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2014年11月29日(土)【藤本 順一】
衆院選告示前、マスコミ各社が先週末に実施した世論調査の結果に安倍晋三首相はきっと出鼻挫かれる思いであったろう。
何しろ安倍首相からすれば、満を持しての「俺の解散」について産経新聞で72.7%、読売新聞でも65%の国民有権者が否定的な見解を示し、ケチをつけたからだ。当然ながら消費税率引上げ延期を理由にした解散に71.7%(産経新聞)が異を唱えている。
安倍シンパの両紙でさえもこれでは庇いきれまい。安倍首相がどう詭弁を弄し、強弁しようとも自民党支持者も含めた多くの国民有権者にとってこの解散、やはり本欄が指摘してきたとおり憲政の邪道、保守の王道から大きく横道に逸れた「大義なき解散」なのだ。
しかも内閣支持率を見れば、いつも高めに下駄を履かせる産経新聞でさえ48.9%で、前回調査より4.1ポイント減となり2カ月連続の下落。逆に不支持率は3ポイント増の40.9%に跳ね上がってしまった。さらに敵対する朝日新聞にいたってはついに支持率4割を切り、支持不支持が逆転するのだ。
もっとも、だからといって国民の多くが与野党逆転の政権交代まで望んでいないところが、今回の解散総選挙で特出すべきところだ。
産経新聞の調査では衆院選の結果について国民有権者の41.9%が与野党伯仲を望み、38%が与党の過半数超えを望んでいるのである。さらに比例の投票先でも自民党が42%に対してライバル民主党はわずか12.7%、続く維新は7.6%に止まる。
また、朝日新聞も同様の傾向を示しており、比例区の投票先は自民37%、民主11%、維新6%。36パーセントが野党の議席増を望む一方、31%は現有勢力維持を望んでいる。これでは政権交代を賭けた与野党激突にはならない。安倍首相の思惑どおり、政権を信任するためだけの解散総選挙でしかない。換言すれば野党にとっては厳しい戦いが予想される世論調査の結果である。
とりわけ民主党に対する国民有権者の不信、不満は未だ根深いものがありそうだ。さらには党首力の差は歴然。今さらの話だが連日、海江田万里代表、枝野幸男幹事長のツートップが顔晒していては入るはずの票も逃げていこう。せめて国民有権者がポスト海江田体制に向けた新しい民主党の姿、可能性に期待を抱く戦いを見せて欲しいものだ。
まずは予てより党内で議論されているクオーター制導入は必須である。執行部は女性候補者不足を理由に見送る考えだが、そんな後ろ向きな姿勢では票は逃げていくばかりだ。
(藤本順一)<t>
写真:民主党HPより
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