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プーチン大統領と安倍首相の、似て非なる点
NO BORDER
2014年12月21日(日)【大貫 康雄】
ロシアのプーチン大統領が先日、年末恒例の記者会見を行い、内外の報道陣1000人以上が詰めかけたという。
一方、我が安倍首相は各テレビ局の総選挙開票特番に相次いで中継で出席。
両者の国内メディアへの対応には似通った点があるが、それを除き両者の間には一国の政府の最高責任者として決定的な違いがある。
*)両者の共通点は、やり方は異なるが、民主主義社会では禁じ手の筈のメディア統制だ。両者とも自国メディアを自分の思うように統制し、自分に不利な報道をさせないようにしていることだ。
あくまで相対的な印象比較だが、日本の人権擁護と民主主義の事情は、ロシアに比べると比較的多くの人々が理解し、推進しようとしている。
一方のロシアは旧ソビエトから新生ロシアに移行した途端、経済が破綻し、人々が強い指導者を求める不幸な展開があって民主主義に対する反動的な不信感が広がった。
そこに旧KGBの一員プーチン大統領が登場、偶然エネルギー価格が高い時期と重なって経済は急激に回復。
ソビエト時代から自由で独立したメディアの恩恵を体験しないロシアで、プーチン大統領は経済政策の高い支持を背景に反対派拘束や自由な報道弾圧を続け、今や言論を思うまま統制、独裁をほしいままにしている。
安倍首相は戦後民主化したとは言うものの、日本では国民のためよりは自分たちの権益を優先する制度や規制が幾重にも設けられている。
また記者クラブ制度で官僚中心政治のままに、マスコミは兎角横並び報道を続け、国民に真相が中々理解できにくい状況が続いている。
安倍首相はその状況を最大限利用するかのように公然と民主主義の原則を踏み躙る。公共放送NHKの経営委員会に右翼思想の同志を送りこみ、自分の意のままになる人物をNHK会長に就けた。更に選挙報道では自民党を通し放送法を盾に全国ネットを持つ在京テレビ局に手紙を送り圧力をかけ、マトモナ選挙報道を殆ど消滅させてしまった。
*)一方で両者の決定的な違いは、プーチン大統領が逃げたりせずに世界のメディアを相手にし、如何なる質問に対してもたとえコジツケであっても答えていることだ。外国人記者の問題指摘にも動じない。
安倍首相は、自分の思うようにならない外国人ジャーナリストは極力避ける。
”日本のマスコミとの記者会見は台本に基づいて演じる歌舞伎のようだ”とNYタイムズが報じていたが、安倍首相は嘘をつきデッチアゲをしても日本のマスコミからは糾弾されないから安心している。他方、自信がないせいか、外国人記者からの筋書きの無い質問には応えられない。それを嫌がるからだ。
今回の総選挙の前、外国特派員協会が記者会見に来るよう招請しても拒否。一国の指導者として各国記者の質疑の応じるのではなく、驚くことにしり込みをし、世界に恥をさらしたが、日本のマスコミで報じられず、大多数の国民は知られないままだった。
それだけではない。開票特番で各テレビ局に中継で登場したのは良いが、不利な質問をされると途端に厭な表情を隠さず言葉を荒げ、“編集している”などと声を上げる。
友好的なテレビ局のキャスターが、女性の輝く社会云々する安倍首相に、現状はどうなっているかなど、ごくごく当たり前な質門に怒って一方的にイヤフォンを切ったりしてインタビューを終えたという。
一国の首相、というよりは甘やかされて育ったボンボンがそのまま年齢だけ重ねたような人物だ。誰がこのような人物を首相に推したのか?
今や西側では嫌われ者となったプーチン大統領は今回の記者会見で質問に答えながら3時間余り持論を展開し、一歩も引かず、少なくとも国民の前では頼りになる指導者を演出していた。他方、哀れ我が安倍首相は自分の言うことを聴く国内のマスコミを頼るだけ。
国内向けには大言壮語するが、世界に向けてはプーチン大統領のような胆力はない。
http://no-border.co.jp/archives/29944/
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