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[大機小機]賢人支配より民主主義改善を
消費増税先送りと前後して、論壇では民主主義批判が散見される。
確かに小峰隆夫・法政大教授が18日付の本紙経済教室で論じたように、高齢化社会では若年層の声が無視されがちだ。小塩隆士・一橋大教授も、著書『効率と公平を問う』で、高齢化社会で民主主義が硬直化する危険性を指摘している。
だが民主主義批判の先にエリート支配の正当化があるとしたら、これはかなり危うい。憲法を停止して、賢人政治による財政危機の打開という議論まで出ている。
いわゆる賢人支配に期待すると歴史的には悲劇に終わる。最大の問題はエリートが賢人ではないことだ。日本の場合、20年以上に及ぶ経済停滞の間に、無数の政策的失敗が繰り返されてきた。
最近の消費増税の議論が好例だ。増税前に多くの経済学者やエコノミストは、影響はまったくないか軽微だと言っていた。彼らが7〜9月期の国内総生産(GDP)成長率を大きく外したのは予測が難しかったからだとしても、統計数字が出るたびに成長率の予測値を下方修正してきた。
増税で社会保障財源が安定・充実するから国民は安心して消費を増やし、景気はむしろ良くなるという議論すらあった。消費動向を示す各種の指数をみる限り、そういった国民は居たとしてもごく少数だろう。
一方でエコノミストの多くは消費増税が先送りされると株価が急落し、長期金利が急騰すると予想した。しかし先送り決定後に株価は下落せず長期金利は急落している。日本のクレジット・デフォルト・スワップ(CDS)保証料率は確かに一時上昇したが、直近の数字は約0.68%だ。この数値から逆算すると市場は日本が財政破綻する確率が147年に1回と見ていることになる。
若年層に発言力を与えるべきだという提案には全面的に賛成だ。だが、きちんと発言権を与えられた若年層は現在のような不公平な年金制度と、それを前提にした消費増税を支持するだろうか。
次世代のことを考えると、少子高齢化で現役世代の負担がますます重くなることを懸念せざるをえない。もし若年層がそう考えれば、年金制度の改革が可能になる。やはり民主主義は素晴らしい。必要なのは賢人支配ではなく、民主主義を改善させ、機能させることだろう。
(カトー)
[日経新聞12月25日朝刊P.17]
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