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「小林氏「セカンドベストで構わないので、ワーストな自民党を勝たせないことだと思います」:岩上安身氏」
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2014/12/3 晴耕雨読
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11月28日(金)「岩上安身による慶応義塾大学名誉教授・小林節氏インタビュー」の模様を実況します。
岩上「今回の総選挙で、隠された争点になっている憲法改正について。安倍総理が、朝日新聞のインタビューで憲法改正について語っていますが、自民党改憲草案を本気で実現したいと考えているようです」
小林氏「私も、彼らが本気だということを知って、こちらも命がけで止めなければいけないと思っています。憲法というのが、権力者と公務員を縛るものだというのは、全世界で共通のものです。しかし、自民党の改憲案では、国民が憲法を守るようにと明記されています」
小林氏「これは、北朝鮮か明治憲法ですよ。山谷えり子議員が、『明治はよい時代だった』と私に対して胸をはって言ったわけです。しかし、人権もない、国民主権もなくて、天皇主権、軍部が独走できる。これのどこがいい時代だったのでしょうか」
岩上「小林さんが明治憲法、明治時代の体制をこれほど苛烈に批判される方だとは知りませんでした」
小林氏「明治憲法というのは、王権神授説を中途半端に取り入れたものです。ニセ憲法です。日本は、近代天皇革命になったので、そういうことになってしまいました」
小林氏「私がアメリカから留学して帰って来た時、日本国憲法に環境権が書かれていなかったり、プライバシーに関する権利がなかったりするので、時代にあわせてアップデートすればいいという改憲論を持ってきました」
小林氏「そこで、改憲派ということで、自民党の勉強会などに呼ばれるわけです。自主憲法制定国民会議、岸信介元総理が創設した会議ですね。これにつながるのが、保利耕輔氏や中谷元氏など。安倍総理も、若手の国防族として参加していたようです」
岩上「自民党の方々と対話を続けてきたけれど、決裂したということですね」
小林氏「船田元さんなどは、私の議論を聞いてくれました。しかし、自民党が野党から与党に復帰したとき、『知的には負けても、政治的には負けないよ』という態度になりました」
岩上「憲法で一番重要なのは、立憲主義だと言われます」
小林氏「立憲主義とは、国家権力は、国民が前もって定めた憲法を超えない範囲で仕事をしなさい、というものです。国民から公職についている人への命令なんですよ、ということです」
小林氏「しかし、まるで貴族のように振る舞っている世襲議員たちは、『一番大きな社会を国だ』ということで、『よし、国を愛しなさい』となる。『一番小さな社会は家族だ』ということで、『家族を大事にしなさい』となります」
岩上「自民党改憲案の家族に関する条項を見ていると、統一教会に似ています。何かの権威があり、それが夫婦の関係を保証する、という構図になっています」
小林氏「自民党改憲草案を見ると『個』が『人』になっています。金太郎飴のように管理したいということ」
小林氏「『君は君、我は我、されど仲良し』、それが個人主義です。その個人主義をないがしろにするというのが、自民党改憲草案です。これは、北朝鮮であり、大日本帝国ですよ。北朝鮮と大日本帝国はよく似ていると、しばしば言われます」
岩上「今、憲法擁護義務を守っているのは、天皇陛下と皇后陛下ではないでしょうか」
小林氏「安倍総理のブレーンである北岡伸一氏は、時代にあわせて政治家が憲法をマネージすればいい、という趣旨のことをいいました。これは逆で、憲法が政治家を縛るのです」
岩上「自民党改憲草案のどこが危険なのでしょうか」
小林氏「まず、道徳に法が踏み込んでいるという点が危険です。安倍総理は、現在の9条で海外派兵しようとしています。私は、今の9条だと、こういう事態が起こりかねないと言ってきました」
小林氏「私なら、9条にこう書きます。1項、侵略戦争をしない。2項、他国からの侵略に対しては自衛をする。3項、自衛のための軍を持つ。4項、自衛軍で国際貢献は行い得る。ただし、国連と国会の承認を得る必要がある。そう書きます」
小林氏「これに対して自民党の案は、自衛権を持っていると書いているだけで、侵略をしないとは書いていないわけです。海外派兵についても、法律で定める、としています。つまり、憲法で縛りがなく、軍国主義的な海外派兵を、政府が決めることになります」
