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アベノミクス、繕い切れない「破綻」の証拠
MEDICAL CONFIDENTIAL
2014年12月 3日 16:30
内閣府が11月17日に発表した今年7〜9月期のGDP(国内総生産)の速報によると、物価変動の影響を除いた実質成長率が前期(4〜6月期)より0.4%減となった。年率換算では1.6%の減、2四
半期続けてのマイナス成長となって予想を大幅に下回ったため、「11・17ショック」という用語も生まれたほどだ。
ところがつい2日前の15日に安倍首相はオーストラリアのブリスベンで開かれたG20(20カ国・地域首脳会議)で、「アベノミクスで賃金上昇や企業業績の改善が進んでいる。好循環が生まれ
、日本経済がデフレ脱却へ着実に前進している」などと、自画自賛したばかり。
これが大嘘だと誰の目にも明らかになった翌日の18日には、挙げ句の果てに解散を表明。もう、政治家としての判断力は破綻しているとしか言いようがないが、今回の速報を待つまでもなく
、すでに以下のような指標がアベノミクス自体の破綻を示していた。
@ 実質賃金指数低下。厚生労働省が発表した9月の毎月勤労統計調査によれば、物価変動を反映した賃金水準である実質賃金指数(現金給与総額)は前年同月比で3.0%低下。前年度割れは
、実に15カ月連続だ。
A 消費支出の減少。総務省統計局が発表した9月の家計調査によると、1世帯(2人以上)当たりの消費支出は27万5226円で、物価変動の影響を除いた実質で見ると前年同月比で5.6%減少。6
カ月連続のマイナスとなり、消費の落ち込みの厳しさが鮮明になった。なお勤労世帯の実収入も実質6%減で、こちらは12カ月連続の減少となっている。
こうした収入源―消費低迷は、GDPの6割を占める個人消費に大きなマイナスの影響を与えており、デフレからの脱却を依然困難にしている。それに伴い、暗い材料も事欠かない。政府が10月
に発表した「月例経済報告」は、2カ月連続で景気の基調判断を下方修正。厚労省が7月に発表した「2013年 国民生活基礎調査」によると、「子どもの貧困率」は16.3%と、過去のワースト記
録となった。「ひとり親家庭」の貧困率に至っては、54.6%という高さだ。
賃金の低下と消費減退の事態に
もっともアベノミクスは、それに先立つ「小泉改革」同様、大多数の国民のこうした生活実態をさほどの重点事項とはしていないのかもしれない。そこで最優先されたのは、円安と株価高へ
の誘導であったからだ。
この点でアベノミクスは、一時期内外から評価されたのは事実だ。上場企業の昨年度4〜6月期決算では、営業利益が前年比で3割強も上回るペースとなった。第2次の安倍政権発足前に9000円
を割り込んでいた日経平均株価は、昨年は1万5000円台に回復した。また為替相場では、政権発足直後の1ドル=78円前後だったものが、13年5月になって約4年7カ月ぶりに103円台まで下落し、
円高是正が進んだのは間違いない。
アベノミクスが想定したのは、金融緩和―円安―輸出の拡大―企業利益増大―雇用・投資の拡大―所得増―消費拡大という、サイクルであったろう。だが、輸出が円安に見合った格別の伸び
を示したとは言い難い。円高基調が続き企業が生産拠点を海外に移していたためで、従来のように円安によって輸出で稼ぐパターンには戻らなかったのだ。
それどころか、円安は輸入原材料費の値上がりを招き、国内生産のコストを円安前と比較して3〜4割も押し上げている。日本の企業の9割以上を占める中小企業が吸収できる数字ではなく、
帝国データバンクの調査では、この10月の円安関連倒産は39件で、現政権以来月間の最多記録を更新した。14年の累計では259件だが、これは前年同期比で2.8倍だ。しかも円安は輸入品の値上
がりを招き、4月の消費税増税に加えて家計を直撃。実質賃金の低下と、消費減退を余儀なくしている。
これでは円安のメリットは疑わしく、その一方で上場企業にとっては10円の円安で実に2兆円の増益がもたらされる。また、こうした企業の海外投資は大きな含み益に転化するが、しかしな
がらこうした増益分は、従業員の給与より企業の内部留保や役員報酬に回されるのが常だ。安倍首相は13年4月の党首討論で、円安により同年度の経営収支が「間違いなく4兆6000億円の黒字に
なり、それは間違いなく賃金に変わる」と大見得を切ったが、ここでも大誤算に終わった。
そもそも、13年度の経営収支は「4兆6000億円」どころかわずか8000億の黒字で、14年第1四半期の経営収支に至っては逆に1兆4000億の赤字だ。これで、どうやって「賃金」が上がる保証が
見いだせよう。それどころか、14年度はこのままでは十数兆円の貿易赤字が見込まれ、10年度が10兆円の黒字であったのを考えれば、貿易赤字国に急速に転落している。
結局、アベノミクスの下で進行しているのは、円安による物価高と家計の悪化+実質賃金の低下+中小企業の経営難という、日本経済の負の現象ばかりではないのか。これで、実質成長率が
上がるわけがない。それどころかアベノミクスなるものが、そもそもいったい誰を利しているのかという、根本的な問い掛けも必要な段階になっている。
機家が巨利を稼ぐ奇怪な構造
例えば、初もてはやされた日銀の「異次元の金融緩和」だが、国内の金融機関の貸し出しは決して伸びていない。国内では循環せず、在日外銀が国内で借り入れてより金利の高い米国へ送り
、米国内のヘッジファンドや金融機関、投資家に貸し出され、運用された。つまり円キャリー取引で日銀が供給するマネーで外資が日本株を買い、ドル買いしたことで円安となったという筋書
きだろう。これでは米連邦準備制度理事会(FRB)が量的緩和したのに加え、日銀がマネーの供給を請け負った形だ。肝心の日本の庶民、あるいは実態経済にとって、こうしたマネーゲームの
恩恵があるわけではない。
そう考えると、日銀が10月31日、国債を月に8兆円から12兆円購入し、長期国債の保有残高は年間約80兆円相当のペースで増加させるという量的金融緩和の追加策を突然発表したのが、FRBの
量的金融緩和第3弾(QE3)の終了を決定した直後であったのは偶然ではないように思える。結果的に日銀の金融緩和により、米国が日本への投機用マネーを得て巨額の利益を稼ぐ一方、ますま
す円安が進行することによって庶民の生活や中小企業の経営が逆に苦しくなっていくというのは、どう考えても奇怪な構造ではないのか。
これが、「日本を取り戻す」だの「美しい国、日本」だのと「愛国的」なフレーズを好んで唱えている首相がやっていることなのだ。もっともこんな首相に半数前後の支持率をくれてやり続
けた有権者こそ、奇怪の最たるものかもしれないが。
http://medical-confidential.com/confidential/2014/12/post-866.html
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