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【政権の是非を問う】
=震災復興と原発事故収束= 「復興なくして日本再生なし」 分断された地域の絆をどう取り戻すか
http://www.sankei.com/politics/news/141204/plt1412040004-n1.html
「風評被害を払拭し、ここのおいしい水産物をもっと多くの皆さんに食べてもらいたい。福島の復興なくして日本の再生なし。この基本姿勢で復興に全力を尽くします」
衆院選公示日の2日、安倍晋三首相は、東京電力福島第1原発の北35キロに位置する福島県相馬市の相馬原釜漁港で第一声を上げた。
首相の被災地への思い入れは強い。平成23年3月11日の東日本大震災直後、支援物資を積んだトラックで駆けつけ、その惨状を目の当たりにしたことが大きい。24年12月の前回衆院選も第一声は福島だった。政権発足3日後の同年12月29日には第1原発を視察し、その後もほぼ月1ペースで被災地に足を運ぶ。
首相は震災復興と原発事故収束を政権の最優先課題の一つに掲げた。講じた予算措置は22兆6000億円に上る。
だが、その道のりはなお長く険しい。
× × ×
11月25日昼過ぎ、冷たい雨が降りしきる相馬市の松川浦漁港に「試験操業」を終えた底引き網漁船22隻が続々と戻ってきた。
船上のクレーンからつり下ろされたプラスチック製の樽には、生きのよいカレイやアンコウ、キンキ…。東日本大震災、そして福島第1原発事故から3年9カ月。福島県沖の漁業環境は改善しつつある。
「品質は間違いない」
相馬双葉漁業協同組合職員の阿部庄一さん(59)は樽の魚を見つめながらこう力を込めた。
福島県漁業協同組合連合会では、消費者の信頼を回復するため、放射性セシウムの基準値を国が定める1キロ当たり100ベクレル以下よりもさらに厳しい同50ベクレル以下に設定する。漁場は第1原発から50キロ以上離れており、漁の対象も安全が確認された魚種に限定されているため、市場に並ぶ魚は安全なものだけだ。
24年6月の試験操業開始直後、3種類だった漁業対象魚種は現在56種類にまで増えた。
「民主党政権よりも被災地を気に掛けてくれているように思う。復興への熱意も伝わる。一日も早く原発事故前のように漁ができるようにしてほしい」
阿部さんはこう期待を込めるが、漁獲量は福島県全体でも25年で4万5300トン。震災前の22年の7万8939トンに比べるとまだ6割に満たない。
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この2年間で宮城、岩手両県の震災・津波被害の復旧は着実に進んでいる。
農地は宮城で84%、岩手で62%が復旧した。漁港も宮城で96%、岩手も92%が回復した。災害公営住宅の完成は2割に満たないが、用地確保は宮城で89%、岩手で80%まで進んでおり、今後急ピッチで建設が進む見通しとなっている。
ただ、原発事故の影響が大きい福島県の復旧はかなり遅れている。
漁港こそ80%が復旧したが、農地の復旧は30%にとどまる。災害公営住宅の用地確保も53%にすぎない。
安倍晋三首相が就任した平成24年12月、原発避難者は、自主避難を含めると16万人いた。現在は減ったとはいえ12万人もいる。
除染作業も遅れている。政府は対象11市町村の除染を25年度中に終了するとしていたが、昨年末に6市町村の終了を最大3年間延期せざるを得なかった。
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それだけに第1原発の汚染水対策を急がなければならない。
25年9月、政府は、汚染水をこれ以上増やさないため、新たな対策を打ち出した。1〜4号機の原子炉建屋をぐるりと取り囲むように総延長約1500メートル、深さ30メートルの凍土遮水壁を造り、建屋への地下水流入を遮断する計画だ。埋設する凍結管は約1700本、投じる国費は総額470億円に上る。
建屋の西側では今年6月から凍結管の埋設工事が始まった。今後、東側でも同様の工事が行われ、来年3月の運用開始を目指す。
汚染水浄化の切り札となる多核種除去装置「ALPS(アルプス)」も全系統でのフル稼働を視野に試験運転を重ねている。フル稼働による浄化が可能になれば、原発周辺のタンクにためている大量の汚染水を大幅に減らすことができる。
ただ、原発事故で避難を余儀なくされた住民たちは、避難生活が長引けば長引くほど元の生活を取り戻すことが難しくなる。
田村市都路(みやこじ)地区は今年4月に避難指示解除となったが、解除対象区域の住民354人のうち帰還した住民は117人(8月末時点)。地区全体の人口は、震災前の約3000人から半減してしまった。
同じく10月に帰還が認められた川内村は、全人口約2700人の半数以上の約1500人が戻った。ただ、60歳未満は約660人と3割に満たない。
いくら故郷が恋しいといっても、働く場所は少なく、生活必需品を買う店や病院も多くは再開していない。生活を再建できる環境の整備は急務となっている。一度分断された地域の絆をどう回復させるのか。これはさらに難しい。
除染廃棄物を30年にわたって保管する国の中間貯蔵施設も用地取得が思うように進んでおらず、これも住民の帰還を妨げている。
首相が5月に訪れた福島市の仮設住宅で避難生活を送る福島県飯舘村の木幡(こわた)一郎さん(78)はこう期待を込めた。「一日も早く復興を実現させてほしい。それができるのは安倍さんしかいない」
来年3月には震災から丸4年を迎える。復興と原発事故収束を着実に進め、福島の住民たちがかつての生活を取り戻すためには、より強い政治のリーダーシップが必要となる。(野田佑介)
[産経ニュース 2014/12/4]
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