の牽制の意味、日本との関係をロシアは重視していますよという意味合いだと思います。」
袴田氏は、日本のマスコミは残念ながらナルィシキン氏の発案を広範に報じていないと語っている。
一方でロシア科学アカデミー極東研究所日本調査センターのヴァレリー・キスタノフ所長は、ロシア政治のこの発案は十分に興味を惹くものとして、次のように語っている。
「ナルィシキン氏の声明は西側で戦勝70周年を前に第2次世界大戦の結果やその歩み、重要な事件を見直そうという強力なキャンペーンが展開されていることと関連している。ロシアは、この戦争およびナチス・ドイツ、大日本帝国に対する勝利においてソ連が果たした役割を低く評価しようとしる動きに異議を唱えている。」
ナルィシキン氏の発案に日本が同反応するかという問いに対して、キスタノフ氏は、露日関係に深刻な影響を及ぼすようなことにはならないはずだとの見方を示す一方で、日本人は広島長崎の原爆投下問題には非常に過敏な反応を示しているとして、次のように語っている。
「これだけの時間が経過し、日米関係が強化さえても、やはり日本人にとっては広島長崎は癒えない傷だ。なぜなら、野蛮な行為であり、こんなことは今まで歴史ではなかったからだ。こんなことは絶対に繰り返されてはいけない。ナルィシキン氏の声明に日本はかならず反応するだろう。その評価はおそらく前向きなものであると思う。だが実際なににこれが現れるかは、なんとも言いがたい。なぜなら日本の政府の取り巻きは米国の犯罪テーマを取り上げ、原爆によって何十万人もの人命が損なわれた歴史の責任に全く関心を持っていないからだ。日本は米国との協力路線をずいぶん前にとっていることから、日本の公式人からの反応は上げられないであろうし、この野蛮な犯罪を誰が行ったのかについては黙認路線が続行されるだろう。
もちろん米国人も心の奥底では自分の罪を感じている。だがその一方で広島長崎の市長らがどんなに頑張ったところで、米国の大統領はこの地を訪れたことはなかったし、これからもそれはないだろう。とはいえ、最近赴任したばかりのケネディー駐日米大使は広島を訪れ、慰霊祭に参列している。だが米国人は全体として、広島長崎の原爆投下は行われなければならなかった、それを後悔する必要はないと捉えている。米国人はメンタリティーとして、何をやったところで自分たちのやったことは正しいと考えており、過ちを認めることは決してない。」
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