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2014年11月30日
たまには、近く行われる衆議院選挙について少し語ってみようと思う。現時点では、安倍自民与党の立場が逆転するような現象が起きるとは思えない世間の「空気」があるようだ。以下は共同通信の直近の世論調査の数値だが、有権者の意識構造に逆説性がみられる。このような二面性のある答えが出ると云うことは、政治への期待度が酷く低下していることを物語る。
≪ 内閣不支持が逆転、共同世論調査 比例自民28%、民主10%
共同通信社が28、29両日実施した衆院選に関する全国電話世論調査(第2回トレンド調査)によると、比例代表の投票先政党で自民党は28・0%と前回調査(19、20日)から2・7ポイント増加した。民主党は10・3%で0・9ポイント増にとどまった。内閣支持率は43・6%、不支持率47・3%で、不支持が支持を逆転した。
望ましい選挙結果について「与党と野党の勢力が伯仲する」が53・0%と過半数で、前回に比べ微増した。
第2次安倍政権の経済政策で景気が良くなったと実感しているか聞いたところ「実感していない」が84・2%を占めた。 ≫(東京新聞・共同)
比例代表の投票先が、自民と民主では、トリプルスコア―になっている。安倍内閣は嫌だが、自民党以外の政党に政治を任せる気もないと云うのが、まさに現状なのだろう。メディアの調査は、どこでも似たような傾向があり、選挙で自民党以外に入れても無駄になるからね、と諭されているようにも思える。自民党では、今回の選挙の低投票率は間違いがないと見込んでいるので、確実な基礎票と組織票を持つ自民や公明に有利な上、盛り上がる争点が何なのか、まったく国民の側に意識の共有がないのである。
連合の組織力は下がる一方で、農協などの力も衰えてきた。より一層、利口に振舞い、イデオロギーとか信条とか、ややっこしいものはかなぐり捨て、長いものに巻かれるふりをして生きていくのが賢明だと云う世間の「空気」を象徴するような選挙になる可能性がある。そうなると、国民のフォーマルに対して応じる答えと、本音との間には大きなギャップが生まれるのだが、それを忸怩たる思いと捉われない国民性が醸成されているとも言えるのだろう。
この流れを読めば、民主党の枝野幹事長ではないが、「せめて100議席」は得たいと云う発言に表れるように、小政党から、中政党程度になって、政治の場での存在感を示したいと云った、腰の抜けた発言になるわけだが、現状を分析する限り、そのようになるのだろう。つまり、政権選択の選挙ではなくリハビリの途中であると言い放ったわけである。ある意味で、大変正直なコメントだが、それ程民主党内部の病巣が改善されていないと露呈したようなものである。
このような現象の一番の元凶は、政権交代し、政権政党になった時の民主党があまりにも無様だった事に起因するのだと思う。鳩山・小沢が官僚(検察含む)とメディアに引き摺り下ろされた後は、もう阿鼻叫喚のような政権内の足の引っ張り合いで、学級崩壊の態を晒したのだから、その後遺症は、おいそれとは拭えないだろう。それゆえに、辻褄の合わない世論調査の数値が出てくる。自民党に当面政権は任せたいが、安倍晋三はどうも、と云うのが、おそらく「空気」なのだろう。
しかし、安倍首相が「信なくば立たず」と発言しているので、自民党を勝たせれば、意に沿わなくても安倍晋三を指示したことになり、彼が内閣総理大臣として、今後4年間、好き勝手に、日本のカジ取りをする信任を与えたことに他ならないのだ。筆者は個人的には、どこまで酷いことをするのか見てみたい衝動があるが、あくまで個人的趣味の範囲だ。生活者にとっては、驚くべき塗炭の苦しみを味合わされるだろうから気の毒だ。「自民党を勝たせる=安倍政権の継続」となる。
アベノミクスの副作用と後遺症が襲ってくる今後の4年間だが、その出鱈目な方向性の政治の修復には、20年、30年掛かるのではないかと思われる。経済成長させようとして、緩みきった金融の蛇口を閉じることは、三重野康(平成の鬼平)が急激な金融引き締めをして、過度な政策をとることで、バブル崩壊後の日本経済を徹底的に痛めつけた事と同じことが繰り返されるに違いない。
ありもしない「成長神話」を捨てきれないのは、何も経済界や経済学者だけではなく、無謬的に成長こそ善とする世代層と、グローバルな市場を開拓することで、勝ち組になりたいと思うアグレッシブな若い連中の、応援も背中に受けるので、成熟経済や往路の哲学とか、聞いていて楽しくないのだろう。気持ちはわかるが、それは事実から目を背けている、原発推進者とあまり本質的に変わらないような気がする。米国依存にしても、いまの日本では「国是」に近いものであり、米国依存から自主的に出た場合にはどうなるのか、その時の為には、どのような選択肢を残しておけばいいのか、議論さえしない。トンデモナイのひと言で、意見を封殺することが思考停止のはじまりだ。
民主と維新が選挙後に統合するくらいの期待は僅かに残されているが、民主も維新も2大派閥があるようで、四つの閥が、二つになれるのが関の山で、「オリーブの木」にまで至るとは思えない。やはり、ここは過酷事故に相当する大ショックが起きない限り、日本人が自ら考えるとは思えないし、投票率80%のような政治が起きない限り、国民不在政治は続くのだろう。筆者が死にそうな年齢の時に起きるかどうかだろう。30年後に愉しみを残しておくか(笑)。
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