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時事通信 12月3日(水)20時39分配信
実質賃金が16カ月連続で下がったことを受け、野党幹部は3日、衆院選の遊説で「暮らしは良くなっていない」などと指摘し、安倍晋三首相の経済政策「アベノミクス」への批判を強めた。首相は4月に消費税率を8%に引き上げた影響であり、アベノミクスは着実に成果を上げていると反論、その継続を訴えた。
民主党の海江田万里代表は甲府市で演説し、「物価だけ上がって賃金が追い付かない。こんな経済は歓迎できるはずがない」と強調。同党の前原誠司元外相は川崎市の街頭で「サラリーマンや年金生活者の生活はどんどん苦しくなっている。アベノミクスの副作用だ」と述べた。
維新の党の江田憲司共同代表も埼玉県坂戸市で「国民一人ひとりの懐を豊かにするような政策を打たないと、いつまでたっても買い物はしない」と、政策転換を要求。共産党の志位和夫委員長は福島市で「(首相が正当性を誇示する)『この道』に先はない」と断じた。
厚生労働省の2日の発表によると、10月の名目賃金は前年同月比で8カ月連続で上がったが、物価上昇分を加味した実質賃金指数は16カ月連続でマイナスだった。
アベノミクスの是非が最大の争点となっている今回の衆院選で、「賃金は上昇し、雇用は改善している」が首相の決まり文句。その主張を揺るがすようなデータに、野党は勢いづき、ここぞとばかりに首相批判に力を入れた。
3日、新潟県内の5カ所で遊説した首相は、実質賃金の続落について「一番大きな理由は消費税率引き上げだ」と指摘。今年4月の増税がなければ、実質賃金も上がっていたはずだとの思いをにじませた。
首相は消費税率10%への再増税を1年半先送りしたことを「チャンス」と説明し、「来年もその翌年もさらにその翌年も、私たちはしっかり賃金を上げていく」と声を張り上げた。
公明党の山口那津男代表も首相に歩調を合わせ、埼玉県川口市の中小企業視察後、記者団に「コストを下げ、収益を上げて賃金に反映していく流れを引き続きつくっていく」と語った。
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