http://www.asyura2.com/14/senkyo176/msg/458.html
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※ 参照投稿
「内閣不信任案可決を経ない首相の衆議院解散は憲法違反という理由」
http://www.asyura2.com/14/senkyo174/msg/448.html
「国民の理解も得られず憲法違反の不必要な解散を行ってまで政権の4年間延命を図ろうとする安倍首相が隠したほんとうの目的」
http://www.asyura2.com/14/senkyo174/msg/835.html
「どうあがいても敗北が必至の野党は、議席確保でじたばたするのではなく将来を見据えた政策議論と個別の闘いに徹すべし」
http://www.asyura2.com/14/senkyo174/msg/709.html
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早すぎた解散と戦略なき野党が招いた低投票率[日経新聞]
編集委員 清水真人
2014/12/15 7:00
政権選択なき衆院選が終わった。首相の安倍晋三が自公連立を大勝に導いた半面、投票率は戦後最低で、政治不信の火種を残す。早すぎる解散だとの批判も構わず、「勝てば官軍」を貫いた与党の傲慢。政権交代への戦略を描けずじまいの野党の怠慢。この2つを変えないと、今の選挙制度で政党政治のまともなゲームは成り立たない。
■解散権乱用を戒める議論
「選挙戦の最初から最後まで、どう訴えれば納得していただけるか試行錯誤の連続だった」
自民党の遊説戦略の大黒柱となった内閣府政務官の小泉進次郎。14日のNHKテレビのインタビューで、関心が低かった選挙戦の難しさをこう振り返った。消費再増税の延期と「アベノミクス解散」を掲げた安倍が信任を得たのは事実だが、この「大義」は有権者を投票所に向かわせる力には乏しかった。小泉は笑顔なしでこうつぶやいた。
「この(大勝の)結果は冷静に見極めたい。自民党の責任は重い。これからは、できないことがあれば、それは自民党ができなかったことになる。言い訳ができないステージに入った」
安倍は14日夜、戦後最低の投票率を受けて「この問題に与党も野党もない。政治への信頼を高めるよう努力したい」と与野党の連帯責任を強調した。ただ、その責めはまずは「解散権は首相の専権事項」(官房長官の菅義偉)を当然視し、衆院の任期4年を2年以上残した異例に早いこの時期に解散に打って出た安倍に帰すしかないだろう。
永田町に解散権の慎重な行使を説く議論がないわけではない。その一つは衆院議長だった保利茂が在任中に非公式に取りまとめ、1979年の死後に文書として公表された「保利見解」だ。
「(解散は)内閣不信任案の可決ないしは内閣信任案の否決とほぼ同じような事態、すなわち重要法案の否決などで政局が行き詰まった場合と、前回総選挙で与野党が想定していなかった新たな重要課題が争点に浮上して国民の判断を仰ぐ必要がある場合に限られるべきで、恣意的な解散権の行使は好ましくない」(安藤俊裕『政客列伝』)
保利見解はこう要約される。内閣の命運に関わる「重要法案の否決」や「想定外の新たな争点」が生じた時以外は解散の乱発を戒める。自民党総裁再選に向けて解散を狙った当時の首相の福田赳夫を、保利がけん制しようとした権力闘争の副産物だったが、野党も反対しない増税延期という今回の「大義」は、保利見解に照らしても、解散のハードルを大きく引き下げた。
芦部信喜『憲法(第5版)』は憲法学の通説的な教科書だ。内閣の裁量で解散権の行使が許されるのは、保利見解の2つのケースに加え、政界再編などで内閣の性格が一変した場合、内閣が基本政策を根本から変える場合、衆院の任期満了の接近、といったケースに限られる、と強調する。「内閣の一方的な都合や党利党略で行われる解散は、不当である」と結論づける。
