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2014年12月15日
総選挙が実施され、議席配分が決まった。
与野党の議席配分はほとんど変わらなかった。
変化が生じたのは、「次世代」が議席を激減させて、「共産」と「民主」の議席が増えたことくらいだ。
最大の特徴は、投票率が52%と、戦後最低を記録したことだ。
つまり、この時期に、700億円もの費用を投下して、実施する必要のあった選挙だったのかとの疑問が、改めて鮮明になる選挙であった。
自公は325の議席を確保したが、最大のポイントは、小選挙区で圧勝したことだ。
比例代表の定数180に対して、自公が確保した議席は自民68、公明26だった。
つまり、自公合わせて94議席である。
比例代表ではぎりぎり過半数越えというのが選挙結果だった。
これが本当の民意である。
小選挙区では1位の候補者だけが当選する。
与党が盤石の選挙協力を実施した一方、野党勢力は候補者が乱立したため、小選挙区で自公勢力が圧勝したのである。
要約すると、二つの特殊要因が自公多数議席をもたらす原因になったことを指摘できる。
第一は、主権者の半数が選挙を棄権したこと。
安倍政権は寒波が到来する時期をわざわざ選んで選挙を実施した。
悪天候で投票率が低下することを期待したのである。
この戦術がぴたりと的中して、日本海側では投票率が5割を切った都道府県が続出した。
主権者の半分しか参加しない選挙という現実に日本政治の深刻な現実がある。
第二は、与党の自公が盤石の選挙協力を実行したのに対して、野党勢力の力の結集が実現しなかった。
このことが、自公を圧勝させる原因になった。
自公の日本政治支配、自公による独裁政治、自公政治の暴走を防ぐには、小選挙区制の特性を踏まえた、主権者の戦略的対応が必要不可欠である。
野党勢力の選挙結果には、二つの特徴がある。
ひとつは、共産党が躍進したことである。
原発・憲法・消費税・TPP・沖縄・格差
の主要六大問題について、自民党に明確に対峙する主張を、もっとも鮮明に示したのが共産党である。
安倍政権の政策に反対する主権者の投票をかなりの程度吸引したと考えられる。
もうひとつの特徴は、比例戦を中心に、維新の党が事前のメディア報道に比べれば、多数の投票を獲得したことである。
関西圏では橋下徹氏の影響を受けてのことか、維新が得票を伸ばしたが、首都圏を中心とする他の地域でも一定の支持を得たことが観察される。
その背景に、官僚機構と政治家集団が「我が身を切る改革」を実行していないことに対する主権者の厳しい判断がある。
この二つの特徴を反映して、とりわけ比例代表選挙において、共産党と維新の党が多数の議席を獲得した。
維新が30議席、共産が20議席を獲得したのである。
日本政治を刷新するには、自公勢力に対抗できる大きな勢力を確立することが必要不可欠である。
この対立図式の描き方が、今後の最大の焦点になる。
選挙結果で示された議席配分だけを見ると、民主と維新が軸になり、自公に対抗する野党第一勢力を構築する方向に進んでしまいがちになる。
しかし、この図式では、政権交代を引き起こすことは非常に難しくなるのではないか。
55年体制は、政党を担当する自民党と万年野党第一党の社会党という対立図式であったが、この図式に陥る可能性が極めて高いからである。
反自公勢力が共産党とそれ以外の二本立てのなる限り、自公を圧倒する力は、生じにくいのである。
突風が吹けば別だが、突風が吹かない限り、野党は万年野党に陥る可能性が高い。
したがって、自公とは明確に路線を異にする、主権者政党を確立し、この主権者の党が、共産党と連携して、自公と真正面から対立する図式を描くべきであると考える。
個別の小選挙区の得票状況を詳細に分析するなら、共産党との連携なしに、自公勢力を打倒することは困難であることが鮮明になるのだ。
維新が唱える、「我が身を切る改革」の主張は、主権者の声を代弁するものである。
この声は尊重するべきだが、それを踏まえて、
原発・憲法・消費税・TPP・基地・格差
の各問題に対して、安倍政権に正面から対峙する主権者政党を創設し、この主権者の党が共産党と連携して、政権を樹立する構図を描くことが必要であると思われる。
現有議席数だけに目を奪われると、民主、維新を軸とする野党再編に目が向きがちになるが、現有議席は主権者の半分しか参加しなかった選挙結果を反映するものであり、全員参加型の選挙を前提とすると、構図がまったく変化するはずなのだ。
「主権者の党」を創設し、「主」と「共」が共闘する体制の構築を目指すべきであると考える。
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