小林氏「第2次世界大戦が終わった直後、すぐに冷戦が始まり、米国のエージェントである保守と、ソ連のエージェントである革新に分かれました。イデオロギーの時代は、相手を見て、敵と味方を判断し、罵声を浴びせる。私は、それが嫌で、米国に留学しました」
岩上「9条を書き込んだのはGHQで、ソ連ではありませんよね」
小林氏「米国としては、日本という国を、保護観察状態に置こうとしたわけです。日本は明治維新を経て、第2次世界大戦で欧米にケンカを売った、不気味な民族だと思われたわけです」
岩上「日本は、この保護観察状態をうまく利用して、経済成長を遂げたわけです。しかし日本は、下からも上からも、右傾化しています」
小林氏「自民党の改憲草案とヘイトスピーチ、これはつながっていますよね。山谷えり子議員や高市早苗議員の問題がありましたね」
小林氏「集団的自衛権で、日本は米国の2軍になります。国際社会というのは、自国の利益だけを追求するものです。なぜ日本が、米国の利益を追求しなければならないのでしょう。イスラムからの報復が行われる可能性がありますよ」
小林氏「自民党と外務省の悲願は、国連常任理事国に入ること。しかし、中国とソ連が拒否権を発動するわけですから、そんなことはあり得ません」
岩上「さらに、敵国条項を外してもらうことが必要ですよね」
小林氏「保護観察処分を逆手に取ることが、最も国益にかなうと私は思っています。しかし、自民党の勉強会では、意見が異なると『おい、小林君』などと罵詈雑言を浴びせ始めるんですね。困ったものです」
小林氏「元首というのは、対外的に最も権力を持っている公務員です。その点でいくと、日本の天皇は、イギリスの女王と同じだと思います。しかし天皇に関しては、戦前の戦争責任の問題があります。ですから、今の『象徴』という表現はセンスがいいと思っています」
岩上「議員定数の問題について、違憲状態であるという司法の判断がくだっています」
小林氏「安倍総理は、与野党の意見がまとまらなかったと言い訳していますよね。しかし、絶対多数を持っている与党が決めなかったのですから、与党の責任ですよ」
岩上「升永英俊弁護士のグループが、全選挙区で違憲訴訟を起こすと言っています」
小林氏「私が裁判官であれば、40日以内に、再選挙を今の枠組みでやり直しなさい、と言います。どんなに歪な選挙制度でも、当選した国会議員にとっては居心地がいいんですね」
岩上「統治行為論について」
小林氏「私は、統治行為論に関する論文で博士になりました。判決によって法を司る国の司法が、判決によって国をひっくり返すわけにはいかない、という不文の限界が性質上ありますよね、という議論なんですよね」
岩上「統治行為論が非常に注目されたのは、砂川裁判ですね。憲法よりも、米国が上位にあることになってしまいました」
小林氏「あれは冷戦の真っ最中ですから、最高裁長官と米国がすり合わせをしたことで、嫌なもの見ちゃったな、というもの」
岩上「集団的自衛権に関して。片務的か双務的かという議論があります。南米やウクライナなどに行くことになっても、日本の防衛になりません。しかし、日本の米軍基地は減らないわけですよね。本当の愛国者であれば、駐留なき安保というものを主張するべきでは」
小林氏「その通りです。石破茂議員は、防衛族で、軍事オタクだと言われていますよね。彼は、本の中で、『日米安保は片務でいいのか』といったことを言っています。これ、嘘つきですよね。現に、133もの米軍基地が日本にあります。これのどこが片務なんですか」
岩上「今回の選挙で、我々国民は、どのように臨めばよいでしょうか」
小林氏「経済政策で失敗しておきながら、経済を売りにしている安倍総理を許してはいけないと思います。セカンドベストで構わないので、ワーストな自民党を勝たせないことだと思います」
小林氏「安倍・憲法破壊内閣が勝つということになると、日本が北朝鮮になって、安倍ちゃんがキム・ジョンウン総書記の位置になるということですね。共産党も含め、大同小異、野党が共闘することが必要だと思います」
岩上「国民安保法制懇が、今回の解散総選挙をうけて、記者会見を行う予定だとうかがっております」
小林氏「12月1日、19時から記者会見を行う予定です」
岩上「IWJでも中継を行います。ぜひ、皆さんにご覧頂きたいと思います」
以上で、実況を終了します。動画アーカイブは、準備が整い次第、IWJのトップページに掲載いたします。(http://iwj.co.jp/ )@iwakamiyasumi
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