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朝日新聞社が実施した衆院選序盤の情勢調査では、自民が単独で300議席を超える勢いだ。自民は無党派層をまとめ、地盤の地方部に加え、都市部でも優勢の選挙区が多いことが、堅調さを物語っている。一方、共産は議席を増やす勢いだが、民主は伸び悩んでおり、維新などかつての「第三極」に勢いはない。与野党の明暗を分けているのは――。▼1面参照
■与党 比例優勢、都市も堅調
比例区で大きく議席を積み増す勢いの自民。その原動力は無党派層だ。
自民は政権を失った2009年衆院選で比例区で1881万票、55議席を獲得したが、政権を取り戻した前回12年衆院選でも獲得したのは1662万票、57議席で、議席はほぼ横ばいだった。ところが今回は比例区で20議席近く増える見通しになっている。
投票態度を明らかにした人でみると、自民支持層の9割弱が比例区投票先は「自民」と答えた。無党派層でも「自民」が41%に達し、最も多い。前回衆院選の調査では無党派層の比例区投票先は自民と維新がほぼ並んでいたが、今回は自民に集中している。その結果、自民は大勝した05年の郵政選挙の比例区で獲得した77議席に迫る勢いだ。
小選挙区でも優位に立つ選挙区が多く、堅調な戦いぶりをしていることが自民の勢いを下支えしている。特に伝統的に地盤としてきた北陸、中・四国、九州だけでなく、都市部の選挙区でも議席を維持する見通しになっている。
今回、朝日新聞社が情勢調査を実施した150選挙区を都市規模に応じて「都市型」50、「中間型」50、「地方型」50に分類したところ、自民は「地方型」の大半の選挙区でリードしているだけでなく、「都市型」でも7割近くの選挙区を獲得する勢いだ。
この「都市型」の50選挙区は、政権交代が起きた09年衆院選は民主が44議席を獲得し、自公が政権に復帰した前回12年衆院選では自民が36議席、当時の維新が7議席を獲得。そのときどきの「風」の影響を受けやすい選挙区だ。ところが今回、野党に風が吹いている気配はなく、自民が前回なみの議席を維持する見通しになっている。
また、情勢調査に合わせて実施した世論調査で、この2年間の安倍晋三首相の経済政策が成功か失敗か尋ねたところ、「失敗だ」が34%で「成功だ」は28%だった。比例区投票先をみると、「成功だ」と答えた人の69%が自民で、「失敗だ」と回答した人も民主31%や自民27%と分散。安倍首相の経済政策に批判的な民主や共産などが必ずしも批判票の受け皿になっていないことも、自民の議席増につながりそうだ。
■野党 風吹かず「第三極」苦戦
「風が吹かない」選挙となり、野党の中でも明暗が際だちつつある。
民主は政権交代を実現した2009年衆院選の小選挙区で300選挙区中221議席を獲得したが、前回12年衆院選は27議席に激減した。今回はそこから10議席前後上積みする情勢だ。特に、かつての地盤で議席回復の兆しがみえる。
自民、公明両党が圧勝した05年衆院選でも民主が勝ち越し「民主王国」と呼ばれた北海道。12年衆院選で民主は12選挙区すべての議席を失ったが、鈴木宗男氏が率いる新党大地と連携して選挙戦に臨む今回、北海道3区で優位に立ち、議席奪還の可能性が出てきた。
同様に09年衆院選で全15選挙区を独占し、民主が地盤にしてきた愛知県。前回は2選挙区しか議席を守れなかったが、今回は愛知2区、11区に加えて5区でも優位に立ち、議席増の可能性が出てきた。
ただ、全体としてはかつての勢いを取り戻せておらず、目標の100議席には及ばない情勢だ。東京1区の海江田万里代表がやや苦戦しているだけでなく、埼玉5区の枝野幸男幹事長も接戦で、都市部で議席を大きく上積みする勢いはない。
自民でも民主でもない第三極として、前回ブームに乗った政党は今回、苦戦を強いられている。
維新は、日本維新の会として戦った12年衆院選の小選挙区で14議席、比例区で40議席を獲得したが、今回は小選挙区で議席を大きく減らしそうだ。特に前回は地盤の大阪府で12勝したが、今回はリードを許している選挙区が多い。前回、維新の松浪健太氏が議席を得た大阪10区は今回、やや苦戦している。維新の松野頼久・国会議員団会長(熊本1区)もやや厳しい。
日本維新の会から分裂した次世代は小選挙区で公示前の3議席から上積みするのは難しく、比例区では議席を獲得できるか微妙だ。
こうした中、躍進する可能性があるのが共産だ。特に、無党派層の比例区投票先は9%で、自民、民主、維新に次ぐ4番手につけた。ただ、比例区で20議席を獲得した00年衆院選には及ばなそうだ。
<調査方法> コンピューターで無作為に作成した番号に電話をかける「朝日RDD」方式で、150小選挙区を対象に実施した。各選挙区の有効回答の目標数は400。世帯用と判明した番号は全国で10万3392件で、うち6万759人から有効回答を得た。回答率は59%。
調査対象となる150小選挙区は、過去の衆院選での各党の獲得議席数や地域的なバランス、今回調査前の取材による情勢を考慮し、統計的に全295小選挙区の「縮図」になるように選んだ。激戦が予想されたり、話題の候補者がいたりする注目区でも、調査対象になっていない選挙区もある。
予想議席数は、小選挙区については、調査結果をほぼ2倍し、比例区については、有権者数に応じて、推計した。
http://digital.asahi.com/articles/DA3S11488731.html
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