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衆院選で自公政権が大勝した14日夜。安倍晋三首相は、自民党本部からテレビ各局の報道番組にはしご出演した。
日本テレビで、村尾信尚キャスターから「アベノミクスでも実質賃金は減っている」などと問われると、色をなして反論した。村尾氏がさらに質問しようとすると、イヤホンを外して一方的に話し続けた。
「私たちの政策によって雇用をつくり、仕事の場を守っている。村尾さんのように批判しているだけでは何も変わらない」
しゃべり終わるとイヤホンをつけ直したが、「ちょっと音がうるさい」と再び外した。生中継はそのまま時間切れとなった。
安倍政権は、テレビや新聞の機能である要約や論評に鋭く目を光らせる。
公示前、自民党は選挙報道の「公平中立」を求める文書をNHKと在京キー局に送った。
1日、日本記者クラブの会見で毎日新聞の倉重篤郎専門編集委員が「これは過去になかった話で、外国でも聞かない。政権政党が圧力とも取られることをするべきなのか」と問うと、首相は切り返した。
「米国のテレビにはフェアネス・ドクトリン(公平原則)はないが、日本には(「不偏不党」を明記した)放送法があるから米国とは全然違う。公平公正にやれば全然問題はない」
既存メディアへの警戒心の高さと対照的なのが、ネットメディアへの接近だ。
14日、首相はテレビ各局の中継を終えると、動画サイト「ニコニコ動画」に出演。「ニコニコユーザーの声はまさに直接私に響いてくる。そういう声にしっかりと私も耳を傾けていきたい」と笑顔を見せた。
フェイスブック(FB)での発信も積極的だ。公示前、NPO代表の大学生が小学生を称し「どうして解散するんですか」というウェブサイトを立ち上げると、首相はFBで、「最も卑劣な行為だ」と非難した。日本記者クラブでの会見で、FBでの発信について読売新聞の橋本五郎特別編集委員が「一国の首相がやることなのか」と疑問を呈したが、首相は「時代の変化だ」とかわした。
ネットを「生の声を市井に届ける場」と位置づける首相は、一般から批判や賛同を直接受ける点を強調する。ただ、ネットは、記者やキャスターが質問をぶつける取材とは異質なものだ。衆院選の大勝を受け、首相の一強体制が進むなか、指摘や批判をどう受け止めていくかが、一層重要になる。
■演説の半数超、安保触れず
発信の方法だけではない。首相が発した「言葉」のみならず、逆に語らなかったことからも政権の性格がうかがえる。
14日のテレビ中継。テレビ東京で、ジャーナリストの池上彰氏が「今回の選挙でアベノミクスはずいぶん訴えたが、集団的自衛権の憲法解釈をあまりおっしゃらなかった」と指摘。すると首相は「そんなことはありません。街頭演説は限られている時間の中でも、私は7〜8割は安全保障について話をしているはずですよ」と即座に反論した。
だが、首相の発言は正確ではない。
2日の公示後、首相は全国で74回の演説をこなした。朝日新聞の取材では、安全保障政策に触れたのは31回で、全体の半分に満たない=表。この31回を詳しくみると、「集団的自衛権」という言葉を使ったのは13回。選挙戦後半の5日間は一度も使っておらず、代わりに「切れ目のない安全保障法制を来年の通常国会で進める」という言い回しが目立つようになった。
連立相手の公明党候補の応援で街頭演説に8回立ったが、安保は語らなかった。在日米軍基地の4分の3を抱える沖縄県には、入ることすらなかった。
首相の悲願であるはずの憲法改正にも、街頭では一度も触れなかった。第1次政権時の2007年参院選で「国民の力で新しい憲法をつくっていく」と踏み込んだ姿とは対照的だ。
原発をめぐる発言も少なかった。再稼働を控える九州電力川内(せんだい)原発の地元、鹿児島県薩摩川内市では「低廉で安定的なエネルギー供給は国民生活と雇用を守っていくために必要」と語ったが、「原発」の表現は避けた。選挙区内に東京電力柏崎刈羽原発のある新潟県柏崎市や九電玄海原発のある佐賀県小城市でも、エネルギーに触れなかった。
大勝翌日の15日。首相は再び自民党本部で記者会見した。安保法制の整備には「ご支持をいただいた」、原発も「地元の理解を得つつ再稼働を進める」と明言した。「全ての公約が信認を得たと思うか」と問われると、こう言った。
「我々は政権公約を示している。政権を取った以上、中身について進めていく責任がある」
(冨名腰隆、笹川翔平)
http://digital.asahi.com/articles/DA3S11510804.html
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