59. 2014年12月17日 01:02:09
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2014.12.16 05:02 【正論】 http://www.sankei.com/column/news/141216/clm1412160001-n1.html 自民党が圧倒的強さで勝利し前回選挙で大量当選した1回生議員もほぼ全員再選を果たした。かつてないこの勝ち方は安倍晋三首相と政権への信任を示すもので政権基盤はさらに強化された。 ≪戦後の病根に切り込む時期≫ 民主主義国における選挙結果は国民の意思である。それは日本が直面する内外の諸問題−中国の脅威と米国のアジア政策に関する不安、憲法改正の歴史的必然性、皇位継承と皇室問題、経済成長のための改革−これらの重要課題の解決を安倍首相に期待する国民の声に他ならない。戦後体制の病根に本質的に切り込む時期は今を措いてない。その大事な局面で強固な政権基盤を与えられた首相はまさに歴史的使命を担うべき宰相なのである。 中国の習近平国家主席が11月末の中央外事工作会議で重要方針を発表した。アメリカ一極体制が多極化に向かっておりこの流れは変わらない、既存の国際社会の制度や秩序に挑戦し中国の主張をより強く反映させていくという内容だ。国際法や国際秩序への中国の挑戦は「南シナ海の中国の領有権は2千年前から確立されている」とする主張や防空識別圏や排他的経済水域に関する彼ら独自の法解釈によっても明らかだ。 にもかかわらず日本の国防意識は怠惰な眠りの中にあるかのようだ。尖閣周辺海域に彼らは日常的に公船を侵入させ日本国民がとりたてて反応しない水準まで常態化させた。玄関の鍵をこじ開けられ自宅の中にまで中国人の侵入を許すに等しい異常事態がほぼ毎日発生しているのにまだ集団的自衛権のそれも極めて制限的な行使容認に反対の世論がある。 国防へのこの無頓着と非常識が中国の跋扈を許し小笠原諸島海域に220隻に上る中国船が押し寄せた。最善を尽くしながらも海上保安庁は対処できなかった。 理由は明らかだ。小笠原諸島と、南端の沖ノ鳥島、東の国境の島である南鳥島を結ぶ海域は世界第6位の広さを有する日本の排他的経済水域の3割強を占める。しかしその広大な海を守る現地の海保職員はわずか4人船は小ぶりの1隻しかないのである。中国漁船群は2012年7月には五島列島福江島の玉之浦湾にも易々と侵入した。彼らは望めばいつでも日本の海に侵入できるのだ。 ≪日本の国柄を認識すべし≫ 現在わが国は尖閣諸島に船も人員も集中して投入しているが守るべき領土は尖閣だけではない。海洋大国としての防備の力を顕著に増やすべきだ。海保および自衛隊の装備の充実と隊員増のための予算の大幅増を英断し国防力を強化することが中国の侵略を思いとどまらせる道である。 憲法、法律上の空白も急いで埋めなければならない。集団的自衛権に関する7月の閣議決定は安全保障に関する戦後の無責任体制と決別する偉業だった。 それはしかしポジティブリストの項目を増やし実際の国防のための運用を複雑にしかねない。ポジティブリストの自衛隊をネガティブリストの自衛隊へと真の国防に向けた質的変換を図ることを目指すべきだ。一連の作業を経て初めて日本は歪な非戦国家からまともな普通の国になれる。 日本が普通の民主主義国となるためにどうしても必要な大事なことはわが国の国柄を認識することである。日本国は祭祀を司り国民と国家の安寧を祈る天皇を国の基とする立憲国家である。国と国民が和の精神に基づいて一体となり長い歴史を紡いできた。 歴史においては幾度かの戦いもあった。その戦いで日本国に殉じた人々がいて現在の日本がある。その英霊を慰め感謝をささげることは国民を代表する首相しか果たせない重要な責務である。 ≪戦後70年に国民が寄せた信頼≫ だが日本の精神的支柱のひとつであるその大事な参拝を中国は日本国内のメディアと連動し、アメリカを巻き込み、対日歴史カードに仕立て上げた。戦後70年の来年を対日全面的歴史戦争の年と定め、12月13日には、南京大虐殺記念館で習主席が日本軍の30万人虐殺説を根拠もなく演説した。 中国の仕掛ける政治的歴史戦争に屈服しない道はただひとつ、王道を歩み続けることの中にある。首相は靖国参拝の心を世界に発信し続け、毎年静かに参拝を続けるべきである。 今回の選挙結果は、アベノミクスを含めた安倍政権2年間への総合評価である。戦後70年の道のりで私たちが置き去りにしてきた大事な価値観を、安倍首相なら取り戻し、国の根幹を正せると、国民が信頼を寄せたのである。 内外の執拗な批判に加えて、志を同じくする次世代の党などの敗北という厳しい条件はある。だが、もっと大事なことは、国民が安倍首相を圧倒的に支持した事実である。経済、国防を強化し、憲法改正を説く中で、独立国の宰相としての姿を鮮明にしてほしい。 毎年、靖国神社を参拝し、英霊への感謝と礼節を示して国民の誇りを取り戻すことこそ、歴史が安倍首相に託した使命である。
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