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「争点はアベノミクス以外」が6割 投稿マップの意見
http://www.asahi.com/articles/ASGD55G6GGD5UTIL01Z.html?ref=rss
2014年12月5日23時50分 朝日新聞
衆院選を機に朝日新聞デジタルに設けた投稿マップには、11月27日夜から5日夜までに約910件の意見が寄せられた。うち6割超は「争点はアベノミクスじゃない/投票する」(567件)だ。その人たちは何を争点に、候補者や政党を選ぶのか。
東京都練馬区の大学4年生矢野和葉さん(25)は、「戦争ができる状態になる」集団的自衛権の行使容認に強い危機感を覚える。詩人だった韓国人の父親は、軍事政権下の韓国で反戦の作品を書き、投獄されたことがある。「言いたいことが言えない社会は怖い。権力は守ってくれるばかりじゃない」。武器輸出緩和も特定秘密保護法も嫌だと思う。「一強政党から生まれた内閣に、これからの4年間を預けるかどうかが争点です」
投票には行くが、今の選挙制度は政策で判断しにくく、不親切と感じる。「アベノミクスはよくて、秘密法も集団的自衛権もだめな人はどうするのでしょう。10の政策のうち『○』が三つ、『×』が七つなら……。調べるのも面倒で投票率に影響する」と指摘する。
「震災復興は問題だらけだ」「原発再稼働は反対」「派遣労働の拡大・固定化は社会を破壊する」――。アベノミクス以外の争点は多岐にわたる。一方、「選挙で勝てばすべて認められたことになる」との懸念も寄せられた。
政党の考え方や公約を重視する声もある。4月に成人した千葉大2年生の石原俊さん(20)=千葉市=。初めての投票は、「誰もが幸せに暮らす社会を考える機会にしたい」と各党の施策を読み比べる。
自分の生活から遠いと感じるアベノミクスより、ヘイトスピーチに関心がある。高校から韓国語を学び、来春に留学の予定だ。「政治と文化・民間交流は別だとは思うが、外交でも韓国と協力関係を築いて欲しい」。原発再稼働も沖縄の普天間飛行場移設も、じっくり考えて、投票先を決めるつもりだ。
友人は選挙への関心が薄く、若者の投票率の伸び悩みが心配だ。「投票の結果は、自分一人だけが負うものじゃないと思う。自分の一票を大切にしたい」(斉藤佑介、吉浜織恵)
■「経済の陰に大切な問題が」漫画家・今日マチ子さん
投票は行きます。お金は大事なもので、世の中はアベノミクスに目がいくかもしれませんが、その陰に隠れた大切な問題を見ていきたいです。
2008年から、戦争の漫画を描き始めました。戦争をライフワークのようにして作品に取り組んでいます。戦争は自分たちの生活と地続きだと思う。戦時中のことを調べると、その時代の人が狂っていたわけでなく、何となく、普通に暮らすうちに戦争に入っていく。善良な市民が戦争のキャンペーンに加わる。今の集団的自衛権や9条の憲法解釈の問題も、何となく、私たち一般市民が乗せられていく状況になっていないか、と常に思っています。
9条を変えることに、国民が反対していくのか、わからないまま、上の人たちの決定に従っていくのか。一般の人たちの意識の動きにも興味があります。
7月に出版した「いちご戦争」はイチゴやお菓子の武器を手にした女の子の戦争をファンタジーとして描きました。自分たちが加害者になるかもしれない、戦争に行くということを考えてみよう、と。女の子がか弱い存在ではなく、加虐性をもっていることも、伝えたかった。
6年前は「過去を描いている」と読者に受けとられていたのですが、今は「未来を描いている」と言われる。世の中のアンテナが、戦争が過去でなく、これから起こりうるもの、という不安に触れているのかもしれません。
この夏、北海道で戦中の小学生の習字を見つけました。「愛の供出 明るい日本」「なにくそ」。こういうスローガンは、今書かれていてもおかしくないですね。現在の日本にも通じていて、それが、少し怖い。
3・11後の「みんなで節電しよう」「頑張ろう」というスローガンにも同じようなものを感じてしまった。そこに悪意はない。でも、何となく世の中の流れに、乗せられていく。
投票を棄権したことはありません。参政権を手にするまでの歴史を思うと、意見を託せる重みを感じます。私も普通の市民で、色んな世論に流されてしまうし、悪いことに加担するかもしれない。投票をすることで、今このとき何を考えていたのか、自分の中で残しておきたいんです。(聞き手・斉藤佑介)
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