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2014年12月18日
古村治彦です。
2014年12月14日の総選挙が終わり、政治の世界は今のところ静かです。平均株価が下落し、円高に振れていますが、これは選挙期間中の市場が「選挙相場」であったことが推察されます。
選挙直後、安倍晋三自由民主党総裁は以下のように発言しました。まずは、下に貼り付けた新聞記事をお読みください。
(新聞記事転載貼り付けはじめ)
●「安倍首相:憲法改正に意欲 集団的自衛権などは理解得た」
毎日新聞 2014年12月15日 20時20分(最終更新 12月17日 07時54分)
http://mainichi.jp/select/news/20141216k0000m010056000c.html
http://mainichi.jp/select/news/20141216k0000m010056000c2.html
安倍晋三首相(自民党総裁)は15日、衆院選を受け、自民党本部で記者会見した。自民、公明両党で憲法改正の発議に必要な3分の2(317議席)以上を確保したことを踏まえ、「最も重要なことは国民投票で過半数の支持を得なければならない。国民の理解と支持を深め、広げていくために、自民党総裁として努力したい」と述べ、憲法改正に重ねて意欲を示した。
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首相は7月に閣議決定した集団的自衛権の行使容認を含む安全保障法制の整備について「しっかり公約にも明記し、街頭でも必要性を訴えた」と語り、有権者の理解を得られたとの認識を強調。「支持をいただいたわけだから、実行していくのは政権としての使命だ」と述べ、来年の通常国会で関連法案の成立を期す考えを強調した。
また、衆院解散・総選挙を振り返り、「(解散)当初はさまざまな批判があり、大変、厳しい選挙戦になるとの覚悟で戦い抜いた」と語った。自民党が291議席、与党で326議席を得た結果については、「引き続き安定した政治を進めよと、国民が大きな期待を寄せてくれた」と歓迎。一方で「数におごり、謙虚さを忘れてしまったら支持は一瞬で失われる。緊張感を持って政権運営に取り組みたい」と語った。
また経済政策では、16日に労働界、経済界の代表を招いた「政労使会議」を開き、引き続き賃上げを要請する考えを明らかにした。「アベノミクスを前進させよとの声をいただいた。三本の矢の経済政策をさらに強く大胆に実施する」とも語り、規制改革を柱とする成長戦略の実現や、経済対策の取りまとめに全力を挙げる考えを示した。
世論に反対論の強い原発再稼働を巡っては、「徹底的な省エネ、再生エネルギーの導入で原発依存度を低減させていく方針に変わりはない」と強調。そのうえで「安全性を確認した原発については、地元の理解を得つつ再稼働を進めていく」との方針を改めて示し、国民の理解を求めた。
衆院選で与党が堅調を維持する中、沖縄県の4小選挙区で自民党候補が全敗したことについては「大変残念な結果で、真摯(しんし)に受け止めたい」と発言。その上で米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の移設問題について「固定化は断固としてあってはならない」と強調し、日米合意通りの名護市辺野古への移設が「唯一の解決策」として引き続き作業を推進する考えを示した。
首相は会見に先立つ党役員会で、谷垣禎一幹事長らに対して続投を指示。閣僚についても全員を再任する意向を固めた。会見では「大詰めの予算編成や経済対策の取りまとめを考えた時に、あまり時間的な余裕はない」と述べ、政策遂行を優先する考えを示した。【影山哲也】
(新聞記事転載貼り付け終わり)
安倍晋三首相は、たしか衆議院を解散するときに、「アベノミクスの是非」「消費税増税の是非」を問うと言っていました。海外の新聞では、「今回の選挙は、アベノミクスに対する国民投票(referendum)だ」と書いているところもありました。実際、選挙期間中、自民党は、ひたすら経済のことを訴えていました。しかし、選挙が終わってみたら、ほとんど言及してこなかった「集団的自衛権」や「憲法改正」について、しれっと言い出したのです。
