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共産党が名前を変えない理由 専門家「フツーの人が入ってくると困るから」〈週刊朝日〉
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20141224-00000001-sasahi-pol
週刊朝日 2015年1月2‐9日号より抜粋
自民党の圧勝で幕を閉じた今回の衆議院総選挙。東大教授(社会経済学)の松原隆一郎氏と放送大教授(政治学)の御厨(みくりや)貴氏の論客2人が本誌恒例「国会通信簿」を行った。
* * *
松原:恒例の通信簿にいきましょうか。まずは自民党から。
御厨:まあ、党首力はAでしょうね。
松原:異論のはさみようがないですね。ただ、経済に関しては、まだまだよくない状態。株価も乱高下を繰り返している。いまの日本経済の問題は、いわゆる金融資産などのストックばかり積み上がって、実体経済で大事なフローのお金が流れない。このフローの部分につなぐ必要があるのですが、それがうまくいっていない。
御厨:選挙では憲法改正も集団的自衛権もほとんど語られていません。だけど、選挙で勝利したことを受けて、アベノミクス以外の政策も「全権委任された」と言いかねません。そこが課題です。
松原:一方の野党は、政権に戻る準備が何もできていなかった。戦後最低の投票率も、国民からすれば、あと4年ぐらいは政権を安定させたいという気持ちの表れではないでしょうか。
御厨:政策の中身よりも、戦略が優れていたということ。そこを評価して、今回は珍しく自民はAに。続いて連立与党の公明党です。
松原:議席は増えたけど、低投票率のおかげ。山口那津男代表に人気やカリスマ性があるかというとそうでもない。街頭での主張は軽減税率ばかりだった。
御厨:自民党の集団的自衛権も含めて危ない政策に歯止めをかけていると主張するけど、必ずしも歯止めがかかっていない。
松原:安倍さんが今後、集団的自衛権や憲法改正に踏み込んだら、公明は重大な決断を迫られる。ついていくのか、連立離脱するのか。
御厨:昔の公明党には竹入義勝とか矢野絢也とか怪物のような委員長がいたけど、今は怖さがなくなったね。
松原:自公は盤石というけど、ひょっとしたらすぐに決戦が来るかもしれない。
御厨:かなり、分水嶺(ぶんすいれい)まできている感じです。今回の評価はCで。
松原:変わって野党第1党の民主党。海江田万里代表は敗北し、議席も11しか増えませんでした。
御厨:3ケタには届かないと。そこまでいけば次の展望も開けた。
松原:1月に代表選があるので、海江田さんの呪縛からようやく抜けられるけど、憲法改正、集団的自衛権でまとまれるかは疑問。
御厨:代表選は岡田克也前副総理や細野豪志元幹事長の名前が挙がっている。岡田さんはプラスアルファが全然ない。またか、という感じ。それに暗すぎる。
松原:小泉さんの郵政選挙のときに、民主党代表で大敗したイメージが強いですよね。細野さんは軽すぎて、みんなを統治していく力があるか疑問です。
御厨:相変わらずそういう人たちしか出てこないというのが民主の悲しさ。評価はD。よっぽど頑張らないと、今後は評価すらできなくなる。
松原:続いて維新。健闘して1議席減でとどまった。
御厨:「自民300議席超」という報道で、これはマズイと維新に投票した人が多かったと思う。自民はイヤ、民主にも入れたくない。ならば消去法で維新と。
松原:小笠原諸島に押しかける中国船が9月下旬から急増しました。あれは維新にもプラスだったと思います。中国にモノを言える強いリーダーが必要とされる機運があった。今回でいえば安倍さんと橋下さん。
御厨:橋下さんへの期待はそれなりにあるんだと思う。
松原:評価はBマイナス。
御厨:続いて8議席から21議席に躍進した共産党。他の野党がだらしないことと、政策が徹底していることが評価されたと思う。「消費税10%中止」「集団的自衛権の閣議決定の撤廃」。とにかくブレない。
松原:経済政策では大企業の内部留保を賃上げに回すべきだと主張していた。実際、内部留保は問題になっている。投資しないことが日本経済の足を引っ張ってますから。
御厨:9年ぶりに不破哲三前議長(84)も街頭演説に立った。うれしそうでしたよ。共産は名前さえ変えたら、もっと躍進すると進言しているんだけど、志位和夫委員長はかたくなに「変えません」だって(笑)。名前を変えてフツーの人が入ってくると困るんですよ。
松原:政策力を含めて今回はB評価です。
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