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田原総一朗:まんまと乗せられた野党とメディア、安倍首相の本当の狙いは何か
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20141217-00000002-fukkou-bus_all
nikkei BPnet 12月17日(水)23時57分配信
今回の衆院選は、野党もマスメディアも、まんまと安倍自民党の戦略にしてやられたといった感じだ。
■「アベノミクスの是非を問う」で乗せられた
安倍晋三首相は解散・総選挙の理由として消費再増税の延期を挙げた。2015年10月から消費税率を10%へ引き上げる予定だったが、今年7〜9月期の国民総生産(GDP)速報値が年率換算で前期比マイナス1.6%と予想外に悪かったからだ(その後、改定値でマイナス1.9%に下方修正)。
経済が腰折れしており、今年4月に消費税率を8%へ引き上げたことが大きく影響していると判断し、安倍首相は消費再増税を18カ月先延ばしにすることを表明した。そして、消費再増税の延期はとても重大なことであるから「国民に信を問う」として解散・総選挙に踏み切ったのである。
これに乗せられた野党とマスメディアは、選挙の主な争点は経済問題であると捉え、「アベノミクスの是非を問う」と位置づけた。だが、野党はアベノミクスを批判するものの、対案を出せない。
その結果、自民党291議席、公明は35議席、あわせて326議席となり、定数の3分の2を超える与党の圧勝に終わった。
■本音は「戦後レジームからの脱却」
安倍首相の解散・総選挙の狙いは、実は経済問題ではなかった。今後4年間、政権の座にいることを確保したかったのである。
与党が3分の2を超える議席を獲得したことから、来年9月の自民党総裁選では早くも安倍さんの再選を確実視する声もあり、このままいけば首相を続投することになる。
では安倍首相にとって、なぜ今後4年間、政権の座にいる必要があるのか。それは、第1次政権の所信表明演説(2007年9月)で明言した「戦後レジームからの脱却」を実現したいからだ。
安倍首相は第2次政権になってから「戦後レジームからの脱却」を口にするのはできるだけ控えてきた。このフレーズには国民に少なからず「危ない」と思わせる部分があるからで、代わりにアベノミクスによる日本経済再生についてもっぱら言及してきたのだ。
しかし、本音は「戦後レジームからの脱却」なのである。
安倍首相が考えている「戦後レジーム」、つまり戦後体制を形づくってきた柱は4本ある。これについては前回の本コラムで書いたが、私は今こそこの問題が重要だと思うので、もう一度考えてみたい。
■「東京裁判史観」からの脱却
一つは極東国際軍事裁判(東京裁判)である。いわゆる「東京裁判史観」というものから脱却したいのだ。東京裁判では、日本の昭和の戦争は侵略戦争であり、A級戦犯25人が有罪となり、そのうち7人が死刑判決を受け絞首刑に処された。
日本の昭和の戦争が侵略戦争ならば、米国が戦ったベトナム戦争やイラク戦争はどうなのか。旧ソ連が第二次世界大戦でポーランドなどの国に侵攻したのはどうなのか。いずれも侵略戦争なのに米国も旧ソ連も罰せられていない。この点を念頭に置いているのではないか。
戦前戦中の日本の行為がすべて「悪」とする米国占領政策によって植えつけられた東京裁判史観なるものを、安倍首相はくつがえしたいのであろう。
そして、それは靖国参拝問題へとつながる。東京裁判史観をくつがえさないとA級戦犯が合祀されている靖国神社には参拝しにくい。安倍首相は靖国参拝を正当化するために東京裁判史観をくつがえしたいと考えているのだろう。
■日本弱体化のための憲法を改正、対米従属からの脱却
二つ目は憲法改正だ。現在の日本国憲法は、連合国軍総司令部(GHQ)の占領下で米国に押し付けられた、いわば日本弱体化のための憲法だとの捉え方がある。日本を民主主義の国にしようと考え、国民主権、言論の自由、基本的人権などを認めた点はすばらしい内容である。
しかし、憲法第9条によって日本は弱体化されたとされ、戦後の自民党は自分たちの手でもう一度つくり直したいと考え、憲法改正を主張してきた。現実には自民党は憲法をうまく使いこなしてきたのだが、今後はその方針を変えたいのである。
三つ目は対米従属からの脱却だ。日米安保条約では、米国は日本に危機が訪れたときに助けてくれるが、米国が危機のとき日本は手助けすることはできない。いわゆる片務条約である。片務条約であるために日本の外交はすべて米国に従う。これが対米従属だ。
安倍首相は日米関係をもう少し対等に近い形に持っていきたい。それには日本の自立が必要であり、そのきっかけの一つが集団的自衛権であろう。来年以降の国会で関連法案が審議されることになる。
■第二の関門は2016年7月の参院選
四つ目の柱は教育改革である。国民の個人としての権利や自由は重視されているが、国や公共、家族に対する「義務」や「責任」が弱いと考えている。そこで教育基本法の改正や道徳の教科化を行うことがすでに始まっている。
安倍首相はこれら4本の柱について今後4年間で改革を実現したいと考えている。しかし、まだおおっぴらには発言していない。
2016年7月に参院選がある。そこでもし与党が3分の2の議席を獲得すれば、憲法改正が具体化してくる。今回の衆院選での3分の2獲得を第一の関門とすれば、次の参院選は第二の関門となる。
その第二の関門を突破するまでは、「戦後レジームからの脱却」はあまり大きな声で言うわけにはいかない。それまではなるべくそっとしておいて、日本経済再生を訴えていくだろう。
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