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ある初老の男性が、東京・日比谷公園で自分の体に火を放ち、命を絶った。現場には一台のビデオカメラ。そして「抗議文」が残されていた。それから1カ月。男性は何を訴えたかったのか。
10日午後6時半。日比谷公園に約30人が集まった。ろうそくなどを並べ、男性の死に黙祷(もくとう)を捧げた。
「事件」が起きたのは1カ月前のほぼ同じ時刻だった。11月11日、広場の真ん中で、男性は自らが映るようにカメラを置くと、油をかぶり、火をつけた。
《集団的自衛権容認に基づく安保法制の立法準備及びガイドライン再改定などを即刻やめよ》《沖縄の辺野古・高江の基地建設を今すぐ中止を》。カメラに貼られた「抗議文」は衆参両院議長と安倍晋三首相に宛てられ、「新田進」とペンネームを記していた。
ペンネームを手がかりに浮かんだ男性は、まじめさと熱情が同居する人だった。
都内に住む60代。数年前まで裁判所に勤めていた。そのかたわら、ペンネームで様々な活動をしていた。その一つが映画作りだった。
1995年に沖縄で起きた少女暴行事件。抗議のため8万人以上が集まった県民大会に足を運び、「軍隊のない、悲劇のない、平和な島をかえして」と訴える声にレンズを向けていた。他にも社会派の作品を10あまり撮った。企画、演出、撮影を1人でこなすことが多く、小さな集会場などで自主上映した。原発や憲法について考える市民団体にも加わっていた。
「かといって、デモで先頭に立つタイプじゃない。むしろ裏方タイプ」と古い知り合いは言う。閣議決定後にあった抗議集会では、机の搬入などの会場設営に動き回った。そのイメージと「焼身自殺」がかみ合わないと、友人らは驚く。
じつは最近、重い病を抱え、活動を制限していた。周囲の知人らは、夜間の活動を控えるようになった本人に対し、病名をたずねることもなく、気遣いながら接し続けていた。最期の日。日比谷公園近くの国会周辺では「総がかり包囲行動」と銘打って、約7千人が集団的自衛権などへの抗議の声をあげていた。ある知人は「彼なりに、一番激しい形で怒りを表現しようとしたのだろう」という。現場に残されたカメラは、好きだった映画作りに使っていたものだった。
(清水大輔、甲斐弘史)
http://digital.asahi.com/articles/DA3S11500807.html
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