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2014年12月11日
日本政府は1.3兆ドルの外貨準備を保有している。
外貨準備というのは、政府が保有する外貨建て資産のことだ。
1.3兆ドルは
1ドル=75円なら97.5兆円、
1ドル=120円なら156兆円
に相当する。
政府がどのようにして、この巨額のドル資産を保有するのかというと、全額を日銀から借金して購入したものである。
政府は日銀からいくらでも借金できる。
日銀からお金を借りて、ドル資産を買うのだ。
政府がドル資産を購入することを、
「政府によるドル買い介入」
と呼ぶ。
しかし、日本政府は、ドル買い介入で損ばかりしてきた。
値下がりするドル資産を買うのだから、損するばかりである。
たとえば、2007年6月から2011年12月までの4年余りの期間を見てみよう。
2007年6月末の外貨準備残高は9136億ドルだった。
当時のドル円相場は1ドル123.7円だった。
したがって、円換算金額は113.3兆円だった。
2007年6月から2011年12月にかけて、ドルは
1ドル=123.7円から 1ドル=75.9円へと暴落した。
この間に、日本政府は日銀から借金をして、ドル資産を3822億ドルも買い増しした。
政府保有のドル資産残高は、2011年末には1兆2958億ドルにまで膨張した。
このドル資産追加購入に要した金額は38兆2200億円だ。平均1ドル=100円でドルを購入したのである。
つまり、2006年7月末の残高である113.3兆円に対して、38.2兆円もの資金を注ぎ込んで、1.3兆ドルのドル資産を保有する状況が生み出された。
2007年6月末の元本と追加購入代金の合計は151.5兆円になる。
ところが、2011年12月末のドル円相場は1ドル=75.9円で、1.3兆ドルのドル資産の時価総額は98.4兆円になってしまった。
151.5兆円を注いで購入したドル資産の時価総額が98.4兆円になってしまったのだ。
つまり、たったの4年余りの期間に、53.1兆円の超巨額損失を計上したのである。
年金資産の運用に失敗して1000億円の損失を出したとか、年金資金運用の失敗で数兆円の損失を計上したことなどが新聞などで報道されることがあるが、その比でない。
消費税の税率1%で、年間約2.5兆円の税収があがる。
税率が3%引き上げられると、年間7.5兆円の税収があがる。
53.1兆円のお金があれば、消費税率3%引上げの7年分の税収が賄える。
史上空前の為替投機損失が計上されたのに、誰一人責任を問われていない。
こんなふざけた現実が存在するのである。
値下がりするドルを買って大損を出すなどという行為が許されるべきではないのだ。
政府が購入するドル資産の太宗は米国国債が占める。
日本政府は1.3兆ドルもの米国国債を購入してきた。
日本政府が米国政府に1.3兆ドルお金を貸しているということになる。
しかし、ドルだけでお金を貸しているから、日本政府が為替変動リスクを負っているのだ。
ドルが大幅に下落して、日本政府は4年半で53兆円もの損失を計上してしまったのだ。
このような暴挙が白昼堂々と展開されているわけだ。
このドルが1ドル=120円まで値を上げた。
1.3兆ドルの政府保有の外貨準備高は、2014年11月末では、
1兆2691億ドル
になっている。
1ドル=120円で換算すると、
152兆2920億円
である。
98.4兆円にまで目減りしたドル資産の時価総額が
53.9兆円も回復した。
いまこそ、1.3兆ドルの米国国債を全額売却して、累損を一掃するべきである。
庶民に大増税を強制して、値上がりしたドル建て資産を売却しないなどという選択はあり得ない。
しかし、安倍政権はドル資産を売却する気配すら示さない。
なぜか。
答えは簡単だ。
米国政府がこれを許さないからだ。
日本が独立国なら、日本政府は日本国民の幸福を実現するために行動する。
しかし、安倍首相は米国の植民地日本の総統であるから、日本国民の利益になっても米国政府の不利益になる行動を実行できないのである。
悲しい植民地政権でしかないのである。
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