http://www.asyura2.com/14/senkyo176/msg/750.html
Tweet |
なぜ自民党は沖縄の民意を読み違えたのか? 安倍首相が辺野古移設案に絶望した日〈AERA〉
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20141222-00000011-sasahi-pol
AERA 2014年12月29日―2015年1月5日合併号より抜粋
自民党が唯一、全敗した沖縄県。辺野古移設反対の世論に負けたというが、本当にそうか。本土には伝わらない経済問題が、沖縄には横たわる。(編集部・野嶋剛)
衆院選で圧勝した翌日、上機嫌で会見した安倍晋三首相の表情が唯一、どんよりと曇った瞬間があった。沖縄県内の4小選挙区すべてで自民党候補が敗れたことを問われたときだ。
「残念な結果です」
アベノミクスの是非を問うた安倍首相だったが、沖縄での争点は、米軍普天間飛行場(宜野湾市)の名護市辺野古への移設。2014年1月の名護市長選、11月の県知事選、今回の衆院選で、「反辺野古」陣営に3連敗を喫したのだ。この結果は、普天間をめぐる一つの現実を突きつける。辺野古移設の頓挫。そして、普天間の固定化である。
●辺野古案は消え普天間を改修
「県外移設」という意見もあるだろうが、現実的な可能性はゼロに等しい。辺野古の拒否は、普天間の現状維持にしか帰着しないのは目に見えている。
基地問題を担当する日本政府幹部は、
「日米合意の辺野古移設をやめたとは誰も言えない。3年後の名護市長選まで待つしかない」
とため息をつきながら、今後の展開をシミュレートした。
「沖縄県が埋め立て承認の取り消しに出たら行政訴訟になるが、これは日本政府が勝つかもしれません。しかし、今後、基地を造るなかで土砂の搬入など細かい案件で県の許可が必要になる。しかし翁長(おなが)県政はまず協力しない。そうなると国ができる部分だけをのろのろと進めるだけ。そうしているうちに名護市長選になり、推進派が勝てば流れが変わる。その後の知事選でも推進派が勝つか、翁長雄志(たけし)知事の態度が変われば、あるいは……」
なんともか細く、終わりの見えない道である。日本はそれでいいかもしれないが、米国はそんな次元で物事を考えない。
米国は当面、静観を保ちつつ、移設はほぼ消えたという暗黙の前提に立ち、老朽化した普天間飛行場の改修などを日本政府に求め始めるだろう。
「普天間の改修は移設方針と矛盾し、固定化につながることですが、日程を示せない日本政府は拒否できない」(同幹部)
●何も変わらない閉塞感に不満
米国の知日派からも、「沖縄の人々が辺野古移設を支持しないなら、我々は再考しなければならない」(ジョセフ・ナイ元米国防次官補)という声が出始めていている。普天間移設の日米合意は1996年。18年が経過し、中国の海軍力や長距離ミサイルの脅威を在沖米軍が心配する時代になった。米国が考えるのは、もはや「普天間か辺野古」ではなく、「沖縄かグアム」の段階に移っている。
普天間を抱える沖縄2区の投票行動も、不可思議だ。辺野古移設を切望していると思いきや、移設推進派の宮崎政久氏(自民党)は、反辺野古派の照屋寛徳(てるやかんとく)氏(社民党)に3万票以上の大差で敗れた。「負担軽減」の最短の道である辺野古移設を選ばなかったのである。
なぜなのか。そこで浮かぶのが、辺野古移設の是非は本当に今回の選挙の争点だったのか、という疑問だ。
「沖縄の選挙の特徴は、基地撤去か経済発展かの二者択一に論点が矮小化してしまうこと。知事選や衆院選で宜野湾市が辺野古反対派を支持したことは、宜野湾市にとって普天間の『危険性除去』より重要なことが存在したということになります」
そう指摘するのは、沖縄大学の樋口耕太郎准教授だ。
「交付金を獲得して基地跡地を開発しても、所得は上がらない。地域共同体は解体し、労働環境は悪化。教育は劣化し、環境は破壊され、自殺は増え、沖縄らしさが失われている。選挙の結果は、何も変わらない閉塞感に不満を持つサイレントマジョリティーが反辺野古派に合流したに過ぎない。自民党の敗因は、沖縄県民のそんな民意を読み違えたことではないか」
問われているのは、沖縄そのもの。辺野古移設を安倍首相は「粛々と進める」と言うが、きっと「粛々」はあり得ない。本腰を入れて「沖縄問題」と向き合う。それが難問解決への近道かもしれない。
▲上へ ★阿修羅♪ > 政治・選挙・NHK176掲示板 次へ 前へ
スパムメールの中から見つけ出すためにメールのタイトルには必ず「阿修羅さんへ」と記述してください。
すべてのページの引用、転載、リンクを許可します。確認メールは不要です。引用元リンクを表示してください。