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15日、記者会見で辞任を表明する民主党の海江田万里代表=党本部(宮川浩和撮影)(写真:産経新聞)
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20141221-00000502-san-pol
産経新聞 12月21日(日)8時47分配信
「私は民主党の仲間が大好きです。一人も嫌いな人はいません」
衆院選で落選した海江田万里代表は15日、代表辞任表明の記者会見で、野党に転落した平成24年12月以降の民主党をまとめてきた2年間をこう振り返った。「党内融和」を大切にしてきた海江田氏らしい発言といえる。
民主党は、たしかに前回よりは議席を増やした。しかし、二大政党の一翼を担えるほどの勢力には全然ならなかった。しかも、消費税増税に反対していた人たちや、2年前の衆院選直前に「泥船」から逃れようとして党を去った人たちを、「数合わせ」のために復党を許し、その人たちが結構の数で当選したのだ。
たとえば、みんなの党の解党が決定すると民主党入りした山内康一、中島克仁、柏倉祐司の3氏だ。みんなの党は、公務員制度改革をもっとも推進した政党だった。このため、自治労や日教組などの官公労との関係は良くなかった。平成25年の民主党大会で来賓として挨拶した当時の浅尾慶一郎政調会長は「(労働)組合を大切にし過ぎる」と民主党を批判していた。消費税増税をめぐっても、みんなの党は当時の野田佳彦政権の方針に反対していた。普通であれば、自治労や日教組の応援をもらう民主党に入れるわけがないだろう。
「みんなの党が残っていても、民主党推薦という形で選挙戦にのぞむ話は水面下でできていた」という関係者もいるが、これでは自民党とまともな政策論争に臨めるわけがない。結局、当選したのは山梨1区から立候補した中島氏だけだった。
消費税増税に反対して民主党を離党後、生活の党に所属していた鈴木克昌、小宮山泰子両氏も、衆院解散とともに民主党復党が許された。
生活の党の小沢一郎代表は、解散前に民主党の輿石東参院副議長や岡田克也代表代行らと会談し、生活と民主との合流を打診したが合意を得られず、苦肉の策として鈴木氏らの「復党」を提案した。生き残りのためにはあらゆる手段をいとわない小沢氏らしい手法だが、2人の復党を最終的に認めたのは、小沢氏と政敵関係にあった岡田氏だった。
鈴木氏は記者会見で「目指していた野党統一がかなわず、小沢代表の了解で小沢氏を除く所属国会議員全員での民主党合流を調整した」と述べた。民主党を砂をかけるように出ていった過去の政治行動は「水に流した」ということのようだ。鈴木、小宮山両氏はともに、選挙区では敗れたものの比例代表で復活当選した。
社民党から日本未来の党、みどりの風などを渡り歩いた阿部知子衆院議員も直前に入党した。
みどりの風は、原発再稼働の方針に反対して民主党を離党した3人の女性参院議員らが結成、「原発ゼロ社会」を主張していた。阿部氏は24年3月につくられた超党派の勉強会「原発ゼロの会」を立ち上げた発起人にも名を連ねるなど筋金入りの反原発主義者で、民主党が掲げる「2030年代に稼働ゼロ」の主張とは異なる。
また、社民党の政審会長として、米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾(ぎのわん)市)の「県外」移設のため、九州への移設案をまとめたこともある。阿部氏も、比例代表で復活当選した。
11月10日の時点で、衆院が解散されれば「正面から受けて立つ」と言い切ったのは、ほかならぬ海江田氏だ。しかし、安倍晋三首相が本当に衆院解散を決断するとあわてふためき、候補者の数を増やすため、政策の対立などを無視して公認を乱発した。皮肉なことに、「新参者」は多くが比例代表で復活当選し、2年間民主党で我慢してきた候補は、比例代表の枠からもはじき出されたことになる。落選した候補者の海江田執行部に対する怨嗟(えんさ)の声は決して少なくない。
海江田氏も、比例東京ブロックで菅直人元首相と最後の枠を争う形になり、定数475の衆院選の「475番目の議席」は菅氏に取られた。「野合」に突き進んだ民主党に対しても、復党を許すような海江田氏に対しても、有権者は「NO」を突きつけたといえるだろう。
ちなみに、海江田氏は15日の記者会見でこうも述べた。
「民主党としての団結に私は2年間、かなり心を砕いてきた。どこの政党と一緒になるということで、民主党が割れてしまうことは悲しい。そういうことがないようにしてほしい」
来年1月18日に実施される代表選は、海江田氏が進めようとした党再建路線か、維新の党などとの再編を志向する野党再編路線との戦いともいわれている。そこには、「マニフェスト(政権公約)」をもとに政策論争すると言いはばかっていた面影はない。(政治部 楠城泰介)
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