私は、安倍晋三首相のこの卑怯卑劣な憲法改正に向けた動きは大変危険であると考えます。安倍氏は民主政治体制下の政治家であるにもかかわらず、憲法を殺そうとしています。それは、2012年に自民党が発表した「憲法改正草案」に明らかです。この草案については、以下に挙げたいくつかの著作を読んでいただきたいのですが、自民党の草案の一番の問題点は、「立憲主義の否定」です。この問題については、以下の方々がそれぞれ指摘しています。
弁護士で、司法試験受験のための予備校を主宰している伊藤真氏は、小林節氏との共著『自民党憲法改正草案にダメ出しを食らわす!』(合同出版、2013年)の中で、次のように述べています。「憲法は、そこに守るべき価値を定めて国家権力に守らせ、それにより個人の尊重という憲法の究極の価値を実現するための装置です。これが立憲主義です。現行憲法(引用者註:日本国憲法)は、『守るべき価値』として人権尊重主義、平和主義、国民主権主義を書き留めています」(133ページ)。
慶応義塾大学名誉教授の小林節氏は『「憲法」改正と改悪』(時事通信社、2012年)の中で、次のように述べています。「民法、刑法といった法律が、国家が国民を規律する法であるのに対して、憲法は、唯一、向きが違うものだ。つまり、憲法は国家権力を統制し、国民の人権を守り、国民の幸福を支える規範である。規範が向けられた方向はあくまで国家権力者であって、国民には向いていない」(5ページ)。
現在の東京都知事である舛添要一氏は『憲法改正のオモテとウラ』(講談社現代新書、2014年)の中で次のように書いています。「憲法とは、国家権力から個人の基本的人権を守るために、主権者である国民が制定するものである。近代立憲主義憲法は、個人の権利・自由を確保するために国家権力を制限することを目的とする。『人の支配』(国家権力の支配)ではなく、『法の支配』である。つまり、法によって権力を拘束するのである。(中略)『第二次草案』をまとめたと言われている自民党議員は東大法学部の湿疹であるが、母校の憲法の授業で立憲主義について教わったことがないと言ったという。それを聞いたら、憲法講義の冒頭に立憲主義を教えたはずの故芦部信喜教授が、何と言うであろうか」(3−4ページ)。
舛添氏は武士の情けで名前を出していませんが、立憲主義を知らないと堂々と言い放った、恥ずかしい議員の名前は、礒崎陽輔氏です。「礒崎陽輔参議院議員 立憲主義」で検索すると出てくる話です(またはこのアドレスを参照してみてください→http://togetter.com/li/311536?page=1)。「立憲主義という意味不明な言葉」と書く議員が、自由民主党憲法改正推進本部起草委員会の委員兼事務局長にして、安倍晋三総理大臣の補佐官である現状は、国民の一人として、冷水を浴びせられたかのような、「うすら寒い、ヒヤッとした」感覚を持ってしまいます。そして、官僚養成機関である東京大学法学部では、憲法についてきちんと教えられていないのだろうという推測が成り立ちます。「憲法なんか勉強したって意味がない。俺たちが何でも好きにできるんだからな」と明治時代以来ずっとやって来たんでしょう。試験問題を作るのも東大法学部の先生、試験を受けるのも東大法学部の学生たち、試験に受かるのも東大法学部の学生たち、これのおかしさが分からない人は、「日本の試験地獄(examination hell)」で脱落したと劣等感を植え付けられた人でしょう。
話がそれてしまいましたが、自民党が立憲主義を否定するのなら、それに対抗するには、立憲主義を掲げて結集することです。私は、2016年の参議院議員選挙まで、この立憲主義が重要になると考えます。日本の国の形をどうするのか、簡単な護憲や改憲では済まない問題だと思います。
私は、野党勢力で自民党と対抗するために、それぞれが「解党的」出直しをし、立憲主義を軸にまとまり、「立憲民主党」「立憲自由党」の設立まで進むことを願っています。「立憲」とつくと、古臭い感じがするかもしれませんが(立憲政友会とか立憲民政党とか歴史の時間で習いましたからね)、今こそこの言葉が重要なのだと考えます。
(終わり)
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