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日本の長期安定政権は、中日関係の発展にプラス
人民網日本語版 2014年12月19日09:39
今月14日に行われた第47回衆議院議員総選挙において、自民党と公明党の連立政権は圧倒的多数の3分2の議席を獲得する大勝利を収めた。内閣の顔ぶれが基本的に変わらない状況の中、第3次安倍内閣が間もなく発足する。福井県立大学名誉教授、日中科学技術文化センター理事長の凌星光氏は、このほどインタビューに応じ、「今回の選挙は長期政権を目指す安倍晋三の『私利私欲』」によって実施された。ただ、日本が長期安定政権を確立することは、ある程度中日関係の発展にプラスとなる」という見方を示した。人民網が伝えた。
今回の衆議院選挙の結果を受けて、凌星光氏は次のように指摘した。
■日本では極右主義は受け入れらない
○戦後最低の投票率
今回の選挙は必要性のない選挙ではあったが、注目に値する問題も浮き彫りになった。まず挙げられるのは、投票率が引き続き低下傾向を示し、今回の選挙では、戦後最低の投票率となったことだ。総務省の統計によると、現在日本の投票権を持つ人口は、1億400万人。そのうち、今回の選挙に参加したのは5474万3097人、投票率は52.66%となり、2012年総選挙の最低記録を更新した。各都道府県の状況を見ると、投票率が最も低かったのは青森県で46.83%だった。
○投票率の低下は日本国民の不満の表れ
表面的には、日本国民とりわけ日本の若者の政治への関心度の低さが投票率の低下をもたらしていると見られるが、実際には、投票率の低下は日本国民の政治や日本社会の現状への不満を反映している。この現象には警戒が必要だ。国民の不満の感情が積み重なれば、ナショナリズムを助長し、国家を「右翼化」させる可能性があるからだ。当然積極的に政府の改革を進め、よりよい方向に発展する可能性もある。
○左翼勢力の台頭
今回の選挙では左翼勢力と右翼勢力の議席の増減に変化があった。投票の結果を見ると、左翼政党の社民党が前回と同じく2議席を確保したほか、共産党の議席が倍増し、選挙前の8議席から21議席へと大きく躍進した。日本共産党が獲得した議席は今でも非常に多いとは言えないが、20議席を超えると、国会で単独での議案提案が可能となり、他の野党と連合し、与党に対してある程度の牽制を加えることも可能となる。一方、右翼政党を見ると、極右勢力の次世代の党は選挙で惨敗し、19議席から2議席にまで議席を減らした。中心人物である石原慎太郎氏は選挙で落選し、政界を引退することを発表した。極右主義は日本では受け入れられないことを示している。
○沖縄で全敗した自民党
このほか、自民党が沖縄の小選挙区で全敗したことも今回の選挙の注目点となった。選挙中、日本各地で優勢だった自民党だが、沖縄では惨敗となり、共産党、社民党などの野党が計4つの小選挙区で勝利を収めた。これは、沖縄と日本本土との矛盾が深く大きいことを示している。沖縄の住民は、与党の米軍基地の移転問題への態度に反発を示しており、将来日米関係にも不安要素として影響を与えるだろう。
■長期安定政権は中日関係の発展にプラスとなる
○安倍政権長期化の変数は、経済と外交面
安倍政権長期化の変数となるのは、経済と外交だ。日本経済は目下さらに踏み込んだ改革を実施しないと、改善されない状況にあるが、実際の改革の効果は非常に緩慢だ。安倍政権は消費税をさらに10%まで引き上げる計画だが、その頃の経済状況が良くなっていないと、国民の生活の負担はさらに大きくなる。『アベノミクス』に内包される「矛盾」は遅かれ早かれ露呈するだろう。外交面では、安倍政権が実施する「中国包囲網」の外交政策の効果は限定的と言える。もし日本と中韓の関係がより悪化あるいは長期的に改善されない場合、安倍政権にとってマイナスの影響がもたらされるだろう。
○日本政権の長期安定化が中日関係にプラスに働く