注意すべきは、保利見解も芦部説も東西冷戦構造の下、衆院の選挙区定数が3〜5の中選挙区制で、自民党政権が半永久的に続くと錯覚されていた時代に練られた点だ。旧社会党など野党も非力で、いつ解散・総選挙があろうと、政権交代の選択肢は実質的になかった。公約を巡る政党間の政策論争も下火だった。その頃さえ、解散権の乱用を戒める議論は存在したのだ。
■ガラパゴスの「常在戦場」
1994年の立法で衆院選は1人しか当選できない小選挙区中心に変わり、競い合う二大勢力から有権者が政権を選ぶ想定のゲームに変貌した。大勝ち大負けが起きやすく、政権交代もあるシステム。どう運用し、どんな慣行をつくるかの手探りが20年も続く。与野党はいずれは立場が入れ替わる前提を共有し、ゲームを機能させるインフラ整備で協調しなければならない。
日本が政権選択選挙のモデルとした英国でも2011年、内閣不信任案が可決された場合以外の解散を立法で禁止した。10年の下院選後、第3党の自民党が比較第1党の保守党と連立を組む際、デービッド・キャメロンを首相に担いだ保守党による抜き打ち解散を封じようと求めたものだ。それ以前から労働党や自民党が首相解散権の廃止を公約するなど議論の流れがあった。
日英と同じ議院内閣制のドイツでは、解散権は首相の信任決議案が否決された場合に限り、行使される。戦前のワイマール憲法下で小党乱立と議会解散の連発が政治を不安定にし、ナチスの台頭を招いた経験から、解散を厳しく制限する。日本のように「首相の専権事項」だから、衆院は「常在戦場」でいつ何時でも解散があり得る、という運用は主要国の常識ではない。
1人しか当選できない小選挙区制。有権者も自分の1票を死票にしたくないと思えば、単純に最も好きな政党・候補者を選ぶだけでは済まない。勝ち目のありそうな中から「悪さ加減」のより少ない選択肢に投票するなどの戦略性を求められる。政党も同じだ。小党に不利な仕組みだから、政権を目指すには大きくまとまって戦うしかないのに、野党はその努力を怠った。
■政権を目指さない野党の空虚
特に政権担当経験がありながら、政権再交代への意欲を欠いた最大野党の民主党。有権者から選択肢を奪った責任は重い。「厚く、豊かな中間層を復活」「最低保障年金の創設」などの重点政策は政権を失った12年衆院選そのままだった。この次の衆院選での「挑戦権」を確保すればよいと100議席を狙ったが、遠く及ばず、解散時からやや増にとどまったのは大打撃だ。
衆院選は政権選択を核心とするゲームなのに、安倍の抜き打ち解散になすすべなく「政権を目指さない野党」に甘んじるしかなかった各党。民主党と維新の党を中心に、野党乱立は小選挙区で与党を利する、と候補者調整の動きも出たが、さらに踏み込んだ選挙協力も政策をすり合わせた連立構想もなかった。安倍政権の信任投票と化した衆院選は白熱しようもなかった。
「政権を目指さない野党」は295の小選挙区を主体とし、政党名で投票する定数180の比例代表を補完的に実施する選挙制度のわなにもはまった。小選挙区で野党間で調整して候補者を絞った結果、それぞれの党が候補者擁立を見送った地域で、各党独自に戦う比例代表の票の掘り起こしに苦慮したのだ。政権を狙わない政党はこの制度で議席を目覚ましくは伸ばせない。
これは野党再編への示唆ともなる。複数の政党が連立に向けて政策をすり合わせ、小選挙区で協力する「選挙連合」では、比例代表がバラバラの戦いになる。比例名簿を一本化するには、新たな政治団体に結集し、小選挙区もそれで戦うしかない。となれば、「新党を創るのがベスト。国民も1つの政党でないと(政権交代の)受け皿と見なさない」(生活の党代表の小沢一郎)との主張には一理ある。
衆院解散・総選挙は時の首相の思惑次第の「常在戦場」で、政権交代の選択肢はない。このままでは自民党政権の継続が当然視された1955年体制の再来だ。小選挙区制主体の政権選択ゲームは機能しない。低投票率はこのゲームを立て直し、続ける意欲があるのか否かを与野党双方に突きつけている。=敬称略
http://www.nikkei.com/article/DGXMZO80902760U4A211C1000000/?n_cid=DSTPCS001
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