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安倍の狙い―やっぱり「白紙委任」だった
HUNTER 2014年12月17日 09:55
ペテンもここまで来れば詐欺と呼んで差し支えあるまい。15日、総選挙の開票結果を受けて会見に臨んだ安倍晋三首相が、有権者の信任を得たとして憲法改正や原発再稼働を進める意向を示した。
選挙中、アベノミクスの是非を問う選挙だと主張し、改憲や集団的自衛権、原発再稼働にほとんど触れなかった安倍が与党大勝で本性を剥き出しにした形。政治不信の原因は、希代の独裁者による詐欺的政治手法にある。
大勝を受けて会見
14日に投開票が行われた衆議院議員選挙。公示前から4議席減らしたとはいえ、自民党は291議席を獲得し、政権基盤を強化した。争点隠しに成功した安倍首相だが、謙虚な姿勢を装いながら、早くも強権ぶりを発揮しはじめている。
15日、党本部で記者会見に臨んだ安倍は、今回の選挙について談話を発表。経済重視の考えを強調している。その冒頭部分はこうだ。
今回の総選挙は、アベノミクスを成功させるため、来年の消費税2%さらなる引き上げを1年半延期するという税制上の大きな変更について国民に信を問う解散でありました。いわば「アベノミクス解散」であったと思います。
中略
他方で、今後より一層厳しい目線が私たちに対して注がれる。そのことをすべての自民党議員が意識をしなければなりません。私たちが、数におごり、そして謙虚さを忘れてしまったら、国民の支持は一瞬にして失われる。政権運営にあたっては、このような緊張感を持って取り組んでまいりたいと考えています。
中略
15年苦しんだデフレからの脱却を確かなものとするため、消費税の引き上げを延期する。同時に景気判断条項を削除し、平成29年4月から消費税を10%へと引き上げる判断が解散のきっかけでした。同時にその大前提として、日本経済を、国民生活をどのようにして豊かにしていくのか、経済政策のかじ取りが今回の選挙において最大の論点・争点になったと言えると思います。そして昨日、「アベノミクスをさらに前進せよ」という声を国民の皆さまからいただくことができました。三本の矢の経済政策をさらに強く大胆に実施してまいります。
中略
他方で、今後より一層厳しい目線が私たちに対して注がれる。そのことをすべての自民党議員が意識をしなければなりません。私たちが、数におごり、そして謙虚さを忘れてしまったら、国民の支持は一瞬にして失われる。政権運営にあたっては、このような緊張感を持って取り組んでまいりたいと考えています。
中略
15年苦しんだデフレからの脱却を確かなものとするため、消費税の引き上げを延期する。同時に景気判断条項を削除し、平成29年4月から消費税を10%へと引き上げる判断が解散のきっかけでした。同時にその大前提として、日本経済を、国民生活をどのようにして豊かにしていくのか、経済政策のかじ取りが今回の選挙において最大の論点・争点になったと言えると思います。そして昨日、「アベノミクスをさらに前進せよ」という声を国民の皆さまからいただくことができました。三本の矢の経済政策をさらに強く大胆に実施してまいります。
安倍自ら、「アベノミクス解散」であり、「経済政策のかじ取りが今回の選挙において最大の論点・争点」だったと明言している。その上で、「謙虚さを忘れてしまったら、国民の支持は一瞬にして失われる」とも語っている。たしかに、ここまでは選挙戦を通じて安倍が訴えた内容に合致しており、文句を言う筋合いではない。しかし、このあとの談話の中で安倍は、一番やりたいことをサラリと表現する。
経済だけではありません。東日本大震災からの復興も、また教育の再生についても、あるいは外交・安全保障の立て直しも、まだ道半ばであります。しかし、「この道しかない」。選挙戦を通じて、こう訴えてまいりました。今回国民の皆様からいただいたこの力強いご支援を胸に刻み、私は国民の皆様とともにこの道をぶれることなくしっかりとまっすぐに進んでまいる考えです。(後略)
安倍が言う「外交・安全保障の立て直し」とは、集団的自衛権の行使容認でもわかる通り、日本を“戦争のできる国”にすることだ。悲願とする憲法改正は、その障壁を取り除くことであって、安倍の最終目標ではない。この政治家の特徴でもあるが、きれいごとを並べながら、チラリと本音を漏らす。後々への伏線である。記者団とのやりとりでは、そのことがはっきりと出てくる。
産経との猿芝居―増えた争点
産経新聞と首相の猿芝居だと見たが、同紙記者はこう聞いた。
――アベノミクスの他、集団的自衛権の行使容認や憲法改正、原発の再稼働も争点になりました。この選挙結果を受けて、来年の通常国会に提出する安全保障法制の整備に向けた関連法案は、どのように審議を進めていくお考えでしょうか。
また、憲法改正についてどのような取り組みをしたいと考えておられるかということと、最後に原発再稼働についもお考えを改めてお聞かせください。
安倍が会見冒頭で述べたように、残念ながら今回の総選挙は「アベノミクス解散」。集団的自衛権の行使容認や憲法改正、原発の再稼働は、争点だったとは言えない。与党の狙いが、経済以外の争点を隠すことだったことは明らかだ。産経の記者は、自民大勝を受けて、安倍に白紙委任状を持たせるためのものだった。案の定、産経のやらせ質問に対し、安倍は次のように答えている。
アベノミクス解散でもありましたが、7月1日の閣議決定を踏まえての選挙でもありました。このことは、公約にも明記しています。また、街頭演説においても数多くのテレビの討論会においても、その必要性、日本の国土、領空を守っていく、国民の命と安全な国民の暮らしを守っていくための法整備の必要性、閣議決定を基にした法整備の必要性をですね、集団的自衛権の一部容認を含めた閣議決定に基ずく法整備、これを来年の通常国会で行っていく。これを訴えて参りました。このことについても、ご支持をいただいたわけでございまして、当然、約束したことを実行していく、これは政権政党としての使命であろうと思います。
このあと安倍は、憲法改正や原発再稼働も進める意向を示している。まさにペテン。詐欺と言っても過言であるまい。安倍の街頭演説やテレビ討論での話を、どれほどの国民が聞いたというのか?安倍が選挙を通じて訴えたのは、アベノミクスの推進であって、集団的自衛権の行使容認や憲法改正、原発の再稼働ではあるまい。会見冒頭、自分でもそう断言している。だが安倍は、集団的自衛権の行使容認について「ご支持をいただいた」と言う。意図的に隠した別の課題を、「争点」だったとするのは強弁に過ぎまい。終わった途端に争点をすり替える姿勢に、驚いた有権者は少なくないはずだ。
政治不信を招いてきた原因の一つが、政治家の二枚舌にあることは言うまでもない。言行不一致、嘘、ごまかし……。安倍の政治手法は、まさにこの極致。「美しい国」だの「戦後レジームからの脱却」などと訳のわからない言葉を並べ立て、戦争への道を切り拓いてきたのが現実だ。今回の総選挙で見せた経済重視の姿勢も、安倍にとっては隠れ蓑でしかない。アベノミクス選挙と言いながら、じつは白紙委任を取り付けることが、初めからの狙いだったのである。手を貸したのが産経、読売の御用新聞だったことは、言うまでもない。政治不信は高まるばかりだ。
http://hunter-investigate.jp/news/2014/12/15-1501801.html
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