安倍政権の選挙戦略は運用上においては成功したと認めざるを得ない。安倍政権が長期政権となる可能性は極めて高い。もし安倍政権の長期化が実現すれば、中日関係がどのように発展していくかが世論の焦点となるが、感情的には大部分の中国人が安倍政権の長期政権化を快く思わないだろうが、実際は誰が首相になろうと、日本が長期安定した政権を確立することが中日関係の発展にプラスとなる。近年、日本政権が短命に終わり、政権が頻繁に変わったことが、日本が効果的な戦略を取れない状況につながった。政治家たちも選挙のため、民族的感情を挑発したり、外交問題をかき回したりと、理性に欠けた、短絡的な政策を取っていた。
○経済面での圧力が外交に影響を与える
日本経済の長期的な停滞、国民総生産(GNP)で中国に追い越されたことから、日本社会には深い喪失感が見られる。このような状況の中、安倍首相が打ち出した「美しい日本を取り戻す」のスローガンは、日本の侵略の歴史をぼかし、日本の戦後の発展や日本国民の民族的アイデンティティを強めさせることになり、これによって自民党は票の獲得に成功した。安倍政権の長期化が実現すれば、選挙における圧力は減るが、経済面での圧力はさらに増す。もし歴史問題で中韓を刺激し、外交問題で強硬政策を取り続ければ、日本経済にとっては弊害かつ不利にしか働かない。同時に国内や米国からの圧力も受けることになる。したがって、安倍政権が長期化すれば、日本の態度は軟化し、靖国神社に参拝する可能性も比較的低くなる。
○憲法改正の可能性
「憲法改正については、自民党と公明党が衆議院の議席の3分2以上を獲得したものの、公明党はこの問題では自民党と異なる立場を表明している。憲法改正には、国民投票において賛成の投票の数が投票総数の2分の1を超えなければならない。そのため、安倍首相の任期内に憲法9条を改正することは不可能だろう。その代わりに、憲法改正には新たな条件を創るなど、それに関わる法令を改正するはずだ。
■中日関係が改善される可能性は40%
第3次安倍政権が発足すれば、中日関係の向かう先は3つしかない。改善・現状維持・悪化だ。3つの方向の確立を具体的な数字で示すなら、改善の可能性は40%、現状維持の可能性は50%、悪化の可能性は10%。このうち、関係改善の可能性は高まっている。
○中日関係が改善される場合
中日関係の改善とは、両国それぞれが異なる解釈をしている可能性はあるが、両国政府が日中関係の改善について最近まとめた「4つの原則的共通認識」を守る状態を指す。安倍首相本人が選んだ衆議院総選挙の自民党の主な候補者に中国を刺激するような言論をする人がいなかったことや、中日関係が選挙の焦点でなかったことなどを含め、日本の民意は中日関係の改善を希望していることを示している。中日関係の改善は、今後おそらく二つの異なる局面で現れるだろう。一つは、両国の上層部が接触を重ね、国際会議などで交流が持たれること。もう一つは首脳同士が相手国を公式訪問することだ。ここまでなれば、両国の関係は正常に回復したと言えるだろう。
○中日関係が現状維持の場合
いわゆる現状維持とは、すなわち両国が引き続き領土主権など原則的な問題での膠着状態が続き、上層部の会談が困難な状況を指す。このような状況は恐らく1年、あるいは数年間続くかもしれないが、10年を超えることはないだろう。なぜなら、中国の国力の発展と日本経済の不況から見て、日本が長期的に中国と対立し続けることは難しいからだ。もしこのような状況が現れた場合、中日両国の下級政府間の往来を維持すると同時に、経済界や民間交流を継続し、両国関係がさらに悪化することを避けるようにするべきだろう。
○中日関係が悪化する場合
もし安倍政権が引き続き外交安全保障政策や対中国包囲網の政策を取り続けたり、戦後の国際秩序に挑戦しているという国際社会の心配の声を無視して、主権問題で強硬政策を実施した場合、中日関係はさらに悪化するだろう。しかし、この可能性はあまり大きくないと思われる。(編集MZ)
「人民網日本語版」2014年12月19日
http://www.japanese.peopledaily.jp/n/2014/1219/c94474-8825152.html
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